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中国の労務管理において、企業は自社で労働契約を締結した従業員の社会保険(及び住宅積立金)を加入納付する必要があるが、企業の登記所在地と、従業員の採用若しくは勤務地が異なる場合に、従業員の要望・便宜等を考慮して、従業員の勤務地にあるFESCO等の人事サービス企業と「人事代理サービス」を締結し、FESCO等企業の名義の下で勤務地での社会保険に加入するケースがあり、日系企業でも中国各地で営業マンを採用したり勤務させたりする際にこの方法を活用するケースが見受けられる。

北京市社会保険センターによる通知

2020年6月末に北京市の社会保険センターが発布した通知は、FESCOや労務派遣企業等(以下、HR企業と略称)従業員の社会保険加入時のシステム入力において、契約の種類(労務派遣契約/人材請負契約等)と、従業員の使用者企業情報を契約ごとに分類し、契約内容に合致する実際使用者企業情報を詳細に入力させるというもので、使用者企業情報欄が北京市の社会保険システムに存在しない企業名の入力や、未入力のままではシステム入力が完了できず、社会保険加入手続きが完成できないようにするものである。

北京市では、他地域に登記されている金融業種等の企業が、北京で分公司等の登記をせず、HR企業に社会保険の“代理納付”を依頼する状況が非常に多く、北京市社会保険待遇の不正受給として深刻な状況があったため、加入時の名義と、契約関係をシステムで明確に区分し入力させることにより、代理納付による加入を防止するという対策を取ったものと理解されている。

広東省での指導意見の発布

北京市の通知が他の市でも同様に実施されないか懸念されていたところ、広東省人力資源と社会保障庁が12月1日実施とする《労務派遣管理を更に規範化することに関する指導意見》で、就業促進、人件費軽減等のため益々労務派遣の需要が増大し労務派遣企業が増加する中、労働関係を偽装して社会保険に加入する、実際には労務派遣であるのに請負契約を偽装するなどの違法行為が多発しているため、労務派遣管理を一層規範化する という指導意見文書を発布している。

規範化の項目には、労務派遣企業の資格要件審査の厳格化や、広東省外の労務派遣企業に対する分公司登記等の義務化のほか、労務派遣の使用者企業の実名情報登録管理、労務請負業務と労務派遣業務の区分の明確化等を強化するとしています。また、労務派遣中の違法行為を厳重に追及するとし、違法派遣や「労働関係を偽装して社会保険に加入すること」「地域を超えて派遣すること」等を厳重に調査処罰するとしており、今後、北京市と同様に、人事代理サービスによる社会保険の代理納付ができなくなることが懸念される。

今後の対策として検討できるのは、企業自身が分公司を登記するのか、若しくは、労務派遣資格のある企業と労務派遣契約を締結する、人事サービス企業との請負契約の締結等であるが、いずれの場合も、実態に即した契約により社会保険納付の名義に違法性が無いことを確保する必要がある。


規定原文

2020年12月1日実施

《広東省人力資源と社会保障庁 労務派遣管理を更に規範化することに関する指導意見》粤人社規[2020]43号(原文

2020年7月実施

北京市社保センター 労務派遣企業と人力資源服務企業の社会保険加入に関する問題についての通知(原文

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