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2020/21年度予算案で財政司長は、下記の税制措置を提案した。当該措置の全ては施行前に、関連法規の修正を必要としている。

  • 2019/20年度の利得税(法人・個人事業)、給与所得税及びパーソナル・アセスメントの税額の軽減
  • 2020-21年度の商業登記費の免除

当該法案及び実施内容のハイライトは下段に示されている通りである。よくある質問に対する回答(FAQ)及び当該措置が実施された場合に、上記の各項目が如何に納税義務者の給与所得税及びパーソナル・アセスメントの税額を軽減するかを示す例示も併せて提供されている(※ここでは各FAQ及び各例示の日本語版は割愛)。

当該措置が実施された場合の給与所得税及びパーソナル・アセスメントの税額を計算したい方は、香港政府によって提供されている納税額自動計算プログラムを使用することが可能。


2019/20年度の利得税(法人・個人事業)、給与所得税及びパーソナル・アセスメントの税額を軽減

財政司長は、2019/20年度の利得税(法人・個人事業)、給与所得税及びパーソナル・アセスメントの税額に対し、当該税年度に限定して、20,000ドルを上限とする100%の減税措置を提案した。当該減税措置の実施に当たり、立法会での可決承認が必要となる。

利得税(法人・個人事業)に係る税額控除上限額は、事業単位毎に適用可能である。給与所得税に対する控除上限額は、納税義務者毎に適用可能であるが、夫婦で共同申告(ジョイント・アセスメント)を行う場合は、夫婦単位毎に適用される(すなわち、合計で20,000ドルの控除上限額)。パーソナル・アセスメントを適用する場合は、原則納税義務者毎に適用可能であるが、既婚者の場合は必ず夫婦揃って適用しなければならず、夫婦単位で20,000ドルを控除上限とする当該減税措置を享受することとなる。

当該減税措置は、資産所得税には適用されない。賃貸収入がある個人は、パーソナル・アセスメントを適用できる場合、パーソナル・アセスメントの下で当該減税措置を享受することができる。

給与所得税及び利得税(法人・個人事業)それぞれに課税される納税義務者(パーソナル・アセスメントを適用できない場合)は、それぞれの税金に対して当該減税措置を享受することができる。事業収入や賃料収入のある個人でパーソナル・アセスメントを適用できる場合、パーソナル・アセスメントの下で当該減税措置を享受することができる。当該ケースの場合、パーソナル・アセスメントを選択しない場合、享受しうる減税額とは異なる可能性がある。正確な減税額は、ケース毎に判断される。税務当局は、パーソナル・アセスメントの選択が納税額を減額できるかどうかをケース毎に確認し、最も有利な方法で納税義務者を査定する。

パーソナル・アセスメントの適用を希望する場合、納税義務者は、2019/20年度給与所得税申告書(BIR60)の項目7に記入しなければならない。事業収入もしくは賃料収入がなく、給与所得のみの個人は、パーソナル・アセスメントを選択する必要がない。

当該減税措置は、2019/20年度の税額査定における納税義務者の納税債務を軽減する予定。納税義務者は例年同様、2019/20年度利得税(法人・個人事業)申告書並びに給与所得税申告書を提出しなければならない。関連法案の成立後、香港税務当局は最終査定において当該減税措置を有効とする。当該法案の成立前に発行された2019/20年度の最終税額査定書に関して、香港税務局は当該法案の成立後に再度査定を実施する予定である。これに対し、納税義務者は特段申告や照会を税務当局にする必要はない。

当該減税措置は2019/20年度最終税額に対してのみ適用され、同年の予定納税額に対しては適用されない。従って、当該減税措置とは区分して、納税義務者は依然として予定納税額を期限通りに納付する必要がある。既に納付済みの予定納税額は、2019/20年度最終査定額及び2020/21年度予定納税査定額に対する納付に対して充当される。万が一、超過残額がある場合は還付されることとなる。

課税所得の累進税率の調整及び累進課税幅の増額(※前年度より変更無)

評価年度 従来(2017-18年度まで) 現行(2018-19年度以降)
課税所得純額 (累進幅)香港ドル 税率 課税所得純額 (累進幅)香港ドル 税率
第1段階 45,000 2% 50,000 2%
第2段階 45,000 7% 50,000 6%
第3段階 45,000 12% 50,000 10%
第4段階 50,000 14%
135,000 200,000
残額 17% 17%

各所得控除項目の増額(※従前の項目は前年度より変更無)

評価年度 従来(2017-18年度まで)
香港ドル
現行(2018-19年度以降)
香港ドル
基礎控除(独身) 132,000 132,000
基礎控除(既婚者) 264,000 264,000
寡婦(夫)控除 132,000 132,000
子供扶養控除
 第1子から第9子まで各一人当たり 100,000 120,000
 誕生の年の増額 100,000 120,000
兄弟(姉妹)扶養控除 37,500 37,500
父母祖父母扶養控除
 父母祖父母扶養控除 (60歳以上及び60歳未満かつ障害者) 46,000 50,000
 父母祖父母扶養控除 (55歳~59歳まで) 23,000 25,000
付加父母控除祖父母控除 (年間を通じて納税者と同居している)
父母祖父母扶養控除 (60歳以上及び60歳未満かつ障害者) 46,000 50,000
父母祖父母扶養控除 (55歳~59歳まで) 23,000 25,000
老人介護施設費用控除 92,000 100,000
障害者扶養控除 75,000 75,000
自己障害者控除 75,000
自己学習費用税額控除年間上限額 100,000 100,000
繰延(据置)年金MPF任意負担控除額
(※2019-20年度より追加された項目)
60,000

その他生計面に関する一時優遇措置(※税制措置以外の予算案より抜粋)

2020/21年度については、①18歳以上の香港永住者に対する10,000ドルの支給、②課税対象となる個々の不動産に課される不動産税額に対し、四半期毎に最大1,500ドルを免除(非居住不動産に限り、第1及び第2四半期最大5,000ドルを免除)、③総合社会保障援助(Comprehensive Social Security Assistance: CSSA)や高齢者手当(Old Age Allowance)、高齢者生活手当(Old Age Living Allowance)並びに障害者手当(Disability Allowance)などの各種社会保障給付額を1ヶ月分追加給付し、労働奨励通勤手当(Work Incentive Transport Subsidy)についても同様の措置が適用、④公営賃貸アパートの低所得者のテナントに対して1ヶ月分の家賃を支払、⑤2021年度香港中等教育修了試験(Hong Kong Diploma of Secondary Education Examination: HKDSE)を受験する学生の受験料を政府予算から拠出、などの措置が実施され、これらの他にも市民の生計を支援すべく、逐次政策を実施する予定である。

その他経済面に関する一時優遇措置(※税制措置以外の予算案より抜粋)

2020/21年度に関しては、⑥従業員再訓練委員会(Employees Retraining Board: ERB)は、政府から「愛の特別付加価値計画」の立上げ依頼を快諾、政府との積極的な協議の後、ERBは25億ドルの拠出を受け、当該計画の最適化及び拡張を目指し、法改正を通じて研修生1名あたりの最大月額手当を4,000ドルから5,800ドルに引上げることを検討、⑦證券先物監督委員会(the Securities and Futures Commission: SFC)は政府の要請に対応し、2020-21年度のすべてのライセンスを保有する個人及び仲介業者の年間ライセンス更新料を免除、⑧適格対象となる非居住用不動産の電力口座所有者に対し、個々の口座当たり月額5,000ドルで4ヶ月間、合計20,000ドルを上限として、毎月請求される電気料金の75%を補助する電気料金補助金を交付、⑨2019年12月1日から2020年3月31日までの期間、非居住用不動産の上下水道料金の75%を免除(一戸当たりの月額上限はそれぞれ20,000ドル及び12,500ドル)、⑩地場系廃棄物回収再生(リサイクル)産業に関しては、政府との協議後、リサイクル基金諮問委員会がリサイクル基金を通じて、リサイクル企業への一時的な賃料補助金制度を開始し、6ヶ月間で約1億ドルが注入、⑪地政総署が管轄する商業及びコミュニティ用途の政府用地の短期借用、食物環境衛生署がリースする公設市場の出店場所、政府産業署によってリースされる飲食店及び小売店、海事処が管轄している公共の貨物積卸区域、並びに魚農自然護理署によって管理されている4ヶ所の政府卸売市場における出店場所及び施設に対し、6ヶ月間50%の賃料減額を提供、⑫クルーズライン及び既存テナントへの利用料と賃料の減額を提供、などの措置が実施され、これら以外にも中小企業支援を中心にかつ経済発展に向けて、非常に幅広い優遇支援措置が取られる予定である。

適格PEファンド事業に対する優遇措置(※個別に法改正が進行中)

3年前に動き出した一帯一路並びに粤港澳大湾区構想を念頭に置いて、香港では、国際的な航空機・船舶リースセンターとしての地位を確立するため、税制等優遇措置の検討委員会の設置を経て、税制上、海上保険や特定のリスク引受けを伴う適格保険事業に対し、利得税(法人・個人事業)を50%に軽減することを目論んでいる一方、航空機リースに続き、船舶リースについても同様の税制優遇を検討、さらに、香港でのPEファンドの開発促進は、多くの事業体、テクノロジー企業、新興企業、及び個々人の特別な才能や専門的知識を創出するだけではなく、経営、会計並びに法律などの専門サービスの需要へも派生し、これらに伴い、会議や展示会、ホテル及び観光などのサービス業界にも刺激を与えるものと位置付け、適格PEファンドのキャリードインタレストの税率を50%に軽減する優遇措置も提案している。

2020-21年度の商業登記費の免除

財政司長は、2020-21年度の商業登記費を免除することを提案した。

2020年2月26日付英語原文

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