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  • 国別報告書制度とは
  • 報告義務のある事業(企業)体
  • 報告期限
  • 香港における導入時期
  • 移行措置
  • 問い合わせ等

国別報告書制度とは


国別報告書制度(Country-by-Country、略して「CbC」以下「国別」、Reporting)とは、企業の税源浸食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting、以下「BEPS」)への対策として、経済協力開発機構(Organization for Economic Co-operation and Development、以下「OECD」)によって策定された、最低限導入すべき基準の1つである。

当該基準の下、特定多国籍企業グループ(multinational enterprise group、以下「MNEグループ」)は、下記の条件に当てはまる場合に、該当する会計年度に関連する報告書を提出することが要求される。

  • 前会計年度の年間のグループ連結売上高が、少なくとも7.5億ユーロ(もしくは68億香港ドル)以上であり;かつ
  • 税務上の居住地国が異なる、恒久的施設を含む2つもしくはそれ以上の事業(企業)体(以下「事業体」で統一)で構成されていること。
国別報告書は、MNEグループを構成する各国の事業体が、経済活動に従事する税務上の居住地国毎における所得、納税額及び特定の指標の全世界配分に関して、詳細かつ共通の情報を収集することを要求し、また、財務情報が報告された全ての構成事業体のリストの作成と、その中では、当該構成事業体の設立された場所(もし税務上の居住地国とは異なる場合)及び主要な事業活動の内容を明記することが求められる。

国別報告書は、二国間租税条約等の権限のある当局間合意(qualifying competent authority agreements、以下「QCAAs」)に基づき、MNEグループの構成事業体所在地国の税務当局と自動的に情報交換が実施される。

提出義務のある事業(企業)体


国別報告書は、最終親事業体等の居住地国における税務当局へ提出されることが要求されている。

最終親事業体等の居住地国において、国別報告書の提出が求められていない場合や、他国との有効なQCAAsが締結されていない場合は、MNEグループを構成する各国の事業体のうちの1つが、国別報告書をその居住地国における税務当局へ提出することが要求される可能性がある。そのような状況下では、MNEグループは、ある国に所在する構成事業体のうち1つを、国別報告書を作成取りまとめ、その居住地国における税務当局へ提出する、代表国として指名することが認められている。

報告期限


国別報告書は、対象となる会計年度の終了時から12カ月以内に提出することが要求されている。

香港における導入時期


香港政府は、BEPSへの対策として、OECDが打ち出した措置に対する意見を収集し評価すべく、2016年10月26日に協議会を開始し、2016年12月31日まで継続している。

当該諮問書(http://www.fstb.gov.hk/tb/en/consultation-paper.htm)において、国別報告書の香港における導入設置が提案されている。

必要な法令の修正を条件として、MNEグループは2018年1月1日以降から開始する会計年度より、香港において国別報告書の提出が要求されることとなる。

移行措置


いくつかの国地域(税務管轄区域)は、2016年1月1日に開始する会計年度から、国別報告書制度を導入している。香港が税務上の居住地国である最終親事業体等を持つMNEグループ(以下「香港MNEグループ」)が、それぞれの国地域で国別報告書制度の義務を満たすことを促進すべく、香港税務局は移行措置として、最終親事業体等による代理提出を受け入れることに対し、準備を進めている。

当該移行措置の下、香港MNEグループは、他の国地域(税務管轄区域)との情報交換を目的として、2016年1月1日から2017年12月31日の間に開始する会計年度に関する国別報告書を、香港税務局へ提出することが許容される予定である。最終親事業体等による代理提出は、完全に任意であり、下記項目を前提として、対象グループの構成事業体所在地国での提出義務が緩和されることも検討される-

  • 必要とされる法律的枠組みが、2017年12月31日までに香港で制定されていること;
  • 香港と関連する国地域(税務管轄区域)とのQCAAsが、2017年12月31日までに有効となっていること;
  • 法律的枠組みの下で提供されることとなる国別報告書が、報告期限までに提出されることを、香港税務局が通知されていること;並びに
  • 対象グループの構成事業体所在地である国地域(税務管轄区域)における権限のある当局に、必要であるならばその国(地域)内の法令に基づき定められた報告期限までに、香港税務局に国別報告書が提出されることが通知されていること。
香港税務局は、2017年第1四半期に展開される予定である当該措置の手続を目下策定している段階である。一方で、香港において代理提出を予定している香港MNEグループの最終親事業体等は、下記項目を明記した書面を作成し、その取締役、秘書役もしくは執行役員等によって署名の上、提出する必要がある:

  • 最終親事業体等のフルネーム;
  • 最終親事業体等の香港における商業登記番号;
  • 香港税務局に提出される対象グループの国別報告書の会計年度;
  • 国別報告書に含まれるべき個々の構成事業体のフルネーム、納税者番号及び税務上の居住地国((税務管轄区域)を記載したリスト);並びに
  • 対象グループの構成事業体所在地である国地域(税務管轄区域)における権限のある当局に、必要であるならばその国(地域)内の法令に基づき定められた報告期限までに、香港税務局に国別報告書が提出されることが通知されていること。
当該書面通知は、下記住所まで郵送可:
Chief Assessor (Tax Treaty) 総評税主任(課税協定)
G.P.O. Box No. 10856
Hong Kong
(Re: Country-by-country reporting) (Re: 国別報告書制度)
もしくは電子書面にてcbc_reporting@ird.gov.hkまでEメールでの提出も可。

香港MNEグループは、異なる国地域(税務管轄区域)での報告義務要件が多岐に渡る可能性があるため、上述の移行措置が、その全ての関連する国地域(税務管轄区域)での報告義務から解放するわけではない点に留意が必要である。

問い合わせ等


国別報告書制度についての質問があれば、cbc_reporting@ird.gov.hkまでEメールでの問い合わせが可能である。

http://www.ird.gov.hk/eng/tax/dta_cbc.htm(原文、2016年12月23日更新)

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