香港

香港・税源浸食と利益移転への対応策に係る諮問

 香港政府は2016年10月26日に、企業の税源浸食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting、以下「BEPS」)への対策として、経済協力開発機構(Organization for Economic Co-operation and Development、以下「OECD」)が打ち出した措置に対する意見を収集し評価すべく、協議会を開始した。

 香港財経事務及庫務局(Financial Services and the Treasury Bureau)局長の陳家強教授は、「香港は、税務上の透明性を促進し、租税回避行為と闘う国際社会を支持する立場にある。BEPSへの対策の設置及びその実施は、国際社会の税務協力体制への我々の承諾を示すものである」と述べた。

 OECDによって提唱された一括法案は、BEPSに取り組むための15項目の行動計画を網羅しており、国際税務規則の首尾一貫性の改善に努め、経済的実質及び価値創造に対応する課税を再調整し、高い透明性を持つ税務環境を促進するものである。OECDの最優先課題は、有害な税制を取締り、租税協定の濫用を防止し、国別の報告義務を導入し、紛争解決のメカニズムを効率化する、4項目の最低基準の設置状況を監察することである。

 国際金融センターであり、国際社会の責任ある一員として、香港は2016年6月に、国際社会のBEPSに関連する税務協力体制への承諾と継続的な対策実施をOECDに示した。当該承諾は、香港で必要な法案が適時可決され、制定されることを前提としている。香港は現在、OECDがBEPS法案を設置し実施していくために設立した包括的な枠組みに参加する国・地域の一員である。

 陳家強教授は、「香港は、BEPS法案の要求を満たすために、現存の税務法規を修正する必要がある。我々の対策設置戦略を明確に組織立てるため、我々の簡素でかつ低税率な措置に影響を与えることなく、国際標準に準拠する修正モデルを確保する必要がある」と表明した。

 また、「BEPS法案実施の予定表は、既に逼迫している、OECDの要求を満たすために、2017年中頃に立法会に関連する税務条例の修正案を提出することが、現在の我々の目標である」とも加え付けた。

 香港は、4項目の最低基準とそれらの設置に直接関連する措置に注力する。我々が優先すべき事項は、OECDによる最新の指針を包括する移転価格税制、税務裁定に係る自発的な情報交換、国別の報告義務、紛争解決のメカニズム並びに多国間の仕組みに対し、必要な法律の枠組みを制定することである、

 上述に係る諮問書は、香港財経事務及庫務局のウェブサイト上に、既に掲載されています(http://www.fstb.gov.hk/tb/en/consultation-paper.htm)。市民の皆様より、財経事務及庫務局収入組へのお便り(香港添馬添美道2號政府總部24樓)、ファックス(2179 5848)もしくはEメール(beps@fstb.gov.hk)でのご意見のご提出を心よりお待ちしています。

 なお、当該2カ月間の諮問期間は、2016年12月31日を以って締め切られます。

原文、2016年10月26日更新