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ここ1~2年ほど、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国のうち、日本で将来の有望先として注目度が高かった国の1つがミャンマーだ。テイン・セイン現政権が発足した後に進んだ民主化で国際的イメージが著しく向上し、安価な人件費などが注目されたことが大きい。ところがこのところ、ミャンマー・ブームが一服感をみせる一方で、カンボジアの注目度が上がっているという話を耳にするようになった。今回はこの国を取り上げる。

1970 年代に起きたポル・ポト政権による虐殺や長期にわたった内戦などがマイナスイメージとして災いした上、こうした歴史的経緯にも原因がある国民の識字率の低さほかも影響し、日本では投資先としてのカンボジアのイメージは長い間、良いとはとてもいえなかった。対照的に、中国や韓国の企業が存在感をみせていたのが実態だ。

しかし今は、状況が変わってきた。象徴的な出来事の代表例は、2011 年のミネベアによる工場進出だろう。日本を除くアジアの2大モノづくり拠点である中国とタイの双方に強い生産基盤を持つ同社が、両国のリスクを勘案してタイ周辺国への新規工場進出を検討した結果、選んだのはカンボジアだった。ベトナム、ラオス、ミャンマーのそれぞれが持つデメリットが、カンボジアでは相対的に小さいという理由だったとされる。前後して住友電装のようなワイヤーハーネスメーカー、あるいは繊維メーカーなどが相次いで同国進出を決めた。カンボジア投資委員会(CIB)の認可案件でみると、昨年の日本からカンボジアへの投資は約2億 1,230 万米ドルで、ランクは前年から 11 ランクも上がり、一気に3位に躍進。The DailyNNA 香港&華南版 11 月 25 日付に掲載した「台頭するASEAN、中国巻き込むビジネスモデル」番外編で引用したみずほ銀行香港支店のコメントに表れているように、カンボジア投資についての関係機関への照会も一部で増える傾向がみられるようだ。

カンボジアの持つメリットとは何か。まずはやはり、少なくとも従来は政治が安定していたことがあろう。ヘン・サムリン政権時代から 30 年近くにわたってほぼ一貫して指導者の地位にあり続けるフン・セン首相率いる与党・カンボジア人民党がつい最近まで強固な支配体制を築いていた。人件費も縫製・製靴業で最低賃金が月 80 米ドルへと大幅引き上げがあったとはいえ、まだタイ(日額 300 タイ・バーツ=約 9.3 米ドル)、ベトナム(来年1月から最も高い地域で月額 270 万ベトナム・ドン=約 127 米ドル)などよりは安い。実質的に流通している通貨が米ドルであるため、為替リスクがない。特別特恵関税制度が享受可能な点もポイントの1つだ。

一方、電力や物流インフラなどの整備が遅れているほか、7月に行われた総選挙でサム・レンシー党首率いる最大野党のカンボジア救国党が大躍進。選挙に不正があったとして下院をボイコットし、選挙のやり直しを要求して今も抗議運動を続けている。盤石に見えたフン・セン首相とカンボジア人民党による支配体制がついに揺らぎ始めたということだろう。ポスト・フン・セン時代が近付いてきたとも解釈できる。投資先として本格的に脚光を浴び始めたカンボジアの動向は、目を離せないと言ってよさそうだ。

NNA香港

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カンボジア、本格的に脚光 from 香港・中国・東南アジア法令情報サイト NAC Global .NET