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前回は、外国人(法人)がインドネシアにおいて投資を行うに当たっての進出形態等について書きました。今回は、実際に進出した会社が直面する会計・税務について見ていきたいと思います。

インドネシアの会計制度

インドネシアの会社法では、企業の会計処理にあたりインドネシア会計基準(PSAK)を遵守することを求めています。インドネシア会計基準は、インドネシア会計士協会(IAI)の下に設置されている会計基準委員会によって設定、改廃されており、その内容は、現在では国際会計基準とほぼ同等な会計基準になっています。会計と取引記録は原則としてインドネシア語及びインドネシア通貨のルピアを使用しますが、財務省が他の言語と通貨を承認した場合はその限りではなく、英語とUSドルが認められるケースが一般的です。以前はインドネシアも他の途上国と同様に、USドルが現地通貨と並行して流通しており、特に外資系企業は国内取引でもUSドル決済が主流でしたが、現在では現地通貨が比較的安定していることや、2011年に施行された新通貨法により、貨幣(紙幣・硬貨)の国内での使用をルピアのみに規制したこともあって(国際取引又は銀行への振込及び外貨預金を規制するものではない)、USドル会計は最近では保税地域で活動を行う企業等に採用される程度にとどまっています。

インドネシアの税務

インドネシアの国税は、所得税(個人所得税及び法人税)、付加価値税(奢侈品販売税を含む)及びその他の税(土地・建物税法、印紙税、関税その他)に分かれます。日本でいうところの地方税や均等割、事業税のようなものはありません。

法人税は、従来は課税所得に応じて10~30%の段階税率でしたが、2009年には一律28%、2010年には一律25%に下がっています。更には、年間売上が500億ルピア以下(約5億円)の企業は、課税所得48億ルピア(約4,800万円)までの部分について所得税が更に50%減額される、すなわち12.5%の税率が適用されるという優遇措置を設けています。アジアを見渡すと、中国・ベトナム・韓国は法人税率が25%以下、香港・台湾・シンガポールでは16~17%となっており、インドネシアも税率では他のアジア諸国と比較しても見劣りしない、特に、中小企業向けの優遇税率はかなり魅力的なものといえるでしょう。一方、個人所得税については、以前は5~35%の累進税率であったものが、現行5~30%となっています。最高税率30%が課税されるのは年間課税所得が5億ルピア(約500万円)を超える部分です。日本の国税庁が発表したサラリーマンの2011年平均年収は409万円ということですが、駐在員の多くは外国での居住に必要な諸手当が給与に加算されることもあり、所得税の計算では30%が適用される部分が多く、税負担は日本に居た時よりも相対的に高くなると言えます。

前払いが多いインドネシアの徴税システム

納税方法は、基本は自己申告システムをとっており、納税者は自分で支払うべき税金の申告と納付を行います。一方で、インドネシアの徴税システムで特徴的なのは、源泉徴収方式や前払い方式によるものが多いということです。例えば、輸入時の前払所得税(PPH22)とは、製造会社や商社等の輸入業者が材料・物品を輸入する際、輸入関税(関税表による%)・付加価値税(10%)と一緒に通関時に納税するもので、通常は2.5%(貿易ライセンスを所有しない場合は7.5%)です。また、国内サービスに対する源泉税(PPH23)とは、インドネシア国内で提供するほとんどのサービスに対して課税されるもので、サービスの提供を受けた側が、通常その請求された金額の2%を源泉しサービスの提供者に代わって納税するものです。同様に、海外サービスに対する源泉税(PPH26) には技術支援料、ロイヤルティー、借入金利息の支払い等すべてのサービス対価への支払いに適用され、通常は20%の源泉を義務付けていますが、二国間租税協定が締結されている国(香港、日本を含む)への支払いは居住証明の発行により源泉税率が軽減される場合があります。一方、PPH4-2は土地建物賃貸料にかかる源泉税(税率は10%)で源泉分離方式となります。これらの所得税は全て前払税金の性格を持ち、確定申告の際に法人所得税から控除することになります。この制度は、納税意識の低いインドネシアの納税義務者から少しでも前もって税金を徴収したいという税務当局の意向の表れであることが伺えますが、納税者は付加価値税を含めこれらの申告納税を毎月行わなければならず、この税務コンプライアンスのために費やす時間は決して少なくはありません。また、前払いシステムが主体であるにもかかわらず、その前払いしたものを業績不振等の理由で還付請求するための制度は未だ十分とは言えず、仮に最終損益が赤字になったためにこれらの前払税金の還付申請を行った場合、その還付決定には必ず税務調査を伴いますので、還付までに時間がかかるだけでなく(通常は1年程度)、なかなか請求額通りの還付が行われないのが現状です。そのため、期中においても常に損益の状況を見ながら、業績が下方修正になるような時にはこれらの前払税金の免除を申請する等のプランニングが重要になってきます。

付加価値税・奢侈品販売税~インドネシアのグッチはなぜ高い?~

インドネシアの付加価値税率は10%で、全租税収入の30~35%と国税収入の中で重要な位置づけを占めています。また、付加価値税法の中には、別途、奢侈品販売税というものがあります。奢侈品(しゃしひん)とはいわゆる贅沢品のことで、奢侈品と見なされる物品の場合、付加価値税に加えて奢侈品販売税が課税されます。税率は10%から最高200%としています。インドネシアの奢侈品販売税は電化製品や高級住宅等にも課せられ、税率も高いため、関係業界団体からは製品の国際的な価格競争力を損なうものとして、これを廃止(又は軽減)したいとする政府への交渉が長期間に渡り行われています。筆者は五年前にシンガポールからインドネシアに移り住んだばかりでまだインドネシアの税制について知識がなかった時、食事や生活に関する物品は安いのに、グッチやルイヴィトン等のブランド品が高く驚いたことを覚えています。現行、ハンドバック等の革製品には40%もの奢侈品販売税がかかります。ブランド品の価格を設定するのは税金だけではないと思いますが、この要素も当然ながら価格には大きく影響していると思います。どうりでシンガポールのショッピングモールにはブランド品を買っている多くのインドネシア人を目にしたものだと思ったものです。

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[ビジネス支援室] インドネシア投資実態レポート (3) from 香港・中国・東南アジア法令情報サイト NAC Global .NET