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香港に来て一番驚いたのが、定食屋である茶餐廳(チャーチャンテン)のメニューの多いこと! 最初は麻婆丼みたいなぶっかけご飯系や炒飯のような中華っぽい定番料理をイメージして入りましたが、カレーや麺類も当然のように一通り揃ってますし、ステーキ定食やスパゲッティみたいな洋食もあります。さらにはサンドイッチやハンバーガーまで出てくるのですから、飲食店の品揃えとしては世界一じゃないでしょうか? しかもそんな茶餐廳がそこら中にいっぱいあるのですから、どこの何がおいしいのかを自分一人で開拓するのは不可能というしかありません。



そんな状況ですから、メニューリストをもとに適当に注文していると、「エーッ、なにこれ? 」「この値段でこれかーい!?」といったこともよくありますよね。メニューリストって結構重要で、一見のお客さんならば普通はメニュー表をもとに注文しますから、メニューリストはそのお店に関する情報そのものと言えるかもしれません。当然、お店側としてはメニューリストに魅力的な商品名や値段をつけて勝負してきます。

そこで今回は茶餐廳のメニューリストを監査してもらおうと思います。

「このチャーチャンテンのメニューは値段相応か? 」という観点から、良い、まあまあ、ダメの3段階で監査意見を表明してください。

こんなお題を与えられたら、どこから手をつけますか? 私ならこうやります。

  1. 周囲周りのチャーチャンテンも回って、他の店のメニューリストを集めてくる。きっとどの店も同じようなメニューでしょうから、それぞれのメニューの平均的な値段を計算し、その平均値と比べてみる。
  2. メニューの名前はだいたい5文字か6文字の漢字で書いてあるので、食材はだいたい想像できる。その食材の値段などからメニューの値段を予想し、実際の値段と比べてみる。
  3. ランダムに10個くらい頼んでみる。それぞれ食べてみた結果を踏まえ、払ってもいい値段と実際の値段を比べてみる。
よほどのグルメか食通じゃない限り、おそらく大多数は似たようなやり方をするのではないでしょうか?理由を今から説明しますが、その前に頭を柔らかくして、茶餐廳のメニューリストを会社の決算書だと思って読んでください。決算書も文字と数字が書いてありますよね?メニューリストと同じなんですよ!

①、②の方法では、まだ何も食べてません。ただやみくもに食べたとしても、相場が分からなければ値段相応かどうかなんて分かるわけはないんです。①のように他社の情報と比較することによってはじめて、相対的な判断を下すことができます。また、②のように自分でそのメニュー自体の原価を予想することだって有効です。ホテルでジュースが300円もすると割高だと反射的に思うのは、そのジュースの原価を知っているからです。このようなやり方を、監査の世界では「分析的手続」と言います。要するに、推定値と実績値を比較する方法ですね。この場合では、同業他社平均という推定値と実際の値段という実績値を比較して判断しています。かなり効率的なやり方ですので、ささっとこれだけやって結論出しちゃう人もいるかもしれません。でもこれだけでは不十分だ、というのが次の③で分かります。

③の方法では、実際に食べてチェックしています。同じ名前のメニューでも美味しかったりまずかったりするわけです。それでは実際の料理の味を知らずに値段相当かどうか結論なんか出ないですよね?それにはやはり食べてみるという行為が必要になるのです。ただおおよその予想は分析的手続でしてありますので、いくつか実際に食べてみることによって、最終的な結論が決まることになります。このようなやり方を、監査の世界では「証票突合」といいます。帳簿とインボイスを突き合わせてチェックするのが典型的な証票突合です。

監査とは、分析的手続で予想して証票突合で確認する、という2つの手続きをコツコツと積み重ねて出来あがっていく地道な作業なのです。茶餐廳のメニューリストが帳簿に見えるくらいのマジメな仕事人間じゃないと務まらないでしょうね!

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