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日本にいる限りほんの一部の大会社でしか聞かれることのなかった「監査」の響き。ところ変わってここ香港中国では、どんなちっちゃな会社でも「監査」を避けては通れません。こちらに赴任してきた方ならば、身をもって「そういうものだ」というのを実感されていることでしょう。

とは言え、一方では心の中でこんな疑問が渦巻いていませんか?

  • なんでこんなに監査対応で時間を取られなきゃならないの?
  • 監査人は会議室に籠もって何をやってるんだ?
  • 監査の結果はなんか影響あるの?
  • 監査費用なんて、安けりゃいいんじゃないの?本社がわざわざ高い監査人を指定してくる意味が分からない。
今回から始まるこの連載では、これら現地責任者が抱く「監査」に対する素朴な疑問をひとつずつ解決していく予定です。

ただ、ちょっと待ってください。そもそも「監査」ってなんでしょうか?この疑問が一番素朴でありながら本質的な疑問だと思いますので、最初はここからお話したいと思います。

決算書の内容は、株主や税務当局、債権者にとって、直接の利害に関わる重要な情報ですが、作成するのは会社・経営者自身です。従って、そのまま決算書を出されても、粉飾の恐れがありますので、信用できません。つまり、誰かに「これは信用してOKです」と保証してもらう、という仕組みが必要になるのです。ただ、誰でもいいという訳ではありませんよ。あくまで「信用できる誰か」に保証してもらわなければ意味がありません。つまり、監査を一言で言えば、こういうことです。

監査 = 「信用できる誰か」が、「これは信用してOKです」と保証すること

それではこの定義に基づいて、具体的に「監査」のイメージを膨らませていきましょう。

(1) あなただったら、どんな人ならば信用できますか?会社・経営者とグルだと思われる人に「これは信用してOKです」と言われても信用できますか?できないですよね。つまり、少なくとも、会社・経営者とは全く外部の人間でなければなりません。

→ 監査する人は会社・経営者から完全に独立した第三者じゃないとダメ!

(2) 全くの会計の素人に「これは信用してOKです」と言われても信用できませんよね。粉飾の見抜けない監査人では監査の意味がないのです。そこで、一般的にはどの国でも監査のプロを認定し、国の信用でその専門的能力を保証しています。

→ 監査する人は会計知識と監査能力があると国が認めたプロじゃないとダメ!

(3) 「これは信用してOKです」と保証するといっても、監査する人が一から十まで全部チェックするようでは、会社・経営者としてもそのコスト負担に耐えられません。一方、全部チェックしなくても、多少の間違い程度ならば株主や税務当局、債権者からすれば許容範囲です。つまり、だいたい合ってればOKなのです。

→ 監査する人は利用者の立場に立って重要なポイントだけチェックし、最終的な結論は原則として「これは信用してOK!」か「これは信用できない!」のどちらかのみ。

この3つを押さえておけば、最初の疑問、「監査ってなんでしょうか?」を理解したも同然です。一般に「監査」を名乗る以上は、まずこの3つを思い浮かべれば間違いなく対応できるはずです。

一方、監査されていない決算書というのは、このような保証がされていないことになります。香港や中国は全ての会社が監査義務付けですが、利用者の立場からすればこの仕組みはある意味当然のように思えます。つまり、監査を受けていない決算書ではその利用者も決算書自体をそれほど信用できないため、例えば税務署などは税務調査を頻繁に行わなければなりません。日本などは税務調査が当たり前にある一方、香港ではめったに税務調査がないという事情は、このような監査の有無も影響しているのです。

次回からはひとつひとつ「監査」に対する疑問を解決していきたいと思いますが、今回の話は全てつながってきますので、是非覚えておいていただけたらと思います。

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