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事業環境の変化

日本の中小企業にとって事業承継は大きな問題となっていますが、同じような状況が香港・中国華南地域でも見られます。日系企業進出の歴史が比較的古い香港華南地域では、70 年代後半から香港経由の中国進出があったと言われます。当初の進出は大企業のほか中小企業のオーナー経営者によって行われ、大企業が布石を打ちブランドを 確立していく一方、技術と同時に小回りの利く中小企業が、おもちゃ、雑貨、衣料品を始め、様々な業種で、香港に貿易機能、華南地域に生産拠点を置いて活発 に創業し、成長させていきました。

しかし20数年を経て、企業内部では経営者の方と事業内容が世代交代期を迎えました。世代交代には、親族や従業員による事業の継続がまず検討されますが、親族が既に希望の職業を別途目指しており、また若い世代が製造業にあまり興味を持たない、持っていても 経験不足といった、継続困難な状況があります。一方、従業員は経営者の志や方針をよく理解していても、経営者となるには経験・能力が不足している、或いは 譲り受けのための資金の用意が難しいといった状況があり、世代交代が難しいのです。

企業の外部環境も変化しています。生産拠点である珠江デルタ地域の人件費や各種コストの上昇によって事業の採算が悪化、単純作業だけでは付加価値が上がらない、また輸出加工だけではなく国内市場への対応が必要など、事業の形態や内容にも変更が必要になってきています。

第三者への事業承継(M&A)

親族や従業員に後継者候補がいない場合でも、事業を継続し、継続して従業員に職場を提供したいと、第三者への譲渡(M&A)が検討されます。従業員も今後の雇用継続が約束される譲渡はむしろ歓迎するのではないでしょうか。譲渡の相手として日系企業を望む場合、狭いコミュニティですから取引先や知り合いの経営者へ直接打診する場合もありますが、当事者同士、基本的には合意に達しても、譲渡価格や、譲渡契約の詳細内容を詰めるため、専門のアドバイザーに相談したり、交渉の仲介を依頼したりするのもよい方法です。

また、事業提携のメリットは、譲渡企業(売り手)の側には分からなくとも、譲り受け企業(買い手)にはより多くのアイディアがあるものと予想されるので、仲介者を通じマッチングを行えばより多くの買い手候補が期待できます。但し秘密保持は重要となります。

譲り受け企業(買い手)によるデューデリジェンスの目的は主に、経営上のリスクの発見と、譲渡価格の参考となる企業評価の算出です。香港華南地域の来料加工廠などの潜在的なリスクには経営者にも把握仕切れないものがあり、専門家による洗い出しにより、トラブルの予防対策を行うきっかけともなります。

事業承継が大前提のM&Aでは、譲渡価格にもまして、後日の事業の継続と発展のための計画と実行が重視されます。いわゆるポストM&Aです。後継者が同業種の場合、提携後のスムーズな事業の融和が必要と思われますし、新規業種への投資となる場合には、事業環境や経営管理上の違いを早期に理解し内製化をどのように図るかを検討しておかなければなりません。譲渡企業の経営者の方は2-3年の間、顧問或いは取締役として移行のサポートを要請される場合が多いと思われますので、事業承継の計画を早期に立てられることをお勧めします。

(以上)

(この連載で紹介するM&Aのケースは、M&A体験者から伺った実例を基に編集したものです。M&Aの実務に対し何ら保証するものではありません。)

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[M&Aは今] (13)香港・華南地域の事業承継 from 香港・中国・東南アジア法令情報サイト NAC Global .NET