ベトナム・労働者のために負担した新型コロナウイルス関連の隔離費用
2020年11月10日、ハノイ市税務局はオフィシャルレター 97748/CT-TTHTを発行した。内容は下記の通りである。
企業が労働者のために新型コロナウイルス関連の隔離費用を負担する場合、対象者が明確であれば、当該費用は対象者の個人所得税 課税所得とみなされる。また、法定の要件を満たせば、法人所得税計算上、損金として認められる。
ベトナム・定年退職の年齢引き上げ
2020年11月18日、ベトナム政府は政令 135/2020/ND-CPを発行した。内容は下記の通りである。
2021年1月1日以降、通常労働条件下での定年退職年齢は、下記の通り引き上げられる。
男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|
年度 | 定年 | 年度 | 定年 |
2021年 | 60歳3ヶ月 | 2021年 | 55歳4ヶ月 |
2022年 | 60歳6ヶ月 | 2022年 | 55歳8ヶ月 |
2023年 | 60歳9ヶ月 | 2023年 | 56歳 |
2024年 | 61歳 | 2024年 | 56歳4ヶ月 |
2025年 | 61歳3ヶ月 | 2025年 | 56歳8ヶ月 |
2026年 | 61歳6ヶ月 | 2026年 | 57歳 |
2027年 | 61歳9ヶ月 | 2027年 | 57歳4ヶ月 |
2028年以降 | 62歳 | 2028年 | 57歳8ヶ月 |
2029年 | 58歳 | ||
2030年 | 58歳4ヶ月 | ||
2031年 | 58歳8ヶ月 | ||
2032年 | 59歳 | ||
2033年 | 59歳4ヶ月 | ||
2034年 | 59歳8ヶ月 | ||
2035年以降 | 60歳 |
インドネシア・過少資本税制について
インドネシアでは、2016年度の課税年度以降、過少資本税制が導入されており、一定の負債資本比率においては、負債に関わるコストが税法上の損金(費用)として認められない場合があります。
負債資本比率(Debt and Equity Ratio:DER)は4対1です。
負債は、短期・長期を含む利息のある債務が含まれ、課税年度・課税年度の各月残高の平均値によって、負債の額が確定されます。
資本には、課税年度・課税年度の各月資本残高の平均により資本の額が確定されます。
過少資本税制の基本的なルールとしては、負債資本比率が4:1を超える場合、その超過負債部分にかかるコスト(利息やアレンジメントfee、保証費用、為替による差額など)は、税法上の損金として認められません。
また、課税年度・課税年度の一部の残高平均がゼロ又はマイナスの場合には、上記コストの全額が損金として認められません。
インドネシア・PSBB(大規模社会規制)の延長と新型コロナウィルス感染症の状況(2021年1月)
ジャカルタ首都特別州知事決定2020年1193号(12月4日)
2020年12月7日から20日まで延長されたジャカルタ首都特別州のPSBB(大規模社会規制)は、2021年1月3日まで延長されました。その後、同日付のプレスリリース発表において、1月17日までの延長を発表しています。
報道によると、ジャカルタ首都特別州における感染者隔離用の病床利用率は87%以上の状態が続いており、重傷者用のHCU/ ICU(高度集中治療室)の病床使用率は79%以上が続いています。
インドネシアでは2020年3月に初の感染者確認から現在まで、感染拡大の歯止めがかかっていません。2020年9-10月で1日当たりの感染者数の減少傾向があったものの、その後、新規感染者数は増加の一途をたどっており、2020年1月初頭時点において、直近1週間では平均7000人/日程度が新規感染者として増加し平均200人/日程度が新型コロナウィルス感染症を理由に死亡しています。感染者・死亡者数ともに東南アジアではトップの高い数値を維持し続けています。他国と比較してインドネシアにおいては、医療レベルの低さの問題から死亡率が高いことと共に、感染確認から死亡までの日数が短い(平均10日程度)ことが特徴となっています。
ワクチンは、世界各国7社のワクチンを指定しており、輸入も開始されていますが、現在まで緊急使用承認がされておらず、現在、依然として治験が続いています。治験終了後、エッセンシャルワーカーから順にワクチン接種を開始する予定となっています。なお、ジャカルタ州知事条例では、ワクチン承認に先立ってワクチン接種・隔離を拒否する者には500万ルピアの罰金を科す条例が施行されています。
2020年12月初頭には、労働大臣も感染が確認されています。新型コロナウィルスを原因に死亡した者を医療機関から持ち帰り埋葬する者が後を絶たず、感染による死亡した遺体の連れ出しに対しても500万ルピアの罰金が科されます。死亡者の増加による埋葬地が不足しており、各墓地ににおいては、既存の墓石の上に新たに埋葬する形がとられ始めています。
経済の停滞により、インドネシア全体での失業率は7.07%となり、ジャカルタ首都特別州での失業率は10%を超えています。直近での失業者数はインドネシア全体で約1000万人前後となり、内400万人程度がパンデミックを理由として失業しています。
これらの状況を鑑みて、インドネシア政府は各州と共に新型コロナウィルス感染症拡大防止策と、経済刺激策を講じるとのことですが、目下、感染力の強い変異種が国内で発見されており、今後の動向には注意が必要です。
ジャカルタ・2020年最低賃金を2021年に適用する方法
ジャカルタにおける2021年の最低賃金は既に決定されております(参照:インドネシア・2021年の最低賃金)が、条件付きではあるものの、新規則により2020年最低賃金を維持することが出来る場合があります。
ジャカルタ首都特別州労働移住エネルギー局長2020年3100号規則
新型コロナウィルスによる影響を受けた会社は、下記要件を満たした場合に2020年の最低賃金(4,276,349IDR)を維持することが出来る。
- 法令記載のKBLI(事業目的番号)であること(製造・小売り・運輸など15業種)
- 勤続年数ごとの労働者数、2019年と2020年の財務諸表、NIB書面など添付の上金融サービス庁システムから申請を2020年12月18日までに行う。
- 承認がされた後、2021年においても、2020年の最低賃金の適用が可能となる。
中国・固定装置のついた非運輸専用作業車両に対する車両購入税の免除政策に係る管理事項に関する公告
(国家税務総局 工業と情報化部公告2020年第20号)(原文)
2021年1月1日より施行。固定装置のついた非運輸専用作業車両に対する車両購入税の免除政策に該当する車種、免税手続きのプロセス及び提出資料について規定した。
「車両購入税を免除する、固定装置がついた非運輸専用作業車両の目録」(以下「目録」と略称する)に列記するために、関連する車種について、自動車生産企業、輸入自動車ディーラー又は個人は、納税者が車両購入税の申告前に、工業と情報化部の「車両購入税を免除する、固定装置がついた非運輸専用作業車両の管理システム」において「目録」に記入された申請資料を提出する必要がある。
インドネシア・地方税の軽減・たばこ税の改訂・徴税手続きによる出国禁止
ジャカルタ首都特別州知事2020年115号規則
地方税である土地建物税と自動車税の軽減措置が新たに採られることとなりました。2020年度の地方税に対する減免となり、主な内容は下記の通りです。
- 土地建物税を20%軽減のうえ、納税遅延金の免除
- 自動車税(公共交通・運送機関向け自動車)の自動車税を50%軽減のうえ、納税遅延金の免除
- 2020年度のホテル税・レストラン税・広告税の納税遅延金を免除
- これらは、いずれも2020年12月30日までに納付した場合に軽減が適用できる。
たばこ税の改訂
財務大臣規則2020年10号(No.19/PMK.010/2020)
2021年よりたばこ税が平均、約12.5%引き上げられます。昨年度は2年ぶりの増税として平均23%値上げを行いました。その結果小売価格で約35%の値上げがなされました。インドネシアでは、成人男性の約7割が喫煙者といわれており高い水準となっています。また、税収の約1割がたばこ税によって賄われています。
2021年においては、新型コロナウィルスの影響を考慮して引き上げ率は大幅に抑えた改訂となりました。インドネシア政府としては、国民の喫煙率の抑制を目指し、特に現在10%近くで推移する子供の喫煙率を抑止したい意図があります。一方で、違法タバコの摘発件数も増えている現状もあり、税率改定と共に取り締まり強化が期待されています。
徴税手続きによる出国禁止
財務大臣規則189号(No.189/PMK.03/2020)
納税者が税金を滞納している場合の徴税手続きを改訂しています。既定の中では、差し押さえ手順などと共に出国禁止令の規定が設けられています。
規定上、税務債務(滞納)が1億ルピア以上ある場合で、逃亡のおそれがある場合に納税者に対して出国禁止令が課される場合があります。
インドネシア・年末年始の移動・入国規制の強化
インドネシア政府・各州政府は、クリスマスシーズン・年末年始の新型コロナウィルス感染症拡大防止の為、移動・入国の規制を強化しています。
国家災害管理局2020年回状3号
2020年12月19日から2021年1月8日までの間
- 市外へ外出する場合には、健康プロトコルを遵守(マスク・手洗い・ソーシャルディスタンス)を義務付ける。マスクは布マスクは3層、医療マスクは鼻まで覆うこと。
- ジャワ島内の移動(空路又は鉄道)72時間以内のRapid testの証明書の提示とe-HACの記載が必要。
- 12歳未満の者は検査を義務付けない。また、首都圏内を陸路でルーティンとして移動している者には検査書面の提示義務はない。
- 新型コロナウィルスの症状が出た者は市外への移動が認められず、陰性結果が出るまで自主隔離が義務付けらえる。
- 海外からの入国は、72時間前までのPCR結果の陰性証明が義務付けられる。入国後、PCR再検査が行われ、結果が出るまで外国人は自費でホテルや宿泊施設などの保健省指定の隔離施設での待機が義務付けられる。
ジャカルタ首都特別州:2020年64号指示
2020年12月18日から2021年1月8日までの間
- オフィスの営業は19時までとして、引き続き50%未満の出勤率を保つ
- ショッピングモールなどは21時までとし、人員50%未満を保つ
- 不要不急の外出を可能な限り控え、週末・祝祭日の営業時間までは19時までとする。
バリ州:州知事回状2021号
2020年12月18日から2021年1月4日までの間
- バリへ空路で入域する者へ出発前48/時間以内のPCR陰性結果証明の提示とe-HAC(ヘルスアラートカード)の記載を義務受け
- 陸回路の場合には、Rapid Testの陰性結果証明の義務付け
- 上記書面はバリ滞在中は携帯が義務付けられ、14日間の有効期間内であれば出域できる。
- 飲酒、クリスマス・カウントダウンの催事開催、爆竹の使用の禁止
運輸大臣回状2020年20号21号22号23号
- 鉄道でのジャワ島内の都市間移動においては、出発前3日以内の迅速抗体検査の陰性証明が必要。ジャワ島外への都市間移動は14日以内の検査が陰性証明が必要。
- 航空機での移動について
(1)海外からの入国は、出発前3日以内の迅速抗体検査の陰性証明が必要。
(2)ジャワ島内の移動の場合は出発前3日以内の迅速抗体検査の陰性証明が必要。
(3)バリ島への移動の場合は出発前7日以内の迅速抗体検査の陰性証明が必要。 - 船舶での移動について
(1)国内からバリ島への入港は、出発前3日以内の迅速抗体検査の陰性証明が必要。
(2)海外からバリ島への入港は、発行から3日以内のPCR検査の陰性証明が必要と共に、到着時PCR検査、到着時検査で陰性が出るまで政府指定施設での隔離が必要。 - 乗用車等での移動について
(1)バリ島への入島については、出発前3日以内の迅速抗体検査の陰性証明が必要。
(2)ジャワ島への入島・ジャワ島内での移動については、出発前3日以内の迅速抗体検査の陰性証明を保有することを推奨する。
国家災害管理局2020年通達4号(12月28日付)
2021年1月1日から14日まで、外国人の入国を一時停止する。但し、ITASやITAPの定住者や外交公用滞在の者を除く。
これらの期間に入国をする外国人(ITAS/ITAP等保持者)は、入国前3日前までのPCR陰性署名を取得の上入国し、入国する空港でもPCR検査を行う、空港の検査で陰性であったとしても、5日間は政府指定宿泊施設での隔離が行われ、隔離後のPCR検査で陰性であった場合には、移動が可能となる。
中国・異地社会保険代理納付に注意!広東省《労務派遣管理の規範化についての通知》
中国の労務管理において、企業は自社で労働契約を締結した従業員の社会保険(及び住宅積立金)を加入納付する必要があるが、企業の登記所在地と、従業員の採用若しくは勤務地が異なる場合に、従業員の要望・便宜等を考慮して、従業員の勤務地にあるFESCO等の人事サービス企業と「人事代理サービス」を締結し、FESCO等企業の名義の下で勤務地での社会保険に加入するケースがあり、日系企業でも中国各地で営業マンを採用したり勤務させたりする際にこの方法を活用するケースが見受けられる。
北京市社会保険センターによる通知
2020年6月末に北京市の社会保険センターが発布した通知は、FESCOや労務派遣企業等(以下、HR企業と略称)従業員の社会保険加入時のシステム入力において、契約の種類(労務派遣契約/人材請負契約等)と、従業員の使用者企業情報を契約ごとに分類し、契約内容に合致する実際使用者企業情報を詳細に入力させるというもので、使用者企業情報欄が北京市の社会保険システムに存在しない企業名の入力や、未入力のままではシステム入力が完了できず、社会保険加入手続きが完成できないようにするものである。
北京市では、他地域に登記されている金融業種等の企業が、北京で分公司等の登記をせず、HR企業に社会保険の“代理納付”を依頼する状況が非常に多く、北京市社会保険待遇の不正受給として深刻な状況があったため、加入時の名義と、契約関係をシステムで明確に区分し入力させることにより、代理納付による加入を防止するという対策を取ったものと理解されている。
広東省での指導意見の発布
北京市の通知が他の市でも同様に実施されないか懸念されていたところ、広東省人力資源と社会保障庁が12月1日実施とする《労務派遣管理を更に規範化することに関する指導意見》で、就業促進、人件費軽減等のため益々労務派遣の需要が増大し労務派遣企業が増加する中、労働関係を偽装して社会保険に加入する、実際には労務派遣であるのに請負契約を偽装するなどの違法行為が多発しているため、労務派遣管理を一層規範化する という指導意見文書を発布している。
規範化の項目には、労務派遣企業の資格要件審査の厳格化や、広東省外の労務派遣企業に対する分公司登記等の義務化のほか、労務派遣の使用者企業の実名情報登録管理、労務請負業務と労務派遣業務の区分の明確化等を強化するとしています。また、労務派遣中の違法行為を厳重に追及するとし、違法派遣や「労働関係を偽装して社会保険に加入すること」「地域を超えて派遣すること」等を厳重に調査処罰するとしており、今後、北京市と同様に、人事代理サービスによる社会保険の代理納付ができなくなることが懸念される。
今後の対策として検討できるのは、企業自身が分公司を登記するのか、若しくは、労務派遣資格のある企業と労務派遣契約を締結する、人事サービス企業との請負契約の締結等であるが、いずれの場合も、実態に即した契約により社会保険納付の名義に違法性が無いことを確保する必要がある。
規定原文
2020年12月1日実施
《広東省人力資源と社会保障庁 労務派遣管理を更に規範化することに関する指導意見》粤人社規[2020]43号(原文)
2020年7月実施
北京市社保センター 労務派遣企業と人力資源服務企業の社会保険加入に関する問題についての通知(原文)