2018-08-20掲載記事
昨年5月1日の営業税を増値税に移行する税制改革「営改増」の全面実施後に交付された増値税の規定について5回にわたり説明をしてきました。今回は営改増により新たに増値税の課税行為となったサービス提供などの納税義務の発生時点を確認していきます。
1. 収益の認識と増値税の納税義務の発生
中国では、商品売買やサービス提供等の取引成立に伴い発行する増値税の「発票(ファーピャオ)」が、取引が行われたことを示す合法かつ税務上有効な証憑であるため、発票を発行した時点で売上計上するという、いわゆる「発票基準」が実務として行われていることが少なくありません。しかし、企業会計準則及び企業所得税法上も収益は発生主義(注1)を原則として認識するものと規定されています。一方、増値税の発票については「増値税発票発行指南」(税総貨便函[2017]127号付属書類)において、納税義務が発生した時に発行しなければならないとされています。増値税暫行条例(国務院令第538号)によると、増値税の納税義務の発生認識の原則は、販売代金を受領または販売代金請求に関する証憑を取得した日(物品の輸入の場合には通関の当日)とされており、収益の認識とは一致していません。
(注1) 中国語表記は「権責発生制」。
関連規定: 企業会計準則基本準則第9条、企業会計準則第14号、企業所得税法実施条例第9条、国税函[2008]875号、増値税発票発行指南第1章第1節四、増値税暫行条例第38条、増値税実施細則38条、国家税務総局公告2011年第40号、他。
(続きを読む…)