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1. CEPAの歩み

中国内地と香港とは、中国の初めてのFTAとして2003年より『内地と香港の経済貿易緊密化協定(CEPA)』を締結して以来、2013年までの間《(“~第10”)補充協議》により毎年、中国の市場開放及び貿易と投資に関する便利化を進めてきました。

2014年の協議(2015年3月施行)からネガティブリスト形式も取り入れ、新たに《内地広東と香港のサービス貿易自由化協議》(『広東協議』)により広東省における香港企業と香港人のサービス貿易の実施*1に対し全面自由化を開始しました。*2

その後CEPAはこの度締結された協議を含め、以下の4つの協議を包括する枠組みとなっています。

名称締結日
サービス貿易協議2015年11月27日
投資協議2017年6月27日
経済技術合作協議2017年6月28日
貨物貿易協議2018年12月14日
*1:クロスボーダーサービス若しくは商業実態によるサービス貿易を含む。
*2: 2014年12月作成のCEPA(香港と広東のサービス貿易自由化)原稿をご参照ください。
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深セン市の製造業日系企業が移転や撤退を検討する中、深セン市は一貫して産業の高度化を進め、国内外からの先進技術や人材を積極的に誘致すると同時に、創業や技術革新活動、知的財産権の申請等を強力に支援しています。政府支援を追い風に深センのイノベーションやスタートアップ企業の活動が盛り上がりを見せる一方、多くの既存の日系企業は今のところこの追い風を利用・活用しきれているとはいえません。
中国で企業所得税の内外資統一後に実施されてきた優遇税制としてよく知られているのはハイテク企業認定ですが、深セン市の現行規定は2008年の「深セン市人民政府印刷発布 自主イノベーションを強化しハイテク技術産業発展を促進する若干政策措置の通知」(深府[2008]200号)、2009年の「深セン市ハイテク企業認定管理弁法」(以下、認定管理弁法)に基づくものです。同市がハイテク認定を開始してから現在に至るまで、国及び市のハイテク企業認定は合わせて実に14000社を超えています。国のハイテク認定は申請者による知的財産権の所有が前提ですが、深セン市のハイテク認定は知的財産権の独占使用許可や、実用新案による申請も認めており、国の認定よりもハードルが若干低いものとなっています。ハイテク認定により、25%の企業所得税率が15%に減税となることが規定されているほか、深セン市内の産業園区への入区がしやすくなり、土地の商業化に伴う移転リスクを低減することができるかもしれません。あらためて深セン市のハイテク企業認定について以下に紹介します。
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中国華南地域の経済圏は、従来の「珠江デルタ」(「珠江三角洲」)という呼び名が、香港及びマカオを加え一国二制度の投資環境を相互に補完する大珠江デルタ(「大珠三角」)から更に「広東・香港・マカオ大湾区」(「粤港澳大湾区」)となり、進化しています。広東省は21の市で構成されていますが、その内、大湾区を構成するのは広東省9市(広州、深セン、佛山、東がん、恵州、中山、江門、珠海、肇慶)と香港、マカオとなります。この地域を今後、世界有数のベイエリアとして発展させようというのが粤港澳大湾区構想です。この地域は面積56千㎡、人口6千8百万人、GDP1兆36百億米ドルと報道され(2016年数値)、一人当たりGDPは東京の3分の1である2万米ドル余りながら、輸出入貿易額は東京ベイエリアの3倍であると発表しています。
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珠江デルタの主要通路の一つであり、シンセンの広深高速等と並ぶ幹線道路に、107号と呼ばれる北京から文錦渡税関まで通っている国道があります。この宝安(シンセン特区外の西側エリア)沿線には、前海港、深セン空港といった貨物運輸のハブがあり、日系製造業も昔から多く進出しています。昨今、この沿線を第二の深南大道にするという、総工費150億元の「107国道改造プロジェクト」が発足していて、市の地下鉄建設やパイプラインの建設と合わせて近隣土地の商業化が行われることが予想され、沿線の製造業が移転を迫られる不安にさらされています。

「107国道改造プロジェクト」は2016年1月に深セン市発展改革委員会が交通運輸委員会に対し、南頭で北環路・深南大道に繋がる地点から、新安・西郷・福永・沙井・松崗の5か所の街道(行政区画)を北上する31.4kmに対し道路拡張・立体交差・トンネル・地下パイプライン建設を含む大工程を認可したものです。
更に、2016年3月には、この沿線での貨物車両の通行を制限し、沿江高速~松福大道~南光高速へ誘導するという工程に対する認可を出しており、これが地元で「107国道大改造、まもなくトラック通行禁止」といった新聞記事になったようです(実際には2017年11月に至るまで通行制限は実施されていません)。
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7月13日付で発布された《企業を単位とする加工貿易監督管理モデル改革試行についての公告》(税関総署公告2017年29号)(以下、29号公告)に基づき、黄埔税関による企業を単位とする加工貿易監督管理モデル改革についての通知が8月22日に発布されました。主な内容は以下の通りです。

1. 加工貿易監督管理モデル改革の試行範囲と期間

黄埔税関は広州の一部と東がん全域を管轄としていますが、試行範囲として、加工貿易の多い地域である下級税関の東がん税関、新塘税関、駐開発区弁事処、駐長安鎮弁事処、駐鳳崗弁事処、駐常平弁事処を含み、これらの範囲で同時に、2017年7月に試行業務を開始したとしています。

企業を単位とする監督管理モデルの業務範囲として、帳簿設置(変更)、輸出入、外注加工、深加工結転(=転廠)、国内販売、余剰材料の結転(=繰越)、申告と(期間終了時の)照合抹消等を含むとしています。
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広東省の経済政策では、輸出型製造企業を誘致し、保税の優遇を与えて加工貿易に従事させることを重視してきましたが、資源保護・環境保護視点の制限を実施し、輸出還付率により貿易政策上の優越をつけ、来料加工などの経営延長を認めず、輸入設備に対する増値税の保税措置を取りやめるなど、企業が産業のモデルシフトや付加価値の高いサプライチェーンの構築などに取り組むよう政策を進めてきています。

近年の加工貿易政策の一つには加工貿易の制限類・禁止類の公布もありました。禁止類商品は、当該商品の輸出還付率を0にし、保税での輸出入を行う加工貿易を禁止するという措置を取っています。一方、制限類商品は、加工貿易を行うに際して、予定輸入材料の一定期間(通常半年若しくは1年)分の金額の関税・増値税を税関の指定する口座に保証金として実際に積み立てる「実転」もしくは、銀行より保証状を発行させる「空転」を実施させる、“保証金台帳制度”を実施していました。直近では《加工貿易制限類商品目録に関する公告》(商務部 税関総署公告[2015]63号)により、以下の通知が行われています。
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 中国での外国資本による企業の設立にはこれまで商務部門の審査認可が必要とされ、審査には業種により数週間から1か月超を要し、また認可権限によって区(または鎮)、市、省の審査へと長い期間を要するプロジェクトもありました。
 近年、自由貿易試験区では、この認可制度について、ネガティブリスト範囲外において届出手続きのみの“備案制度”を実行し、3年の試行を経て、ようやく全国に導入されることになりました。
 広東省では広東自由貿易試験区(南沙、前海、横琴)におけるネガティブリスト管理の試行と同時に、香港・マカオ企業に対し、CEPAに基づき広東省に投資する際にはネガティブリスト範囲外の備案制度を全国に先駆けてすでに導入済みでしたが、今回、出資元の区別なく全面導入となりました。
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 中国公安部は、広東省が広東自由貿易区建設とイノベーション主導発展を支持する16項目の入出国政策措置を今年8月1日より実施することを正式に認可しました。広東省公安庁のホームページに掲載されています。この政策措置には、広東省自由貿易区に適用されるものが6項目、広東省全省で適用されるものが10項目含まれており、主要な内容は次の通りですが、中でも、外国人の就業ビザの取得手続きに関して、これまで日本の中国大使館で申請取得しなければならないとされていたZビザを、中国の到着税関で申請取得することができるようになるなど、手順の簡略化と期間の短縮化が図られています。
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中国の越境EC(中国では「跨境電商」(クロスボーダー電子商務)と呼ばれる)は数年来、試験区の設置と企業の誘致、通関ネットワークの構築等を通じ、急速な発展が見られ、既に中国の市民の新たな消費モデルの柱を担っています。

中国政府各部門は消費促進のために越境EC制度の整備を図ると共に、一般輸入貨物との整合性の観点から、越境ECの小売業務(B to C)について輸入時の税制を新たに規定すると同時に、越境ECの商品リスト管理化の方針が打ち出されており、一時的には輸入ハードルが高くなった印象があるものの、越境ECの促進政策の方針は変わらず、EC全体の消費の伸びは今後も期待されています。

1.中国輸入時の税について

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企業の登記制度の改革において、広州市は2014年に《広州市商事登記暫定弁法》を発布し、住所登記と経営場所について備案(届出)制度を実施する中で、次のような政策を講じて商事制度改革を進めてきました。

  • 政府認可の専門の園区内に登記する、資本関連のある企業同士の登記に対し同一住所の登記を認める‟一住所複数証書”(中国語で「一址多照」)を認める。
  • 同一行政区内で別途経営場所を設置する場合、分枝機構の営業許可証発行を申請する必要はなく、工商部門にて経営場所情報を備案するのみの‟一証書複数住所”(「一照多址」)を認める。
  • 建物賃貸備案証明を以て営業許可証発行の前提とする規定を取消す。
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