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[中国労務] 失業保険総料率1.5%の省・都市における料率ひき下げについて

1. 本通知の公表、実施

人力資源社会保障部と財政部は2017年2月16日、《失業保険料率を段階的に引き下げることに関する問題の通知》にて、2018年4月30日迄の期間、失業保険料率(企業負担と個人負担の合計)が1.5%の省(区・市)について1%まで料率を引き下げても良いとする通知を公表しました。具体案は各省(区・市)が確定し、2017年1月1日に遡って執行を開始するとされています。
またその際には《社会保険料率を段階的に引き下げることに関する通知》(2016年4月14日公表)に基づき執行するとされていますが、それによりますと個人負担は0.5%を超えないものとするとされています。

2. 失業保険引き下げの流れ

過去3年間における、国と広東省における主な引き下げの経緯は以下となります。

時期 名称 URL 変更点
2015/3 失業保険料率の調整に関する問題の通知(旧) 原文 総料率3%→2%に引き下げ
2016/3 広東省における供給側の構造性改革案(2016—2018年)
及び五つの行動計画の送付に関する通知(※広東省)
原文 企業負担1.5%→0.8%に引き下げ
2016/4 社会保険料率を段階的に引き下げることに関する通知 原文 総料率2%→1~1.5%に引き下げ
2017/2 失業保険料率の調整に関する問題の通知(本通知) 原文 総料率1.5%→1%に引き下げ

3. 都市別の現行料率

広東省の主要3都市及び引き下げ対象となると思われる2都市の現行料率と基数の上限・下限は以下の通りです。

都市名 企業負担 個人負担 下限 上限
深セン市(深セン戸籍・非深セン戸籍共通) 1% 0.5% 2,030元※固定
広州市 0.48%、0.64%、0.8%※ 0.2% 1,895元 20,292元
東莞市 0.5% 0.2% 1,510元 13,305元
上海市 1% 0.5% 3,563元 17,817元
青島市 1% 0.5% 2,686元 13,428元

※企業の過去5年度失業保険申請率と広州市における過去5年度平均失業保険申請率に基づき0.48%、0.64%、0.8%のいずれかに振り分けられる。社会保険納付期間が5年に満たない企業は0.64%となる。

4. 現時点での影響

本通知に基づく調整について深セン、上海、青島の人力資源・社会保障局にヒアリングしたところ、現時点で引き下げは行われておらず、総料率は現行の1.5%にとどめられています。上述の通り引き下げは2017年1月1日に遡って開始するとされていますが、広州市のケースではこれまで遡及して開始する際には、企業は実務上過大納付した保険料該当分について、以後の納付時に控除する対応となっていました。
今後該当各省・都市において具体案が発表され、随時引き下げ調整が図られることとなると思われますので、関連規定情報がありましたら随時配信させていただきます。

(原文: http://www.mohrss.gov.cn/gkml/xxgk/201702/t20170217_266309.html 

(2017年3月作成)