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 今回は、中国における会計監査と、監査による修正が生じた場合の会計処理について紹介します。

1. 審計(会計監査)

 日本では、企業に対する法定監査は、資本金5億円以上または負債200億円以上の株式会社を対象とする会社法監査、株式を上場している会社を対象とする金融商品取引法監査など規模の大きい限られた企業が対象となりますが、中国では、外商投資企業はその企業の規模等に関わらず、全て年度財務諸表について中国の公認会計士(注册会計師)の会計監査を受けて報告書を受領し、その報告書を財政、税務機関や工商行政管理機関等に提出しなければなりません。
 この会計監査とは、簡単に言うと、企業の経営成績を表す財務諸表が会計のルールに則って作成されているかを、その企業から独立した公認会計士が調査し、出資者などの利害関係者に対し、企業の財務諸表が信頼できるものであることを保証する意見を表明することです。

2. 審計報告(監査報告書)

 監査報告書は、監査意見の表明、監査済財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、所有者持分変動計算書、財務諸表注記)により構成されますが、中国では、会計法の求める会計監査に加え、税法の求めによる課税所得の計算、すなわち納税調整も会計監査手続きにおいて行われるのが一般的で、年度末の監査報告書には課税所得額調整計算表も記載されています。このため、多くの企業が監査報告書に基づいて企業所得税の申告も行っています。
 会計監査においては、企業が行った処理の誤りを正し、企業の収入、原価、費用などが監査対象の会計期間に正しく帰属するように調整されますので、企業が作成した財務諸表が修正されることもあります。

3. 監査における修正事項の会計処理

 中国では月次決算を行い、毎月財務諸表を作成しなければなりませんので、基本的に過去の財務諸表を修正する処理は行わず、誤りを発見した月に追加して処理します。年度末の監査により修正が生じた場合にも、企業側は、監査報告を受領した月に発生したものとして処理を行い、監査の対象となった会計年度の財務諸表を作成し直すことは行われません。
 例えば、2016年3月に実施した15年度の会計監査で、減価償却費計算の誤りが指摘された場合、日本では15年度の決算整理事項として、減価償却費と減価償却累計額を振り替えて修正する会計処理を行い、修正後の財務諸表を作成します。会計ソフトを使用して会計処理をしている場合、通常、12カ月に加え、「決算月」や「13月」という期間が設けられており、ここに決算修正仕訳を入力し、修正後の利益を基礎として計算した企業所得税額を計上したうえで、翌16年の貸借対照表に再繰越をする処理を行います。
 一方、中国では、企業は15年度の財務諸表の修正処理は行わず、修正前の残高で翌期(2016年)へ繰越し、15年の監査報告が行われた16年の期中である3月に当該修正処理とこれに関係する企業所得税額についての会計処理をするのみです。よって、15年度の会計報告書上の監査済み貸借対照表と16年度の企業の貸借対照表の期首の残高は一致しないことになります。
 なお、この修正に関する処理は16年度に帰属する取引ではないため、16年度の損益に影響させないよう「以前年度損益調整」という科目を使用し、純額を前年度から繰越してきた未分配利益(未処分利益)に加減します。

<例50>
A社のXX15年度の当期税引前利益は100万元、企業所得税額(税率25%)は30万元と計算されたが、XX16年5月に減価償却費が10万元過剰であるとして修正された監査報告書を受領した。
借:累計折旧(減価償却累計額)  100,000
 貸:以前年度損益調整             100,000
借:以前年度損益調整         25,000
 貸:応交税金–応交所得税
 (未払税金-未払企業所得税)        25,000
借:以前年度損益調整        75,000
 貸:利潤分配–未分配利潤           75,000

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