1つ星2つ星3つ星4つ星5つ星 (5.00 評価, 5 投票)
 

 「会計制度+旧準則」(以下「会計制度体系」といいます。)を適用している企業は、近い将来には新準則への変更が必要とされます。今回は、企業が会計基準を変更し新準則を採用した初年度の処理などについて紹介します。

1.新準則への変更による影響


 新準則はIFRSへのコンバージェンスを念頭に置いた基準ですが、会計制度体系も、当時の国際基準に沿った内容となっています。現在、中国に進出している日系企業の多くにおいては、デリバティブ取引や金融商品など、新準則が求める複雑な会計処理が必要とされる取引が存在していないものと想定されることから、会計制度体系から新準則への移行がさほど大きな影響を与えるものではないともいえます。
 一方、会計制度体系では税効果会計(注1)が任意適用であったため、親会社との連結上の求めがない場合には、殆どの企業が税効果を採用しておらず、新たに税効果を認識しなければなりません。さらに、会計制度体系においても認められていない、売上の計上基準を発票基準(注2)により処理しているなど、税法を基準とした処理をしている場合も少なからず存在しています。新準則への変更においては、会社が実際に行っている会計処理と新準則との差異を把握した上で、新準則に合致する計処理に変更していく必要があります。

(注1):税効果会計とは、会計上あるべき企業所得税の額を、税法上の課税所得から算出される税額とは別に、損益計算書上の企業所得税額を調整する会計手法をいいます。
(注2):発票基準とは、増値税や営業税の証憑である「発票(invoice)」を実際に発行した時点で売上認識を行う実務上の処理をいいます。 発票の発行時期は、本来、発生主義による認識時点と基本的に一致していますが、発票を発行する財務人員への情報伝達が遅れたり、相手先の要求に応じて恣意的に発行を遅らせたりすることがあります。

2.調整処理


新準則を適用する場合、適用初年度の期首残高について、原則として新準則に基づいて資産、負債、資本を再分類、測定した上で期首貸借対照表を作成する必要があります。過去に遡っての調整が要求される項目は前回紹介した通り15項目です。うち、日系の中小企業にも関係してくる調整処理をいくつか紹介します。

1)遡及適用が必要な項目


◇従業員報酬
従業員との労働契約を解除するために支給する退職給付金(経済補償金)の負債経常については、正式なリストラ計画がある場合に限られていますが、これに該当する場合にはこれを認識し、期首留保利益を調整します。
◇見積負債
企業組織形式、経営範囲または経営方式などの著しい変更計画の実施が予定されている場合には、その債権義務を負債として認識し、期首留保利益を調整します。
◇繰延税金資産・繰延税金負債
資産負債の帳簿価格と税務上の簿価との差異により生じる一時差異が所得税に与える影響を確定させ、適用税率を用いて繰延税金負債及び繰延税金資産の金額を計算し、期首留保利益を調整します。
◇金融資産
企業が所有する金融資産(長期持分投資を除く)は、公正価値を以て測定し、その変動額を当期の損益に計上する金融資産、満期保有目的投資、貸付金及び未収債権、売却可能金融資産にそれぞれ区分する必要があります。

2)遡及適用が禁止されている項目


◇借入費用
開発段階の内部開発プロジェクトや、または生産過程で長期間を有する棚卸資産などの資本化すべき借入費用は、遡及適用せず、適用初年度開始以降に発生した費用について資本化します。
◇無形資産
期首の残存価格をみなし原価として償却計算を行い、耐用年数を確定できない無形資産の償却は適用初年度以降停止します。土地使用権が建物に含めて計上されている場合には、分離する必要があります。
◇開業費
開業費の残高は適用初年度の会計期間内において償却します。

コメント:0

コメントフォーム
個人情報を記憶する

トラックバック:0

この投稿へのトラックバックURL
http://www.nacglobal.net/2016/09/%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e4%bc%9a%e8%a8%88-%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%81%ae%e5%9b%bd%e5%ae%b6%e7%b5%b1%e4%b8%80%e4%bc%9a%e8%a8%88%e5%88%b6%e5%ba%a6%ef%bc%8858%ef%bc%89/trackback/
この投稿へのリンク
[中国会計] 中国の国家統一会計制度(58) from 香港・中国・東南アジア法令情報サイト NAC Global .NET