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 前回に引き続き、企業会計準則(以下、本稿では「新準則」といいます。)と小企業会計準則の相違点について、今回は小企業会計準則の規定のうち企業会計準則と異なる点を中心に紹介します。

1.会計科目の設定


 以前に紹介した通り、中国の会計科目は国家統一会計制度で規定されており、新準則と小企業会計準則のそれぞれで科目名称及びコードが規定されています。小型企業(注1)の業務は相対的に単純で取引量も限られることになり、詳細な区分による管理を必要としていないことなどから、複数の項目をまとめたり、厳密な判断を行う事を避けたりするため、小企業会計準則の総勘定元帳科目である総分類科目(一級科目)の数は、新準則よりも少なくなっているほか、科目名称が異なるものがあります。

 例えば投資項目については、小企業会計準則では、短期投資と長期投資という2つの会計科目が設定されているのみですが、新準則では、短期は公益性金融資産(売買目的金融資産)、長期は持有至到期投資(満期保有目的投資)、長期股権投資(長期持分投資)、投資性房地産(投資性不動産)など、その資産の性質毎に区分されています。また、小企業会計基準では、壊チョウ準備(貸倒引当金)(注2)や、資産の減値準備(評価性引当金)、公允価値変動損益(公正価値変動損益)など、評価に関係する科目は1級科目に設置されていません。

(注1):企業の従業員数、営業収入、資産総額の規模が『中小型企業分類標準規定』(工信部連企業[2011] 300号)に規定された小型企業の基準に合致する企業。
(注2):チョウは貝ヘンに長

2. 小企業会計準則における会計処理


 上述の通り、小型企業では、会計部門の人員も限られ、その技術的素養を求めることも難しいことから、平易な会計処理が採用されており、新準則とでは主として以下のような処理に差異があります。

1.資産の減損
資産についての評価損は実際に発生した時に計上することで足り、期末に減損テストを行って評価性の引当金を計上する必要はありません。
2.棚卸差損益
棚卸資産の差損益は、その差損益が非正常であるか否かに関わらず、営業外収入および営業外支出(注3)に計上します。
3.借入費用の資産化
資産の取得のための借入費用は、新準則では複雑な調整計算を行って資産の取得原価に計上する金額を算定しますが、小企業会計準則では、全て固定資産原価として計上することができます。
4.資産の減価償却
固定資産・無形資産の減価償却については、原則として平均年限法(定額法)のみが認められています。
5.営業税金及び附加
小企業会計準則では、新準則では管理費用に計上する土地使用税、房産税(不動産税)、印花税(印紙税)、車船税、コウ産資源補償税(注4)も営業税金及び附加に含めて計上します。
6.投資類
取得原価で評価すればよく、公正価値との比較は不要です。
7.所得税費用
税効果会計の適用はなく、未払企業所得税を計上するのみです。
8.収入計上基準
企業会計準則(新準則)では、モノの所有権に伴う主要なリスクと収益の実質的な移転を判定基準としますが、小企業会計準則では、商品を出荷し、代金を回収または回収する権利を取得した時に売上を認識します。
9.借入金利息
実際利率によらず、契約上の利率と借入元金で計算します。

(注3)中国の損益計算書の区分における営業外収入及び営業外支出は、経常項目ではない収入及び支出を計上する区分で、日本の損益計算書の特別損益の部に相当します。
(注4)コウは石ヘンに廣

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