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中国の会社登記においては、会社法、会社登記条例、外資関連法等の規定に基づき、名称、住所、経営範囲、登録資本金及び払込済資本金、投資者情報等が会社所在地の工商部門にて関連証明資料を審査の上、登記されることとなっています。また、工商部門への登記の後、続けて質量監督管理局での組織機構コード証登録、公安局での印鑑登録、税務局(国税、地税)での税務登記、外貨登記、財政登記等、様々な政府部門に逐一登記手続きを行わなければならず、情報変更や抹消時も同じように全ての部門で手続きする必要があり、企業にとっては非常に煩雑で手間のかかる業務です。中国政府はこれらの手続きを簡素化し、情報公開化により政府管理から市場の信用に委ね、民間投資を活発化させることを目的に、登録資本制度の改革及び会社登記制度の改革を進める方針を打ち出しています。実施は各市政府や各市の工商行政管理部門毎に日程や内容が異なるため、具体的な実施状況については各地域での確認が必要となります。

[登録資本制度改革]の内容
2014年2月7日付で国務院は《登録資本登記制度改革方案》を発布しました。この中に示された政府方針は次の通りです。

①登録資本引受登記制の実施。
投資者の引受出資額或は発起人の引受株式総額(会社の登録資本)は工商行政管理部門にて登記するとされています。会社の投資者(発起人)は、出資額、出資方式、出資期限等を自主的に約定し、会社定款に記載し、会社登記システム上で社会に真実の情報を公開する必要があります。現状の会社法に規定される、有限責任公司最低登録資本金3万元、一人責任公司の最低登録資本金10万元、株式有限公司の最低登録資本金500万元という制限を、別途業種管理規定に取り決めが無い限り*1、取消すと同時に、初回の出資比率制限と払込期限の制限*2、貨幣出資比率制限、を取消すとしています。
また、会社の払込資本金は今後工商登記事項としないものとし、験資報告の提出を不要とするとしています。

*1:最低資本金制限のある業種は、金融関連(銀行、証券、保険、消費者金融等を含む)業種、直接販売企業(通販、ネット販売や自動販売機による販売を含む)、労務派遣企業その他となっています。
*2:従来の規定では、会社設立(営業許可証発行)日から90日以内に20%、2年以内(株式会社の内、投資会社は5年以内)に全額を払い込むことが規定されています。
*3:従来の規定では、非貨幣出資は登録資本金額の70%以下とされています。

②年度検査制度の改革。
企業の年度検査制度を、企業の年度報告とその公示制度に変更するとしています。信用情報公示システムを通じ、各企業が年度報告をアップロードし、その内容は誰でも閲覧することができます。公示内容としては、投資者の登録出資額と払込状況及び資産状況等で、期限内に報告が行われない場合、システム上で“異常リスト”に記載され、3年以上是正されない場合、違法企業名簿に列記されることとなります。

③住所(経営場所)登記手続きの簡素化。
 企業の登記住所について、合法の使用証明があれば登記可能とするとしています。

④営業許可証の電子化、オンライン手続化
オンラインでの申請、受理、審査、公示、許可証発行等を目指しています。

[国務院弁公庁“三証合一”登記制度改革の推進加速に関する意見]の内容
工商行政管理部門発行の「営業許可証」、質量技術監督部門発行の「組織機構コード証」、税務部門発行の「税務登記証」の3つの証書を1枚の証書にまとめて発行する登記制度改革について、国務院弁公庁より2015年6月23日付で各省、自治区、直轄市人民政府と国務院各部委員会と直属機構に対し意見文書が提出されました。これまで3部門がそれぞれ発行していた登記証書を、窓口を一つにし、一括して発行すること、登記手続きを電子化し、情報を公開することを推進する旨が記載されています。
この登記制度モデルを実施する一部地域は試行を継続すると同時に、上海、広東、天津、福建の自由貿易試験区では率先してこの制度改革を進めていくとし、一枚の証書に3部門の番号を付与する「三証合一」はやがて、一枚の証書に一つの番号(=「統一社会信用番号」)を、2015年末前をめどに全国で実施できるようにするとしています。
また、現状で1枚の証書に3つ以上の政府部門の番号をまとめている地域もあり、このような地域についてはいずれもまず試行し、原則に沿って応用して良いとしています。
従来の証書は現状いずれも有効とし、新証書への差し替えについては各地域で期限を設けて差し替えを行わせ、差し替えは政府手数料を発生させてはならないとしています。

[企業経営範囲登記管理規定]の内容
国家工商行政管理総局令第76号《企業経営範囲登記管理規定》は2015年8月27日に公布され、10月1日に施行されると同時に、2004年6月14日に公布された元の《企業経営範囲登記管理規定》は廃止されます。

企業の経営範囲に対し、従来は工商局が審査し認可することとなっており、業種管理部門による許可経営項目(=特殊ライセンス)については事前に業種管理部門で申請取得した後に工商登記可能となっていましたが、ライセンスは事前認可項目と、事後認可項目に分かれ、事後認可項目については工商登記後に条件を揃えて申請取得することができるようになっています。
また、経営範囲の記述については《国民経済業種分類》の表記に沿って記載されていますが、新興産業等で《国民経済業種分類》に記載が無い場合には、政策文書、産業習慣や専門文書等の表記に沿って申請してよいとされています。
 経営範囲の記述は会社定款や合弁契約書等の記載と一致する必要があり、経営範囲に変更があった場合、定款や合弁契約を変更の上、登記機関で変更登記申請を行うこととされています。
1.企業信用情報公示システムでの公示義務期限
 ・業種管理部門による許可経営項目は許可証書取得から20日以内に公示
  事前許可項目は企業設立登記から20日以内に公示
 ・批准文書、証書に変更があった場合、20日以内に公示
2.登記期限
 ・経営範囲変更決議或は決定の日から30日以内に変更登記

企業の経営範囲は、企業名称中の業種を含む或は経営特徴を表すものとされ、複数の業種に渡り経営する企業は、その記載する経営範囲の内最初に記載する経営項目をその企業の所属業種とするとしています。

3.分公司のみで経営する項目について
分公司は、民事責任を負うことができない分枝機構として、その経営範囲は、所属する企業の経営範囲を超えてはならないとされています。審査機関が分枝機構の事前許可経営項目を審査した場合、企業は分枝機構の認可文書を以て経営範囲拡大を申請し、その経営範囲には“分枝機構が経営する”の文字を追記するとしています。

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