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給与・福利費の税務上の取扱いについては、従来は『給与・福利費の損金算入問題に関する通知』(国税函[2009]3号)が主に参照されてきましたが、2015年5月に新たに『給与・福利費の損金算入問題に関する公告』(国家税務総局公告[2015]34号)が公布されました。同通達により、主に以下の取扱いが規定されました。
1) 給与とともに固定的に支給される手当の給与処理
2) 未払給与の損金算入

給与と福利費の関係

福利費には損金算入限度額が設定されています。福利費のうち、給与総額の14%を超える部分については損金不算入となります。超過額を繰り越して翌年以降に損金算入することも認められていません。つまり同じ金額を従業員のために支出するのであれば、福利費に充てるよりも給与として支給する方が税務上は有利であるといえます。
福利費の具体的な範囲については、国税函[2009]3号が以下の通り規定しています。
1) 社内の福利部門の施設費・人件費
2) 各種手当及び貨幣によらない福利
3) その他

このうち、2) の各種手当に該当するものとして、住宅手当、通勤手当、食事手当、医療手当、暖房手当、高温手当等が例示されています。
ただ企業によっては給与項目を細分化し、基本給に各種手当を加えた形で給与を支給していることがあります。この場合の「各種手当」は実質的には給与に該当すると考えられますが、名目を重視すれば福利費に分類されていました。
この点について、国家税務総局公告[2015]34号は各種手当が給与制度に基づいて、給与とともに固定的に支給されている場合、同手当を給与として処理することを認めています。従来の取扱いと比較すると福利費の金額は小さくなる一方、給与総額の増加に伴って福利費の損金算入上限額は上がることになります。


給与の特殊性

企業所得税法上、損金は「実際に発生した収入の獲得に関連する合理的な支出」と定義されています。このうち「実際に発生した」という部分については、会計における発生主義と同義であるとされています。すなわち現金の収支とは関係なく、実際に経済的価値を費消していれば損金を認識することができます。
ただし費用が実際に発生していたとしても、その発生を客観的に証明する取引証憑がなければ、同費用の損金算入は認められません。中国税制の非常に大きな特徴として、取引証憑は基本的には「発票」であることが求められます。発票というのは税務局がその発行を統一管理している、いわば公式の領収書です。企業は任意の様式で自由に領収書を発行することはできず、税務局から専用プリンター及び用紙を購入し、税務局の管理下で発票を発行する必要があります。
数ある費用項目の中で、給与は発票を求められない例外的な費用と位置づけられています。給与支給時に従業員から発票を受け取る必要はありません。給与については実際の支給額をそのまま損金算入することが認められています。

未払給与の取扱い

費用の損金算入には基本的には発票が必要ですが、その発票をいつまでにそろえればよいのかという問題があります。会計上、年度末には未払費用が計上されることがあります。未払費用は実際に発生しているといえますが、年度末時点ではまだその発生を証明できる発票を入手していません。この点について、『企業所得税に係る若干の問題に関する公告』(国家税務総局公告[2011]34号)第6項は、年度確定申告までに発票を入手することを条件に未払費用の損金算入を認めていました。
前述の通り、給与については発票が取得できないため、給与に対しては同規定の適用が認められていませんでした。それが国家税務総局公告[2015]34号により、給与についても年度確定申告までに実際に支給すれば、未払給与の損金算入が認められるようになりました。

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