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今回も、前回に引き続き、中国国内における日系現地法人の資金調達スキームについて取り上げます。

中国においては、人民元に関する総量規制や外貨規制等、資金調達に関して様々な制約があり、日本本社の思い通りにいかないケースが多々あります。また、日本と違い、当局への申請手続および審査において、一定の期間を要するため、ある程度ゆとりをもった資金計画を策定しておくことがポイントとなってきます。

日系現地法人の資金調達スキームとしては、(1)グループ内金融(2)増資(3)外部借入(4)その他に分類できます。図1参考。今回は外部借入について説明します。外部借入の方法は、大きく分けて「通常の銀行ローン」と「スタンドバイL/C方式による銀行ローン」があります。

(1) 通常の銀行ローンとは
通常の銀行ローンとは、中国国内にある銀行から直接融資を受ける資金調達方法であり、最も自然的な借入になります。これには、日系現地銀行やローカル銀行から直接融資を受ける場合が該当します。

当該スキームにおいては、一般的に借入審査のハードルが高く、日系現地法人が中国内で保有する建物等の資産価値が担保価値として認められず、別途、親会社の保証が必要となるケースが多いです。この場合、保証に適用する通貨は通常は日本円で外貨になるため、日系現地銀行から借り入れる場合においても、投注差(※)の範囲内に制約される可能性が高いと言えます。

※ 投注差とは
中国においては、外資企業を設立する際、「総投資額」と「登録資本金」を登記する必要があります。登記された「総投資額」と「登録資本金」の差額が「投注差」となります。ここで、「総投資額」とは事業に要する運転資金と設備資金の総和、「登録資本金」とは親会社からの実際の払込額であり、過少資本を防止するため、「総投資額」に応じて「登録資本金」の最低比率が設定されています。なお、「総投資額」と「登録資本金」は、批准証書に記載されていますのでチェックしてみてください。
 
(2) スタンドバイL/C方式による銀行ローンとは
スタンドバイL/C方式による銀行ローンとは、日本国内の親会社からの依頼に基づき、日本国内の金融機関が、中国現地銀行等に向けて信用状(スタンドバイL/C)を発行し保証し、日系現地法人が中国現地銀行等から直接融資を受ける資金調達方法になります。(図2参考)

当該スキームにおいては、親会社のメインバンクが中国国内で金融業務を行なっていない場合においても、メインバンクの信用状をもとに、メインバンク以外の中国ローカル銀行から融資を受けることができるため、中小企業において比較的多く用いられる方法です。

保証については、親会社が日本国内金融機関に、日本国内金融機関が中国現地法人に対して負うものの2つが付される形となります。また、この場合も、中国国内からの借入となりますが、実務上、通常の銀行ローンと同様、投注差(※)の範囲内に制約される可能性が高いと言えます。

図1 日系現地法人の資金調達スキーム

グループ内金融親子ローン
委託貸付
増資親会社からの増資(第三者からも可能)
外部借入日系現地金融機関からの直接融資
ローカル金融機関からの直接融資
その他セールス&リースバック
ファクタリング

(3) 上記2つのスキームにおける留意点
 中国国内からの借入になるので、親子ローンと違い、金利が高い。
 中国の金融規制が直接適用されるため、貸出規制が厳しくなる可能性がある。
 実務上、借入額は投注差の範囲内に制約される可能性が高い。
 仮に保証が履行された場合は、履行額の分だけ外債枠(投注差)が消化される。

図2 スタンドバイL/C方式による銀行ローン
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