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今回は、組織再編により親子関係を逆転させ、軽課税国に不当に所得を移転する租税回避行為を防止することを目的とした日本の税制を紹介します。

本連載で以前紹介しましたタックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制、以下TH税制)は、会社の場合、親会社が日本にあり、子会社は軽課税国にあるという関係が前提で子会社の所得を親会社に合算し課税するものです。そのため、組織再編によって親子関係を逆転させることによりTH税制を免れることができることになります。

一例として図1のような手順で親子関係を逆転させることができます。

図1 三角合併によるコーポレート・インバージョンの例
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この手順のポイントは、(4)でC社がA社を吸収合併し、A社の株主にC社の親会社であるB社の株式を交付している点です。吸収合併では存続会社であるC社の株式を消滅会社であるA社の株主に交付するのが通常ですが、ここではC社の株式でなく親会社であるB社の株式を交付することによりクロスボーダーで親子関係を逆転させる組織再編を行っています。このような合併の対価として親会社株式を交付する方法を三角合併といい、また、親子関係を逆転させる組織再編の形態をコーポレート・インバージョン(以下CI)といいます。

図1で、日本の株主は、組織再編前はA社を支配していましたが、CIを行った後も、軽課税国にあるB社を通じて吸収合併後のC社を支配することになります。そのため、株主の意思で、ロイヤルティや借入金利子の支払い、無形資産の移転などの方法によりC社の所得を軽課税国にあるB社に移す租税回避行為が可能になります。

この場合、C社とB社間の不当な所得移転については、親子関係が逆転しているためTH税制の適用はありませんが、株主とB社間については、親子関係であるためTH税制の適用があり得ます。但し、株主が複数いる場合でそのなかの株主或いは株主グループの株式保有割合が10%未満であるものに対してはTH税制の適用対象外となります。

このように軽課税国を利用したクロスボーダーのCIが行われた場合に、TH税制の対象外となる株式保有割合が10%未満の少数株主グループに対しても、その不当な所得移転による租税回避行為に対し合算課税を行えるようにしたのがコーポレート・インバージョン対策合算税制です。

具体的には、図2のように、5人以下の少数株主グループによって80%以上の株式を保有されていた日本の法人が、組織再編等により軽課税国にある外国法人を通じて株式の80%以上を間接保有されることになった場合には、その外国法人が留保した所得を、株主の持分割合に応じて株主である日本の法人または個人の所得に合算して課税するという制度です。

TH税制と同様に、軽課税国にある外国法人がペーパーカンパニーでなく適用除外基準を満たす経済合理性がある法人の場合にはこの制度は適用されません。また、この税制とTH税制の両方の適用対象となった場合にはTH税制が優先適用されます。

図2 コーポレート・インバージョン対策合算税制の仕組み
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