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今回は、グループ会社間における過大な利子の支払いによる租税回避行為の防止を目的とした2つの日本の税制を紹介します。

1.過少資本税制

(1)概要
日本の法人が外国の親会社等関連会社から資金調達をする場合、出資を受ける方法と借入により調達をする方法があります。出資を受けた場合には配当金を親会社に支払い、借入の場合は利息を支払うことになります。同じ外国親会社への支払いでも、配当金は損金(税務上の経費)ではないのに対し支払利息は損金となり日本子会社の課税所得を減らすことになることから、節税のため、出資による調達を減らし借入を多くするタックスプランニングが考えられます。特に日本は実効税率が諸外国に比べ高いため、グループ全体の税コスト低減のためにこの方法は有効であるといえます。

こうした過大な借入(=過少の資本)を利用した国際的な租税回避行為を防止するために作られた制度が過少資本税制です。具体的には、外国親会社等からの貸付けと出資の比率が原則3倍を超える部分に対応する支払利子は損金にしないとする制度です。(図1参照)

ただし、その日本子会社の借入金等の全負債額がその会社の自己資本(総資産-総負債)の額の3倍以下の場合にはこの税制は適用されません。

(2)外国親会社等とは、その日本法人の株式等を直接または間接に50%以上保有している株主や、実質的にその日本法人を支配している者等をいいます。

図1 過少資本税制の仕組み

出典:財務省ホームページ 「過少資本税制の仕組み(図解)

2.過大支払利子税制

(1)概要
所得金額に比して過大な利子を関連者間で支払うことによる租税回避行為を防止するため、過大支払利子税制が創設されました。この制度の適用を受けた場合には、関連者への支払利子等の額のうち、一定の調整を加えた所得金額の50%を超える部分の金額は損金不算入となります。(図2参照)

過少資本税制は自己資本に比べ負債が過大である場合に適用されますが、この税制は所得に比べ支払利子が過大である場合に適用されます。そのため過少資本税制の適用がない場合でもこの制度が適用されるケースがあり得ます。また、過少資本税制は外国親会社等へ支払う利息に適用されますが、日本の親会社が外国子会社から資金を借入れた場合の外国子会社への支払利息には適用されません。しかし過大支払利子税制では親会社から子会社への支払利息も対象となります。

(2)適用開始時期:2013年4月1日以後開始事業年度から適用されます。

(3)関連者とは、直接または間接の持分割合が50%以上の関係にある者、または実質支配・被支配の関係にある者及びこれらの者による債務保証を受けた第三者等です。

(4)損金不算入とされた額は、翌期以降7年間の繰越により損金に算入することができます。なお、この制度と過少資本税制の両方が適用になる場合には、いずれか多い額が損金不算入となりますが、過少資本税制には繰越控除の制度はありません。

(5)次の場合にはこの税制は適用されません。
1.関連者への純支払利子等の額が1,000万円以下である場合
2.関連者への支払利子等の額が総支払利子の額の50%以下である場合

図2 過大支払利子税制の仕組み

出典:財務省ホームページ 「過大支払利子税制の仕組み(図解)

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