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1. 比較分析

関連者取引における価格は、関連者間と独立取引者間の類似性を比較し、最も適切と思われる算定方法で算出した市場価格に基づき決定される。
関連者と取引を行う場合、まず、その取引と独立者間取引の類似性を明確にするために、取引に関する比較分析を行う。その結果、両取引間において差異がある場合は調整して市場価格を算出する。

比較分析は、以下に基づいて行う。
  1. 製品の特性:製品価格に影響を与えるような特性等。具体的には製品の性質、原材料の特殊性、特許権や商標権等
  2. 企業の機能:資産、資本、関連費用の使用に係る収益性あるいは負担するべきリスク
  3. 契約条件:取引にかかる当事者間の合意事項、義務及び権利等
  4. 経済条件:取引が行われる時点における市場の状況。地理的条件、市場規模、製品の競合、国の政策等



2. 市場価格の算定方法

市場価格は、以下5つの方法の中から、適切と思われる方法を企業が選択して算出し決定する。
  1. 独立価格比準法
  2. 関連者間取引と比較可能な独立者間取引で用いる価格を市場価格とする方法。
    通常、以下の場合に適用される。
    a) 市場において種類ごとに商品・製品が流通している。
    b) 金銭貸借、著作権、役務提供等、取引毎に契約が締結されている。
    c) 独立者間取引、関連者間取引において同種類の商品・製品を取り扱っている。

  3. 再販売価格基準法
  4. 関連者からの商品・製品購入価格を決定する際、第三者に対する販売価格によって市場価格を決定する方法。販売価格から粗利益や関税、保険料などの費用を控除して算出する。
    通常、商品・製品の購入から販売までの周期が短く、季節要因により価格に変動が無い取引において適用される。

  5. 原価基準法
  6. 第三者から購入した商品・製品の原価によって市場価格を決定する方法。商品・製品の原価に粗利益率を上乗せして算出する。ここでの粗利益率は(売上-原価)÷原価にて算出するが、原価には商品・製品に係る直接、間接的費用を含み、ロイヤリティ支払い額や借入金利子支払額等の財務費用は含まない。
     通常、以下の場合に適用される。
     a) 製造業において製造される製品取引の場合
     b) 製品製造に関する事業提携契約の履行等の場合
     c) 役務提供取引の場合

  7. 利益比較法
  8. 取引条件が、独立者間取引とほぼ同じである場合、その取引に関する営業利益率、資産収益率等の利益率をベースにして、関連者間取引の収益率を確定し市場価格を算出する方法。
    通常、関連者間取引と独立者間取引を比較し、取引条件において、収益率に重要な影響を及ぼすような差異が無い場合に適用される。

  9. 利益分割法
  10. 複数の関連者によって行われた一つの総合関連取引において発生した総利益を、その利益発生の寄与度に応じて配分して市場価格を決定する方法。それぞれの関連者が拠出した費用に基づき利益を配分する方法と、各関連者の機能に基づき利益を配分する方法がある。
    通常、各関連者が共同に新製品の研究開発を行う場合、無形資産をもつ製品開発の場合等に適用される。

3. 文書化

関連者間取引を行う企業は、その取引に係る市場価格の決定にあたり、その根拠となる情報、資料等を文書化し保管する。
以下の情報、資料等を含む文書を作成しなければならない。
  1. 企業と関連者に関する一般情報
  2. a) 企業と関連者の関係
    b) 関連者間における発展戦略や管理・運営方法
    c) 企業の経営戦略、投資計画、製品生産計画
    d) 組織図、企業の活動機能に関する資料

  3. 取引に関する情報
  4. a) 取引に関与する関連者、決済手順、製品引渡し等を含む資料、取引図
    b)  製品の詳細、特性等記載の資料(製造コスト、生産数量等を含む)
    c)  取引に関する契約(その契約に至るまでの交渉や手順等を含む)
    d)  関連取引が発生した時の経済環境等

  5. 市場価格決定に関する情報
  6. a)  企業の商品・製品の販売・購入にかかる価格の決定方針、市場における販売価格表
    b)  関連者間取引価格の算定方法の選択の根拠となる情報、資料、比較分析に使用した情報、資料等
    c) 価格算定方法の適用に関するその他情報

文書は、関連取引が行われる時点で作成しなければならず、取引の過程で情報等が更新される毎に文書も更新する。
また税務当局から移転価格に関する文書の提出要求がある場合は、その提出に関する書面を受けてから30日以内に提出しなければならない。ただし、正当な理由がある場合は提出期限から最長30日の提出延期が認められる。

4. 年次報告

関連者間取引を行う企業は、関連者間取引の金額、移転価格算出方法等について報告書(Circular66において規定されているFormGCN-01/CC)を作成しなければならない。作成した報告書については、法人所得税確定申告と同時に税務当局に提出する。

2010年に移転価格に関する改定Circular66が発行されてから、ベトナム税務当局および各市・省の税務署は、移転価格に関する税務調査を行ったり、また直轄下の外資企業に対し移転価格に関する文書提出を求めるレターを出すなど、多くの企業が対応に迫られている。
その税務調査の結果、税務当局から指摘を受け、罰金を含む多額の追徴課税を支払わなければならないケースも実際に発生していることから、関連者間取引を行う企業は、法に基づく価格決定を行い、早めに文書化を整備する必要がある。

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[ベトナム要点解説] 移転価格税制について (2) from 香港・中国・東南アジア法令情報サイト NAC Global .NET