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組織再編の一環として、組織統合、事業撤退により現地法人を清算する場合、中国では固定資産や在庫、債権債務等の処理に関する手続きの進め方、税務上の取扱い、残余現金の処分など、中国ならではの特殊な論点が多く存在します。

中国における外商投資企業の清算は大きく分けて下記の3パターンですが、今回は、再編に絡んで最も多い通常清算について解説します。

  • 企業が自ら清算委員会を設立して清算を行う通常清算
  • 事情により清算委員会を自ら設立できず、通常の清算手続きを通じて清算を行うことが難しい場合に政府主導で行う特別清算
  • 債務超過により債務弁済ができない場合の破産



1.清算ステップ

通常清算の場合の実務の手続きステップは下記図1のとおりです。清算に要する時間はその会社の状況(納税状況及び資産の状況等)により異なり、特に税務部門についてはどのくらいの時間を要するのか予測が難しいといえます(逆にいうと、税務部門以外はスケジュールを立てやすいといえます)。

清算ステップ
図1における清算ステップの各時点での補足を下記のとおり紹介します。

  • 図1①:まず初めに、清算に関する董事会決議画必要です。ただし、定款の内容によっては出資者による株主会決議が必要となるため、まずは定款の確認が必要です。
  • 図1②:清算委員会は最低3名から構成し、董事会メンバーから選任することが一般的ですが、必ずしも董事会メンバーである必要はありません。
  • 図1④:会計師事務所が行う清算監査においては、どのように債権債務、固定資産、棚卸資産を処理したかを明記します。
  • 図1⑤:対外経済貿易部門への清算申請によって得られた批准とは、結果として設立時に取得した批准証書が抹消されたことを意味します。また、現地法人が賃借してる工場やオフィス等の賃貸契約の解除は、対外経済貿易部門からの抹
    消批准が下りた時点がひとつの目安となります。
  • 図1⑧:輸出入業務を行っている現地法人は、関連行政部門での対外経営者登記抹消及び電子口岸抹消手続きが必要となります。また検験検疫部門での手続きをしている場合には、同部門での抹消も必要となります。
  • 図1⑨:清算後に資金が残り、出資会社へ出資持分を払い戻しする場合、外貨管理局での対外送金の批准が必要となります。
  • 図1⑭:会社印の抹消は地域により不要な地域もあります。

2.主要準備資料

  • 批准証書、営業許可証、税務登記書等の各種登記証明書類
  • 過去に取得した当局からの批准文書
  • 定款及び補充定款
  • 清算に関する董事会決議
  • 清算監査報告書及び税務監査報告書
  • 現地法人の董事会名簿と監査役名簿
  • 出資会社の法人開設証明(登記簿謄本等)のコピー
  • 過去3年の税務申告書及び税金完納証明
  • 債権債務、工場家賃、従業員給与の処理方案
  • 未発行の発票
  • 会社印等すべての印鑑
  • 人民銀行からの口座開設許可証
  • 資本金験資証明書
  • その他要求のある資料

3.清算時の主要ポイント!

清算時には、これまで納付すべき税金が規定に従って納税されているか、また清算の段階で発生した清算所得に対する納税に問題がないか、といった点が大きなポイントとなります。
以下、清算においてポイントとなる主要項目についてみていきましょう。

清算前リスク評価の実施

清算手続きにおいては予測していなかった追徴課税を受けることが少なくありません。問題発生の都度手続きがストップしたり、また追徴課税により会社が保有している預金残高以上のお金が必要となるなど、予測不能なことが起こる可能性があります。
想定外のことが発生し対処が困難になるといったことにならないよう、清算手続きを実施する前に、どのようなリスクが潜在しているのか、専門家に依頼するなどして、税務、外貨、通関、労務面等、総合的に調査を実施し、少なくともおおよそのリスクの大きさを把握することは重要です。
そして発見されたリスク(例えば個人所得税の過少申告など)に対して、いつの時点までにどのように処理をするのか決定をしたうえで、手続きを実施するべきでしょう。


債権債務処理

清算の過程では債権債務の処理を優先して行いますが、中国国外に対する未回収の売掛金があり、外貨核銷期限を超えてしまった場合は、国内販売と見做して増値税納付が必要となり、外貨管理部門から罰則を受ける可能性がありますので注意が必要です。
また関連会社取引において生じた買掛金等の債務は、場合によって債務免除処理を行うことがありますが、債務免除に対しては、会計上、企業会計制度(旧制度)を適用している場合は 資本剰余金として処理をし、企業会計準則(新準則)を適用している場合は営業外収入として処理します。税務上はいずれの基準を採用していようとも、清算所得として課税対象となります。

棚卸資産の処理

原材料、仕掛品、製品などの在庫は、通常売却(或いは廃棄)することになりますが、無償にて贈与する場合には注意が必要です。この場合、贈与をした清算対象法人は見做し販売として増値税が発生すると同時に、贈与を受けた法人は収益とみなされ企業所得税の課税の対象となり、両社に税金が発生するため注意が必要です。
また売却価格について公正価格(一般的には市場価格等を参考)ではないと判断された場合(公正価格より安く販売したと判断された場合)、納税調整を要求されることもあります。

固定資産の処理

自己使用の固定資産の処分については、売却時の増値税の取扱いに特長があります。
(財税【2008】170号『全国で実施する増値税転換改革の若干の問題に関する通知(財政部 国家税務総局)』)
○ 2008年12月31日以前に購入した固定資産
  自己使用固定資産で、一定の手続後(購入時の発票等の関連証憑を添えて、固定資産売却前に国家税務局に備案手続完了後)、4%の半分の徴収率(2%)にて増値税を納付します。
○ 2009年1月1日以降に購入した固定資産
  2009年1月1日から固定資産購入にかかる増値税が控除可能となったことに伴い、固定資産の売却は通常の徴収税率(一般納税人は17%)にて増値税を納付します。

なお、免税枠を利用して輸入した設備で、5年を経過していない税関の監督管理期間中の設備については、関税、増値税を納付後、監督管理を解除のうえ、売却処理をしなければなりません。

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