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会計、税務を中心にベトナムビジネスについて解説してきましたこの連載も今回が最終回となります。今回も前回に引続き、労務関連について解説をします。
これからベトナムに進出される方々に、この連載が少しでも参考になれば幸いです。



1 就業規則の作成

従業員10人以上を雇用する会社は、書面による就業規則の作成が義務付けられています。その内容には、以下の項目を記載する必要があります。
  1. 労働時間、休憩時間
  2. 社内秩序
  3. 職場の労働の安全と衛生規準
  4. 社内資産、技術、事業機密の保全
  5. 就業規則違反に対する罰則や物的損害に対する措置
これ以外にも、会社の都合に合わせて、法律に適った内容で項目を追加することができます。
また作成はベトナム語でなければなりませんが、参考として日本語などの外国語でも作成することが可能です。
就業規則は、作成後に管轄する地域の労働局に登録することによってその効力が有効となります。登録しない場合、その効力が不十分となり、実際に社員を処罰する際に会社側が法的に不利となる可能性もあります。
労働法84条では、違反行為を行った従業員への対処について、違反内容に応じて、(1) 戒告(口頭又は書面)、(2) 最長6ヶ月以内の昇給停止又は賃金の低い職務への異動、(3) 解雇、の措置をとることができると規定しています。(2)と(3)の処分手続をする場合、会社側は、対象となる従業員が違反行為を行ったことを立証し、手続を文書で記録する必要があります。また(3)解雇の場合には、管轄の労働局に届け出なければなりません。現実として、解雇の手続は煩雑であるため、会社側と当該従業員が話し合い、労働契約の終了の形をとって退職とするケースが多いようです。
  

2 給与

ベトナムでは、労働者の賃金を保証するため、政府によって地域別及びベトナム企業と外資企業毎に、最低賃金が定められています。インフレの影響もあり、最低賃金は毎年少しづつ上昇しています。昨年11月に、2011年の最低賃金表が公布されましたが、2010年と比較し、10%から38%上昇しました。なお、職業訓練を受けた労働者に対してはこの最低賃金より少なくとも7%上乗せしなければなりません。
賞与の支給は、法律に基づくものではなく、会社の業績や労働者の成果に応じて支給されています。給与の1ヶ月分を、西暦の1月から2月の旧正月前に支給するケースが多いようです。
また昇給は、賞与と同様に会社の業績や労働者の成果を鑑み、1年に一度考課するのが一般的です。近年は物価の上昇の影響もあり、昇給が無い場合、退職をしたり、従業員がストライキを起こしたりするケースが増えています。優秀な従業員の流出やストライキの防止策の一環として、多くの会社はわずかでも昇給をさせて従業員の勤務意欲を高めるよう工夫しなければなりません。


3 保険制度

企業が従業員のために加入する保険は、社会保険、健康保険、失業保険の3種類です。その中の失業保険については、従業員が10名以上の会社に加入義務があります。2011年現在の保険料率は、基本給をベースに以下の負担割合となっています。
  1. 社会保険:会社16%、従業員6%
  2. 健康保険:会社3%、従業員1.5%
  3. 失業保険:会社1%、従業員1%
なお、高額所得従業員に対する保険負担増を考慮し、保険料の算定に上限が定められています。最低賃金(ここでの最低賃金はベトナム企業の最も低い地域の賃金)の20倍をベースに保険料率を掛けて算出します。例えば、社会保険の上限は、会社負担830,000×20×16%=2,656,000ベトナムドン、従業員負担830,000×20×6%=996,000ベトナムドンとなります。
 

4 労働時間

労働法において、労働時間は、最長1日8時間、1週間48時間と規定されています。会社はこの範囲内で勤務時間を設定することができます。また休日は1週間に最低1日とらなければなりません。ベトナムでは、国営企業のほとんどは完全週休2日制ではなく土曜日午前中のみ勤務としています。外資企業では、製造業の場合、土曜日終日を勤務日としている企業も多くあります。
残業は最長1日4時間、年間200時間以下でなければなりません。残業を行った場合、以下のように通常の給与をベースに割り増しの残業手当を支給します。
  1. 通常の勤務日:150%
  2. 通常の休日(日曜日など):200%
  3. 祝祭日:300%
さらに深夜勤務の場合は、上記に加え30%増の深夜手当を支払わなければなりません。深夜勤務の時間帯は、地域によって異なっており、中部にあるダナンより北部は22時から6時、南部は21時から5時を深夜勤務とみなします。

5 有給休暇

労働者は、年間12日の有給休暇をとることができます。また勤続年数が5年毎に1日追加されます。なお、勤務期間が1年未満の場合は、月に1日の割合で有給休暇が与えられます。
また、未消化の有給休暇については次年度に繰り越すか、現金で清算することができます。従業員が退職する際に未消化の有給休暇がある場合は、現金で清算しなければなりません。
労働法では慶弔休暇の日数について以下のとおり規定しています。
  1. 本人の結婚:3日
  2. 子供の結婚:1日
  3. 両親、配偶者、子供の死亡:3日

6 産休等、女性の権利

ベトナムでは多くの女性が働いており、その権利は労働法で保護されています。会社は、結婚、妊娠、育児を理由に当該従業員を解雇及び労働契約を一方的に終了させることはできません。
妊娠7ヶ月以上の従業員は、残業、夜間勤務及び遠隔地で勤務をすることが禁止されています。また現在行っている作業ができないと判断された場合、雇用者に対して、一時的な職場の変更を要求することができます。雇用者は、その要求が適切と認められる限り、求められる職場の変更を行わなければなりません。また妊娠中は、5回まで検診1回につき1日休暇をとることができます。
出産休暇は、労働法上、出産前後に4ヶ月取ることが認められています。その期間の保障は社会保険基金より支給され、産休直前の6ヶ月平均給与をベースに手当として受取ることができます。なお、早めに職場復帰する場合で、まだ出産手当を受取れる権利がある場合は、給与に加え残りの出産手当を受けることができます。
生後12ヶ月の子供がいる従業員は、減給することなく、1日に60分勤務時間を減らすことができます。また、残業、夜間勤務及び遠隔地での勤務が禁止されています。

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