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Q.日本の勤務先では監査業務は必要なかったのですが、ベトナム法人では監査が要求されています。対象企業や監査業務の特徴などを教えてください。



A.日本の場合、大会社や株式公開会社など限られた一部の企業が監査対象企業となりますが、ベトナムでは全ての外資企業は監査対象となります。監査業務は財務諸表に虚偽表示が全く含まれないことを保証する絶対的な保証ではなく、サンプリングに基づく試査を根拠に意見表明をおこなうため、重要な虚偽記載を含まないという合理的保証を提供するまでに留まります。

① 会計監査の意義

企業は、事業活動の結果である経営成績や財政状態を利害関係者に報告する為に財務諸表を作成しますが、経営者の責任の下で作成されるためお手盛りの可能性があり客観性に疑問があります。そこで独立の第三者たる会計監査人が監査を実施し、財務諸表の内容の適正性を保証することにより、利害関係者は安心して企業の作成した財務諸表に依拠することが可能となるのです。

② 会計監査の特徴

会計監査は、利害関係者の意思決定に資するため財務諸表から重要な虚偽表示を排除することを目的としています。すなわち、その保証は絶対的な保障ではなく、全ての虚偽表示を排除することを目的としていません。また、現実的にも全ての会計取引を調査することは時間的にも経済的にも困難であり、サンプリングによる試査に基づく合理的な保証が現実に即しているからです。
  

③ 監査報告書

会計監査人の責任は財務諸表に対する意見表明であるため、財務諸表の作成責任は経営者にある旨を明示し責任の分担を図ります。また、対象となる財務諸表の範囲や監査基準、監査手続きを明示した上で監査意見が表明されます。財務諸表に重要な虚偽表示が含まれていない場合には適正意見が表明され、重要な虚偽表示が含まれれば不適正意見が表明されます。また監査実施に際し制限があり、意見表明の合理的基礎を得られない場合は意見が差控えられます。

④ 対象企業

日本では、株式公開会社や資本金5億円以上ないし負債額が200億円以上の株式会社などの大手企業が主に法定監査の対象となりますが、ベトナムでは会社規模に関わらず外資企業であれば法定監査が必要となります。

⑤ 監査実施主体

日本の監査法人は5名以上の公認会計士を社員としますが、ベトナムの監査法人は3名以上の常勤公認会計士の登録を必要としています。以前は実質非常勤の公認会計士を登録している監査法人が散見されましたが、財務省の調査が厳格化され、昨今では3名の常勤体制が徹底されてきております。また、近い将来3名以上の登録から5名以上の登録へと法制度が改正される見込みであり、監査法人のM&Aが進んでおります。

今月のまとめ

  • 会計監査の意義:独立の第三者による客観的保障
  • 会計監査の特徴:全ての虚偽表示を認めない絶対的保証ではなく、重要な虚偽表示を認めない合理的保証
  • 監査報告書:経営者との責任の明確化及び会計監査人の監査実施範囲及び意見を表明
  • 対象企業:全ての外資企業が含まれる
  • 監査実施主体:監査法人(または公認会計士)


NAC国際会計グループ ベトナム事務所
NAC (Vietnam) Co., Ltd.

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