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[全訳] 外国企業常駐代表機構登記管理条例

中華人民共和国国務院令 第584号(原文

《外国企業常駐代表機構登記管理条例》は2010年11月10日の国務院第132次常務会議を通過し、ここに公布し、2011年3月1日より施行する。

総理 温家宝
二○一○年十一月十九日

外国企業常駐代表機構登記管理条例

第一章  総則

第一条 外国企業常駐代表機構の設立及びその業務活動を規範化するため、本条例を制定する。

第二条 本条例でいう外国企業常駐代表機構(以下「代表機構」とする)とは、外国企業が本条例の規定に従い中国国内に設立し、当該外国企業の業務に関係する非営利的活動を行う弁事機構を指す。代表機構は法人資格を有さない。

第三条 代表機構は中国の法律を遵守しなければならず、中国国家の安全と社会公共の利益に損害を与えてはならない。

第四条 代表機構の設立・変更・閉鎖は、本条例の規定に従い登記を行う。
外国企業は代表機構登記の申請にあたり、申請文書・資料の真実性に対して責任を負う。

第五条 国家工商行政管理総局及び授権された地方工商行政管理局は代表機構の登記・管理機関(以下「登記機関」とする)である。
登記機関はその他関連部門と共に情報共有機構を構築し、相互に代表機構の情報を提供しなければならない。

第六条 代表機構は毎年3月1日から6月30日の間に登記機関に年度報告を提出しなければならない。年度報告の内容は、外国企業の合法的存続状況・代表機構の業務活動状況及び会計師事務所の監査を受けた費用収支状況等の関連状況などである。

第七条 代表機構は法により会計帳簿を設置し、外国企業による経費支払と代表機構の費用収支状況を真実に記載し、代表機構の駐在場所に保管しなければならない。
代表機構は他の企業・組織または個人の口座を使用してはならない。

第八条 外国企業より派遣された首席代表・代表及び代表機構のスタッフは法律・行政法規の出入境・居留・就業・納税・外貨登記等に関する規定を遵守しなければならない。規定に違反する場合、関連部門は法律・行政法規の関連規定に基づき処理する。

第二章 登記事項

第九条 代表機構の登記事項は、代表機構の名称・首席代表の氏名・業務範囲・駐在場所・駐在期限・外国企業の名称及びその住所などである。

第十条 代表機構の名称は以下の部分を順に組み合わせる:外国企業の国籍・外国企業の中文名称・駐在都市の名称及び「代表処」の文字、下記に列挙する内容と文字を使用してはならない。
(一)中国国家の安全または社会公共の利益に損害を与えるもの。
(二)国際組織の名称。
(三)法律・行政法規または国務院の規定に禁止されているもの。
代表機構は登記機関に登記する名称により業務活動を行う。

第十一条 外国企業は首席代表を1名派遣しなければならない。首席代表は外国企業による書面の授権範囲内で、外国企業を代表して代表機構登記申請文書の署名を行うことができる。
外国企業は業務上の必要により、1~3名の代表を派遣することができる。

第十二条 下記に列挙する状況のうち一つに該当する場合、首席代表・代表に就任してはならない。
(一)中国国家の安全または社会公共の利益に損害を与えたことにより、刑罰を受けている。
(二)中国国家の安全または社会公共の利益等に損害を与える違法活動を行ったことで、法により設立登記の抹消、登記証の取消を受けた、または関連部門が法により閉鎖を命じた代表機構の首席代表・代表で、抹消・取消または閉鎖命令の日より5年間経過していない。
(三)国家工商行政管理総局が規定するその他の状況。

第十三条 代表機構は営利的活動に従事してはならない。
中国が締結または参加する国際条約・協定に別途規定がある場合、その規定に従うが、中国が声明を保留している条項を除く。

第十四条 代表機構は外国企業の業務と関係する下記に列挙する活動を行うことができる。
(一)外国企業の製品またはサービスに関連する市場調査・展示・宣伝活動。
(二)外国企業の製品販売・サービスの提供・国内仕入・国内投資に関連する連絡活動。
法律・行政法規または国務院が、代表機構が行う前款に規定する業務活動は批准を経る必要がある、と規定している場合、批准を取得しなければならない。

第十五条 代表機構の駐在場所は外国企業が自ら選択する。
国家の安全と社会公共の利益の必要により、関連部門は代表機構に駐在場所を調整するよう求め、登記機関に通知することができる。

第十六条 代表機構の駐在期限は外国企業の存続期限を超過してはならない。

第十七条 登記機関は代表機構登記事項を代表機構登記簿に記載し、社会公衆の参照・複製に供する。

第十八条 代表機構は登記機関の発布した外国企業常駐代表機構登記証(以下「登記証」とする)を代表機構駐在場所の目立つ位置に設置する。

第十九条 いかなる単位と個人も登記証と首席代表・代表の代表証(以下「代表証」とする)を偽造・書換・賃貸・貸与・譲渡してはならない。
登記証と代表証を遺失または損害が生じた場合、代表機構は指定された媒体上に無効声明を出し、交換を申請する。
登記機関が法により変更登記・抹消登記・登記の取消変更・登記証の無効を決定した場合、代表機構の旧登記証と旧首席代表・代表の代表証は自動的に失効する。

第二十条 代表機構の設立・変更について、外国企業は登記機関の指定した媒体上で社会に公告しなければならない。
代表機構の抹消または法により設立登記・登記証を取り消された場合、登記機関は公告を行う。

第二十一条 登記機関は代表機構に対して本条例に違反の嫌疑のある行為を取り締まり、法により下記に列挙する職権を行使することができる。
(一)関係する単位と個人に対する状況の調査・理解。
(二)違法行為に関係する契約・証憑・帳簿及びその他資料の検査閲覧・複製・差押・押収。
(三)差押・押収は主に違法行為に用いられた工具・設備・原材料・製品(商品)等の財物を対象とする。
(四)検査質問は違法行為を行った代表機構の口座及び預金に関係する会計証憑・帳簿・銀行証明等を対象とする。

第三章  設立登記

第二十二条 設立代表機構は登記機関に設立登記を申請する。

第二十三条 外国企業が代表機構を設立申請するにあたり、登記機関に下記の文書・資料を提出しなければならない。
(一)代表機構設立登記申請書。
(二)外国企業の住所証明と2年以上の合法的な営業証明。
(三)外国企業の定款または組織協議。
(四)外国企業による首席代表・代表の任命文書。
(五)首席代表・代表の身分証明と略歴。
(六)外国企業と業務取引のある金融機構の発行した資金信用証明。
(七)代表機構の駐在場所の合法的な使用証明。
法律・行政法規または国務院が、代表機構の設立に批准が必要と規定している場合、外国企業は批准の日より90日以内に登記機関に設立登記を申請し、批准文書を提出しなければならない。
中国が締結または参加する国際条約・協定が営利的活動を行う代表機構を設立してもよいと規定している場合、法律・行政法規または国務院の規定に従い相当する文書を提出する必要がある。

第二十四条 登記機関は申請を受理した日より15日以内に登記許可の決定を行い、決定前に必要に応じて関連部門の意見を求めることができる。登記許可が決定された場合、決定の日より5日以内に申請者に登記証と代表証を発布しなければならない。登記を許可しない場合、決定の日より5日以内に申請者に登記却下の通知書を発行し、登記を許可しない理由を説明する。
登記証発行日時を代表機構の成立日時とする。

第二十五条 代表機構・首席代表・代表は登記証・代表証により居留・就業・納税・外貨登記等の手続を行う。

第四章  変更登記

第二十六条 代表機構登記事項に変更が生じた場合、外国企業は登記機関に変更登記を申請しなければならない。

第二十七条 登記事項を変更する場合、登記事項に変更の生じた日より60日以内に変更登記を申請しなければならない。
変更登記事項について法律・行政法規または国務院の規定により登記前に批准が必要と規定されている場合、批准の日より30日以内に変更登記を申請しなければならない。

第二十八条 代表機構は駐在期限満了後も継続して業務活動を行う場合、外国企業は駐在期限満了の60日前までに登記機関に変更登記を申請しなければならない。

第二十九条 代表機構の変更登記を申請する場合、代表機構変更登記申請書及び国家工商行政管理総局の規定する関連文書を提出しなければならない。
変更登記事項について法律・行政法規または国務院が登記前に批准が必要と規定している場合、批准文書を提出しなければならない。

第三十条 登記機関は申請を受理した日より10日以内に変更登記の許可を決定しなければならない。変更登記の許可が決定された場合、決定の日より5日以内に登記証と代表証を再発行しなければならない変更登記を許可しない場合、決定の日より5日以内に申請者に変更登記却下通知書を発行し、変更登記を許可しない理由を説明しなければならない。

第三十一条 外国企業の署名権者・企業の責任形態・資本(資産)・経営範囲及び代表に変更が生じた場合、外国企業は上述事項に変更が生じた日より60日以内に登記機関に備案しなければならない。

第五章  抹消登記

第三十二条 下記に列挙する状況の一つに該当する場合、外国企業は下記の事項が発生した日より60日以内に登記機関に抹消登記を申請しなければならない。
(一)外国企業による代表機構の閉鎖。
(二)代表機構の駐在期限が満了し事業活動を継続しない。
(三)外国企業の閉鎖。
(四)代表機構を法により閉鎖されたまたは閉鎖命令を受けた。

第三十三条 外国企業が代表機構の抹消登記を申請する場合、登記機関に下記の文書を提出しなければならない。
(一)代表機構抹消登記申請書。
(二)代表機構税務登記抹消証明。
(三)税関・外貨部門の発行した関連事宜清算完了または代表機構の未処理関連手続の証明。
(四)国家工商行政管理総局の規定するその他の文書。
法律・行政法規または国務院が、代表機構が行う代表機構の閉鎖は批准を経る必要がある、と規定している場合、批准文書を提出しなければならない。

第三十四条 登記機関は申請を受理した日より10日以内に抹消登記の許可を決定しなければならない。抹消許可が決定された場合、決定の日より5日以内に抹消許可通知書、納付登記証と代表証を発布しなければならない。抹消登記を許可しない場合、決定の日より5日以内に申請者に抹消登記却下の通知書を発行し、抹消登記を許可しない理由を説明する。

第六章  法律責任

第三十五条 登記をせずに、無断で代表機構を設立または代表機構の業務活動を行った場合、登記機関は活動の停止を命じ、5万元以上20万元以下の罰金を課す。
代表機構が本条例の規定に違反して営利的活動を行った場合、登記機関は改正を命じ、違法所得を没収し、営利的活動に用いる工具・設備・原材料・製品(商品)等の財物を没収し、5万元以上50万元以下の罰金を課す。事態が深刻な場合は、登記証を取り消す。

第三十六条 虚偽の資料提出またはその他の手段により真実の状況を隠蔽し、代表機構の登記または備案を行った場合、登記機関は改正を命じ、代表機構に2万元以上20万元以下の罰金を課し、直接責任のある幹部とその他直接の責任者に1,000元以上1万元以下の罰金を課す。事態が深刻な場合は、登記機関は登記の抹消または登記証の取消、代表証の取消を行う。
代表機構が提出した年度報告に真実を隠蔽したり虚偽の内容が含まれている場合、登記機関は改正を命じ、代表機構に2万元以上20万元以下の罰金を課す。事態が深刻な場合は、登記証を取り消す。
登記証・代表証を偽造・書換・賃貸・貸与・譲渡した場合、登記機関は代表機構に1万元以上10万元以下の罰金を課す。直接責任のある幹部とその他直接の責任者に1,000元以上1万元以下の罰金を課す。事態が深刻な場合は、登記機関は登記証の取消、代表証の取消を行う。

第三十七条 代表機構が本条例第十四条の規定に違反して業務活動以外の活動を行った場合、登記機関は期限を設けて改正を命じる。期限が経過しても改正されない場合、1万元以上10万元以下の罰金を課す。事態が深刻な場合は、登記証を取り消す。

第三十八条 下記に列挙する状況のうち一つに該当する場合、登記機関は期限を設けて改正を命じ、1万元以上3万元以下の罰金を課す。期限が経過しても改正されない場合、登記証を取り消す。
(一)本条例の規定に従い年度報告を提出していない。
(二)登記機関に登記した名称に基づいて業務活動を行っていない。
(三)中国政府関連部門が駐在場所の調整を要求する。
(四)本条例の規定に従い設立・変更状況を公告していない。
(五)本条例の規定に従い変更登記・抹消登記または備案を行っていない。

第三十九条 代表機構が中国国家の安全または社会公共の利益を脅かす等の重大な違法活動を行った場合、登記機関は登記証を取り消す。
代表機構が本条例の規定に違反して設立登記抹消・登記証の取消を受けた、または中国政府関連部門が法により閉鎖を令じた場合、抹消・取消または閉鎖命令の日より5年以内に、当該代表機構を設立した外国企業は中国国内に代表機構を設立してはならない。

第四十条 登記機関及び職員が職権を濫用する、職責を軽んじる、不正を行う、本条例の規定に従い登記を行わない・違法行為を取り締まらない、または違法行為を支持・擁護・容認した場合、法により処分する。

第四十一条 本条例の規定に違反し、治安管理行為の違反に及ぶ場合、《中華人民共和国治安管理処罰法》の規定により処罰する。犯罪行為である場合、法により刑事責任を追求する。

第七章  附則

第四十二条 本条例でいう外国企業とは、外国の法律に従い中国国外に設立された営利組織のことを指す。

第四十三条 代表機構登記の手続費用は国務院財政部門・価格主管部門の関連規定に従い実施し、代表機構登記の手続費用標凖は国務院価格主管部門・財政部門の関連規定に従い実施する。

第四十四条 香港特別行政区・マカオ特別行政区と台湾地区の企業が中国国内に代表機構を設立する場合、本条例の規定に従い登記管理を行う。

第四十五条 本条例は2011年3月1日より施行する。1983年3月5日に国務院の批准を受け、1983年3月15日旧国家工商行政管理局が発布した《外国企業常駐代表機構登記管理に関する弁法》は同時に廃止する。