ベトナム ベトナム会計・税務 Q&A

[ベトナム 会計・税務] 財務諸表

Q. ベトナムに赴任して初めて会計業務に携わりますが、ベトナムの財務諸表とはどんな書類を指すのでしょうか?留意すべき点がありましたら教えてください。

A. ベトナムの財務諸表は貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、財務諸表への注記事項の4種類から成り、それぞれ規定の様式が定められています。関連行政機関への財務諸表の提出が必要であり、外資企業には法定監査も求められています。

① 財務諸表の作成目的

財務諸表(決算書)は、企業が 利害関係者に対して一定期間の経営成績や財政状態等を明らかにするために作成する書類です。利害関係者とは現在の出資者や債権者だけではなく、将来において利害関係を有する可能性のある潜在的利害関係者も含まれます。これは、企業の財政状態や経営成績が開示されることにより、潜在的な利害関係者も安心して現実の利害関係を持つことが出来るからです。

② 財務諸表の種類

ベトナムの基本財務諸表は、1.貸借対照表(通称B/S:Balance Sheetの略であり、資産合計と負債・純資産の合計が同額になりバランスします。)、2. 損益計算書(通称I/S: Income Statementの略であり、収益及び費用から利益または損失を計算し表示します。日本での通称はP/L:Profit & Loss Statementです。)、3. キャッシュ・フロー計算書(通称C/F:Cash Flow Statementの略であり、現金の流れを表します。法人の通常取引は売買つどの現金決済ではなく信用に基づく後日の決済が多い為、損益計算書の収益・費用の計上と実際の現金の流れは異なってきます。)4.財務諸表への注記事項(Notes to Financial Statementsは上記1から3の財務諸表への補足的説明や注意事項を記載します。)の4種類となります。

③ 日本の財務諸表との違い

日本の会計基準では、1.貸借対照表、2.損益計算書、3.キャッシュフロー計算書、4.株主資本等変動計算書の4種類が基本財務諸表となり、1から4の財務諸表とともに開示される注記事項は、基本財務諸表には含まれません。ベトナムにおいて基本財務諸表ではない株主資本変動計算書は、日本の親会社の要請などがあれば作成が認められます。

④ 財務諸表の提出先及び期限

全ての法人は財務諸表を作成し、会計期間末日から90日以内に関連行政機関に提出をしなければなりません。基本的に外資企業の財務諸表の提出先は、1.税務局、2.統計局、3.計画投資局ですが、工業団地管理委員会への提出が求められケースもあります。外資企業には法定監査も必要ですので、提出期限までに監査を終えなければなりません。

今月のまとめ

①財務諸表の作成目的:経営成績及び財政状態の利害関係者への開示
②財務諸表の種類:1.貸借対照表、2.損益計算書、3.キャッシュフロー計算書、4.注記事項の4種類
③日本の財務諸表との違い:株主資本変動計算書は作成不要
④財務諸表の提出先及び期限:1.税務局、2.統計局、3.計画投資局へ提出、会計期間末日から90日以内

NAC国際会計グループ ベトナム事務所
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