ベトナム ベトナム会計・税務 Q&A

[ベトナム 会計・税務] 源泉税

Q. 個人所得税のほかにも源泉徴収される税金はあるのでしょうか。もしあれば、課税対象や税率、申告方法なども教えてください。

A. ベトナム国内に法人のない外国契約者がベトナム国内での役務の提供による所得や利子などの不労所得等を得て、尚且つ、外国契約者による直接申告方式を採用しない場合、ベトナム側契約者はその支払いに際して外国契約者が納付ないし負担すべき付加価値税(VAT)及び法人税を事前に控除します。

税率は事業活動により異なり、申告・納付はベトナム側契約者が行います(「役務提供」の具体例については、③課税対象を参照)。

①外国契約者

外国契約者とは、ベトナム国内法に準拠した法人格を有さず人民委員会が発行する投資証明書を取得していない外国の個人また法人であり、ベトナム国内での役務提供から所得を得る者を指します。

②外国契約者による直接申告および源泉徴収による申告

外国契約者税の申告・納付には2つの方法があり、外国契約者が直接申告・納付する方法と、ベトナム側契約者が源泉徴収し申告・納付する方法があります。外国契約者がベトナム会計システムを採用し、ベトナム国内での恒久的施設や183日以上の契約期間などの一定条件を満たす場合は外国契約者が直接の申告・納付を行います。それ以外のケースではベトナム側契約者が源泉徴収後に申告・納付を行います。以下では、源泉徴収による申告・納付を主体に説明します。

③課税対象

外国契約者がベトナム国内で得た売上や所得は、所得税の課税対象となりますので、ベトナム側契約者が、外国契約者から提供された役務への支払いに際して、源泉徴収します。具体的には、海外親子ローンなどの借入金に対する支払利息、技術支援・移転などに関するロイヤルティ、リース契約に基づくリース料などが対象となります。また、外国契約者から提供される役務のうち、ベトナム国内で消費されるものは付加価値税の課税対象にもなります。

④税率

税率は、外国契約者が法人の場合、外国契約者が直接申告するのか、ベトナム側契約者が源泉徴収により申告するかで異なります。源泉徴収による申告の場合、事業収益の種類に応じて一定税率が適用されます。利息やロイヤルティに対しては法人税率10%、リース料に対しては法人税率は5%、付加価値税率5%です。直接申告の場合は、ベトナム国内法人と同様、原則として利益に対して法人税率は25%、付加価値税率は10%です。

⑤申告および納付方法

源泉徴収による申告のケースでは、まずベトナム側契約者が契約後20営業日以内に外国契約者の税務登録を行います。そして外国契約者への支払に際し、源泉徴収をし、申告および納付手続きを行います。なお、外国契約者による直接申告のケースでは、申告および納付はベトナム国内法人と同様で、法人税は各四半期の翌月末日まで、付加価値税は翌月の20日までに申告・納付手続きを行います。

今月のまとめ

  1. 外国契約者:投資証明書を持たずベトナム国内での役務提供から所得を得る外国事業者
  2. 直接申告および源泉徴収による申告:制度上、2通りの方法が規定されている
  3. 課税対象:外国契約者がベトナム国内で得た売上や所得
  4. 税率:事業収益の種類に応じて一定税率の法人税・付加価値税
  5. 申告および納付方法:外国契約者への支払いに際して源泉徴収後に申告・納付

NAC国際会計グループ ベトナム事務所
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