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政府機関の統計によると、2009年末時点の香港不動産価格指数は、2008年の金融危機の同期数字に比べ、22%増加したそうである。特に2010年に入っての不動産価格の急上昇は、既に1997年当時の香港に於ける不動産バブルの水準に戻ったという。それは、低金利の経済環境の下で、香港政府の投資移民計画を通じ、不動産へ投資する中国人富裕層の不動産購入も一因なのだろう。

2010年3月5日、立法会での保安局長、李少光氏は、「投資移民計画」について、以下のように発表した。



「投資移民計画」が2003年10月に開始してから2009年末までに、政府は、5950人以上の申請を許可し、HK$420億(約5千億円)以上の資金を“吸収”したという。うち、約3割の資金(資産)が不動産購入で、2009年末時点で、それらの累計は、HK$123億を上回る。もちろん、その他の金融商品に投資した金額も高かったが、移民投資による香港不動産への投資額が増えたことは、確かである。ちなみに、2009年度の申請者数及び、許可取得者数の75%以上が中国人であった。

投資移民による不動産購入金額(HK$56億、約670億円)は、2008年のHK$32億から75%以上増加したが、それでも、この数字は、香港における不動産投資全体の1.1%に過ぎないので、香港全体の不動産価格に影響を与えないはずだという、政府のコメントもある。だが、地元不動産業者の統計数字(物件の売買実績)に食い違いがある。

上記は、政府発表の投資移民による不動産投資額の推移の発表だが、一方、民間の不動産会社の統計をみてみると、大手不動産会社の中原地產によれば、2009年度に、HK$1200万(約1億4千万円)以上の不動産物件を購入した人の中で、10人に2人くらいが中国人だったという(同社の統計により、05年が6%、06年が8.3%、07年が9.2%、08年が11.2%で、09年になって18.1%まで急成長した)。

また、高級不動産を専門に扱っているDTZ社によれば、2009年に“豪邸”~HK$1億(約12億円)以上の物件~を購入した人の中で、10人に1人が中国人だったという。そして、それらの購入者数は、2008年度には、1%だったが、2009年度には、11%に急上昇し、今年は、多分15~20%にまで達することを予測している。

以上の政府及び民間不動産会社の統計から分かったことは2つ。一つは、投資移民の不動産購入金額だけをみたのでは、中国人の香港不動産購買力が過小評価されているということ。「投資移民計画」の申請基準は、650万香港ドル或いは以上の資産価値のある不動産購入であるが、上述の民間不動産会社が公表している“豪邸”(HK$1億以上の物件)を購入した中国人富裕層とは、別のグループではないかと思われる。

もう一つは、上述した2社の数字(各不動産会社の成約実績数)は、不動産業者全体を代表することができないが、“個人名義”の数字なので“実際のチャイナ-・マネー”を現していないということ(注:香港は法人その他名義で不動産購入に対して一切規制がない)。

“豪邸”(HK$1億以上の物件)を購入した中国人富裕層は、恐らく10人に2~3人ぐらいで、彼らは、必ずしも香港に住むことが目的でなく、投資が目的であろう。将来、中国経済の成長が続けば、これらの中国人富裕層の香港不動産の購入が、増え続けると思われる。

文頭で、1997年香港不動産バブルの価格水準に戻ってきていることにふれたが、現在の不動産価格が、もうバブルだと判断するのは早すぎるではないか?“中国化”しつつある香港経済に対して、未だに“香港的”な高価不動産政策をし続ければ、供給需要の市場メカニズムで香港の不動産価格がまだまだ上昇するとの強気な意見が増えてきている。

資料出所:

  1. 2010年3月4日、香港星島日報
  2. 2010年3月10日、東方日報:“逾億元成交內地客佔11%”

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