ベトナム ベトナム会計・税務 Q&A

[ベトナム会計・税務] ベトナムの基本的な税制

Q. ベトナムにおける会社の運営や個人の生活において関わりのある、基本的な税制にはどのようなものがありますか。税金の種類や税率ついて教えてください。

A.  ①法人所得税、②個人所得税、③付加価値税、④利息やロイヤルティなどへの源泉徴収税、⑤営業許可税などがベトナムにおける代表的な税目です。その他には特別売上税、天然資源開発税、土地家屋使用税、輸出入関税などがあります。

1. 法人所得税

現在の法人所得税の基本税率は25%です。以前はベトナム国内企業への基本税率が32%、外国投資企業への基本税率が25%でしたが、内外格差の是正の観点から2004年に28%に統一され、その後2009年度より25%に改められました。また、投資優遇リストに含まれる分野及び経済的に困難な地域に設立される企業には一定期間10%から20%の優遇税率が設けられています。

2. 個人所得税

個人所得税の対象となる所得の内、事業所得と勤労所得には累進課税制度が採られ、5%から35%の税率が課されます。また、投資、相続、株式の売買などから得られるその他の所得に対しては、その種類に応じて0.1%から25%の税率が課されます。なお、税金の控除制度として、納税者に対し400万ドン/月の所得控除及び、扶養者一人当り160万ドン/月の控除が認められています。

3. 付加価値税(VAT)

付加価値税は、物やサービスの流通に課される税金であり、国内における売買及び輸入貨物に対して課税されます。この流通課税である付加価値税の基本税率は10%ですが、水道、医療・教育関連設備などの必需品対しての優遇税率は5%です。また、塩、教育・医療サービス、ソフトウェア、印刷出版などに関する業種には付加価値税が免除されています。

4. 利息やロイヤルティなどへの源泉徴収税

ベトナム現地法人がベトナム国外の契約者と締結した借入金に対する利息の支払いや国外の親会社などと契約したロイヤルティ契約(商標権や技術移転など)への対価支払いには、利息やロイヤルティの対価を受け取る国外の契約者の所得に対して源泉徴収税が課されます。利息やロイヤルティなどへの源泉徴収税は、1995年に締結された日越二重課税防止協定に基づき10%となっています。

5. 営業許可税

法人の所得の有無に関わらず毎年の申告および納付が必要です。税額は定款記載資本に基づき定められており、100万ベトナムドン(定款記載資本20億ベトナムドン未満)、150万ベトナムドン(同20億ベトナムドン以上50億ベトナムドン未満)、200万ベトナムドン(同50億ベトナムドン以上100億ベトナムドン以下)、300万ベトナムドン(同100億ベトナムドン超)です。

今月のまとめ

  1. 法人所得税25%(優遇税率10%、20%)
  2. 個人所得税(事業所得および勤労所得には累進課税にて5%~35%、その他所得には種類に応じて0.1%から25%の一律課税)
  3. 付加価値税10%(優遇税率5%)
  4. 利息やロイヤルティなどへの源泉徴収税10%
  5. 営業許可税100万ドン~300万ドン

講師紹介

筆者 安藤 崇/会社名NAC (Vietnam) Co., Ltd.
南山大学法学部卒業後、会計事務所、メーカー管理部門責任者などを経て、NAC ベトナム創設に参画(NACは香港、中国、台北、シンガポール等を拠点とする日系国際会計事務所)。ベトナム在住8年で現地の会計実務・ビジネス慣習・ベトナム語に精通。