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非居住者の企業所得税に関する質疑応答(十)

非居住者の企業所得税に関する質疑応答(十)
2009年06月24日(原文

Q. 国税発[2009]3号通知第8条の控除する企業所得税課税額計算に関して、控除する企業所得税課税額=課税所得額×実際徴収率とされている。課税所得額は、企業所得税法第19条規定で算出される以下の課税所得額となる。「(二)財産譲渡所得は、収入額全額から財産純価額を控除した残額を課税所得額とする。」
では、持分譲渡においては、「財産純価額」はどのように確定するのか?また、持分譲渡における持分譲渡収入から留保収益等の項目を取り除くか否かに関して、新税法第19条と条例第74条規定では、財産純価額には所有者の留保収益は含まれないとなる。これは、当該収入部分に対して二重課税となる可能性がある。国税発[1997]71号における、持分譲渡収入額は留保収益を取り除くものであるという規定は、現在も適用することができるのか?

A. 持分譲渡の財産純価額問題に関する国税発[1997]71号通知は既に廃止されている。持分譲渡は企業再編の状況に該当するため、税務処理においては一般性税務処理規定と特殊精税務処理規定のどちらを適用するかが重要となる。詳細は、財税[2009]59通知において見ることができる。非居住者の持分譲渡における財産純価額確定等の具体的政策は、現在総局での検討を行っている段階であり、関連部門は明確な通知を早急に発行する予定である。

記事の内容は、法規定の変更などにより、現在の状況と異なっている場合がありますのでご留意ください。

Q. 恒久的機構を構成しない非居住者企業の申告義務について:中国国内で工事作業請負や役務提供を行う非居住者企業が国内で恒久的機構を有しない場合、関連する協定の条項に基づき、当該非居住者企業は中国国内での所得税納税義務を有しない可能性がある。但し、当該記企業は《確定申告弁法》で規定する、確定申告の参加を免除される形態には含まれてはいない。これは、非居住者企業が国内に恒久的機構を有しているか否かを問わず、全ての企業が年度申告と確定申告義務を有し、関連する財務報告等資料の提出を履行する必要があるという意味であるのか?確定申告の手続きにおいて、外国の非居住者企業は年間財務報告をどのように準備すればよいのか?また、査定徴収方式を採用する場合、資料の提出は免除されるのか?

A. 税務総局19号令では、中国国内で工事作業請負や役務提供を行う非居住者企業は、申告履行の義務を有すると規定されている。恒久的機構を有さず、且つ主管税務機関の承認を受けた場合は、企業所得税のゼロ申告を行う。我が国が対外的に締結する租税協定(措置)では、一般的に、非居住者企業が中国国内で行う工事作業請負や役務提供が某12ヵ月のうち6ヵ月を超える場合、恒久的施設を有すると見做して、企業所得税の申告納税を通常通り行わなくてはならない。したがって、恒久的機構を有さず、国内での工事作業請負期間や役務提供期間が短い場合、当然、非居住者企業の所得税年度確定申告参加は不要となる。

Q. 「事業」や「事業所在地」はどのように定義するのか?例えば、外国企業と国内企業グループの総公司が役務契約を締結するものの、実際の役務享受者は多数の国内子会社である場合、事業は一つであるか、複数となるのか?当該外国企業は、各役務享受者の所在地で個別に税務登記を行うのか、或いは契約締結地で税務登記を行うべきであるのか?また、外国企業は、どのように納税申告を行うのか、どこか一箇所で一括納税を実行するのか?

A. 事業所在地とは役務の発生地を指す。外国企業と国内企業グループの総公司が役務契約を締結するものの、実際の役務享受者が多数の国内子会社である場合は、複数の事業であると見做して、各事業の発生地において税務登記と税金の申告納税手続きを行う。
企業所得税法とその実施条例では、非居住者企業が中国国内で取得する役務所得は、機構や事業所の所在地が納税地となると規定している。非居住者企業が中国国内に二箇所、或いは複数の機構や事業所を有する場合、各機構や事業所の所在地税務機関の共通する上部税務機関の審査と承認を経て、その主要機構や事業所にて企業所得税を一括納付することも可能性である。なお、主要機構や事業所は、同時に以下の条件を満たさなければならない。

  1. その他機構や事業所の生産経営活動に対して、監督管理責任を負う。
  2. 帳簿や証票を整え、各機構や事業の収入、原価、費用や損益状況を正確に反映することができる。

非居住者企業が企業所得税の一括納付を承認された後に、機構や事業所の増加、合併、移転や閉鎖、或いは機構や事業所の業務を停止する必要が生じた場合、企業所得税一括申告納付を行う主要機構や事業所が、事前にその所在地税務機関に報告を行わなければならない。企業所得税の一括納付を行う主要機構や事業所の変更を行う場合、前述の規定に基づいた手続きを行う。

Q. 当社は外国企業であり、広西省に不動産開発企業を設立した。現在、当該企業の持分49%をある広州の企業へ譲渡する計画を有している。そこで、以下の納税に関する問題について問い合わせを行いたい。

  1. 我々が取得する持分譲渡所得について所得税を計上して納付する必要があるが、源泉徴収は広西省の企業が広西税務局で行うべきか、或いは広州の企業が広州税務局で行うべきであるのか?
  2. 外貨買付と送金のための完税証明書取得が必要となる場合、広西省と広州のどちらの税務局へ申請すべきであるのか?

A. 企業所得税法とその実施条例では、非居住者企業が中国国内に機構や事業所を有さない、或いは機構や事業所を設立しているものの取得する所得がそれら機構や事業所と実際の関係を有さない場合、その中国国内取得に係る企業所得税納付は、支払者が徴収義務者となり源泉徴収を実行しなければならない。支払者とは、関連法律規定や契約において約束される、非居住者企業への関連対価支払義務を直接に負う企業や個人を指す。したがって、上述の例における源泉徴収義務者は広州の企業となる。対外送金に係る税務証明を取得する必要がある際は、支払者所在地税務機関である広州の主管税務機関へ申請を行う。

Q. 確定申告の手続きにおいて、外国の非居住者企業は年間財務報告をどのように準備すればよいのか?また、査定徴収方式を採用する場合、資料の提出は免除されるのか?

A. 企業所得税法とその実施条例、及び国税発[2009]6号通知では、非居住者企業が所得税年度申告を行う際は、以下の報告書や資料を正確に作成して、提出しなければならないと規定されている。

  1. 企業所得税年間納付申告書とその付随資料
  2. 年間財務会計報告書
  3. 税務機関が規定するその他関連資料の提出。

なお、査定徴収方式を適用している場合も、上述する資料の提出義務は免除されない。

Q. 匯発[2008]64号通知第4条では、国内機構や個人が対外送金を行う出張旅費や会議費、商品展示販売費等は、《税務証明書》の手続きを行う必要がなく、提出も必要のない項目である、と規定されている。つまり、当該項目は税務局での免税証明を発行する必要がなく、金額が3万米ドルを超えるか否かを問わず、企業が自身で判断した上で直接に損金計上を行うことができるのか?

A. 匯発[2008]64号通知第4条は、国内機構が海外で発生する出張旅費や会議費、商品展示販売費等項目の費用に関して、《税務証明書》の手続きや提出を不要と規定している。国内機構が海外で発生する上述の費用が前提条件であり、当該項目の対外送金は3万米ドルの制限を受けず、税務機関での免税証明書発行も不要である。損金算入が可能であるか否かは、企業所得税法とその実施条例等関連規定に従う。

Q. 海外へ送金する資本譲渡以外の寄贈や賠償、税収、偶発性所得等に関して、居住者企業は如何なる税目を源泉徴収する必要があるのか?また、《税務証明書》申請時には、どのような資料を提出するのか?

A. 海外へ送金する資本譲渡以外の寄贈や賠償、税収、偶発性所得等に関して、居住者企業が如何なる税目を源泉徴収する必要があるのかは、今回の回答範囲にはない。申し訳ないが、税務総局の関連部局へ問い合わせて下さい。
国税発[2008]122号通知では、国内機構や個人が《税務証明書》を申請する際は、《サービス貿易等項目の対外送金に係る<税務証明書>発行申請書》を記入した上で、以下の資料とともに主管税務機関へ提出すると規定されている。

  1. 契約書や協議書、或いはその他双方の権利義務を証明することができる書面資料(写し)
  2. 発票や国外機構の対外送金要請文書(写し)
  3. 完税証明書、或いは免税承認文書(写し)
  4. 税務機関が規定するその他関連資料の提出

Q. 居住者企業が国外で役務の提供を受ける場合、その役務が全て国外で提供されれば、企業所得税の徴収は不要であるのか?企業所得税納付義務の定義は、以前の恒久的施設に該当するか否かにより処理されるのか?

A. 企業所得税法では、役務所得の国内外判定基準を役務の発生地と規定している。つまり、役務の全てが国外で発生する場合、非居住者企業の所得税問題には該当しない。
企業所得税法では、中国国内に機構や事業所を有する非居住者企業が、その機構や事業所で取得する中国国内源泉所得、並びに中国国外で発生するがその機構や事業所と実際の関係を有する所得は企業所得税を納付すると規定している。中国と租税協定(措置)を締結している国家や地域の居住者企業が中国国内に機構や事業所を設立する場合、それが恒久的施設に該当するか否かを以て、企業所得税の徴収根拠とする。