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特別納税調整実施弁法(試行) [原文]
国税発 [2009] 2号

第1章 総則

第1条
特別納税調整管理を規範化するために、『中華人民共和国企業所得税法』(以下、「所得税法」とする)《中華人民共和国企業所得税法実施条例》(以 下、「所得税法実施条例」とする)、『中華人民共和国税収徴収管理法』(以下、「徴収管理法」とする)《中華人民共和国税収徴収管理法実施細則》(以下、 「徴収管理法実施細則」とする)、及び中国政府と関連国家(或いは地区)政府の間で締結した租税条約(或いは協定)(以下、「租税条約」とする)の関係規 定に基づき、本規程を制定する。



第2条
本弁法は税務機関による企業に対する移転価格、事前確認、コストシェアリング契約、被支配外国企業、過少資本税制、及び一般的租税回避防止等の特別納税調整の管理に適用する。

第3条
移転価格の管理とは、税務機関が所得税法第6章、徴収管理法第36 条の関係規定に基づき、企業とその関連者との間の取引(以下、「関連取引」とする)が独立企業間取引の原則に合致するか否かを審査評価し、調査、調整等を行うことをいう。

第4条
事前確認の管理とは、税務機関が所得税法第42 条、徴収管理法実施細則第53条の規定に基づき、企業が提出した将来年度の関連取引の価格算定原則、計算方法を審査評価し、企業と協議した上で事前確認等を締結することをいう。

第5条
コストシェアリング契約の管理とは、税務機関が所得税法第41条第2 項の規定に基づき、企業が関連会社と締結したコストシェアリング契約が独立企業間取引の原則に合致するかどうかを審査評価し、調査、調整等を行うことをいう。

第6条
被支配外国企業の管理とは、税務機関が所得税法第45 条の規定に基づき、被支配外国企業が利益配当を行わないか、或は利益配当を減額することを審査評価し、調査を行い中国居住者企業に帰属する所得に対して調整等を行うことをいう。

第7条
過少資本税制の管理とは、税務機関が所得税法第46条の規定に基づき、企業がその関連者から受入れた債権性投資と持分性投資の割合が規定比率または独立企業間取引の原則に合致するか否を審査評価し、調査、調整等を行うことをいう。

第8条
一般的租税回避防止の管理とは、税務機関が所得税法第47 条の規定に基づき、企業がその他の合理的な事業目的のないスキームを実施することにより、課税収入或いは所得額を減少させることに対して審査評価し、調査、調整等を行うことをいう。

第2章 関連申告

第9条
所得税法実施条例第109条及び徴収管理法実施細則第51条にいう関連関係とは、主に企業とその他企業、組織或いは個人との間に以下のいずれかの関係があることをいう。
(一) いずれか一方が他方の持分の25%以上を直接又は間接的に保有する場合、または同一の第三者に25%以上の持分を直接又は間接的に保有される場合。一方の企業が中間者を通して、間接的に他方の持分を保有し、中間者に対する一方の企業の持分比率が25%以上の場合は、他方に対する一方の持分比率は他方に対する中間者の持分比率により計算する。
(二) 一方の他方(独立の金融機関を除く)からの借入金が払込資本金の50%以上を占める場合、または一方の借入金総額の10%以上が他方(独立の金融機関を除く)の保証を受けている場合。
(三) 一方の半数以上の高級管理者(董事会メンバー、マネージャーを含む)または少なくとも1 名の董事会を支配できる董事会高級メンバーが他方から派遣されている場合、或いは双方の半数以上の高級管理者(董事会メンバー、マネージャーを含む)または少なくとも1 名の董事会を支配できる董事会高級メンバーが同一の第三者から派遣されている場合。
(四) 一方の半数以上の高級管理者(董事会メンバー、マネージャーを含む)が同時に他方の高級管理者(董事会メンバー、マネージャーを含む)を担当する場合、または少なくとも1 名の董事会を支配できる董事会高級メンバーが同時に他方の董事会の高級メンバーを担当する場合。
(五) 一方の正常な生産経営活動が他方から提供される工業所有権、技術ノウハウ等の特許権に依存している場合。
(六) 一方の購買及び販売活動が他方により支配されている場合。
(七) 一方の役務の享受または提供が他方により支配されている場合。
(八) 一方が他方の生産経営、取引を実質的に支配し、或いはその他の利益上の関係がある場合。本条第1 項にいう持分比率になっていない場合でも、一方と他方の主な株主が基本的に同じ経済利益を受けている場合及び家族、親族関係等を含む。

第10条
関連取引には主に以下の形態を含む。
(一) 有形資産の売買、譲渡と使用。建物構築物、車輌運搬具、機器設備、工具、商品、製品等の有形資産の売買、譲渡とリース業務を含む。
(二) 無形資産の譲渡と使用。土地使用権、版権(著作権)、特許権、商標、顧客名簿、販売ルート、ブランド、事業機密及び技術ノウハウ等の特許権、及び工業品の外観設計又は実用新案権等の工業所有権の譲渡及び使用権の提供業務を含む。
(三) 資金融資。各種の長短期の資金貸付、借入、保証、及び各種の利付前払いと延払い等の業務を含む。
(四) 役務提供。市場調査、販売促進、管理、行政事務、技術サービス、修理,設計、コンサルティング、代理、科学研究、法律、会計事務等のサービスの提供を含む。

第11条
帳簿査定課税を行う(訳者注:所得計算に基づくという意味)居住者企業及び、中国国内に機構・拠点を設立し、企業所得税を申告納付する非居住者企業が、税務機関に年度企業所得税納税申告表を提出するときに、『中華人民共和国企業年度関連取引報告表』を添付しなければならない。『関連関係表』、『関連取引総括表』、『仕入販売表』、『役務表』、『無形資産表』、『固定資産表』、『融資資金表』、『対外投資情況表』、『対外支払情況表』を含む。

第12条
企業が規定の期限までに本弁法第11条に規定する報告表を提出することが困難であり、期限を延長する必要がある場合、徴収管理法及び同実施細則の関係規定に従い、処理する。

第3章 同時文書管理

第13条
企業は所得税法実施条例第114 条規定に基づき、納税年度毎に関連取引の同時文書を準備、保存し、税務機関の要求に応じて提出しなければならない。

第14条
同時文書には主に以下の内容を含む。
(一) 組織構成
1. 企業が所属する企業グループの関連する組織構成及び持分構成。
2. 企業の関連関係の年度変化状況。
3. 企業と取引を行う関連企業の情報。関連企業の名称、法定代表人、董事、マネージャー等の高級管理者の構成、登録住所及び実際経営住所及び関連個人の名称、国籍、居住地、家族の構成等を含み、企業の関連取引価格の設定に直接的に影響を与える関連者を記載すること。
4. 各関連者に適用される所得税の性質を有する税目、税率及び適用可能な優遇税制。
(二) 生産経営状況
1. 企業の業務概要。企業の発展変化の概要、業界及びその発展の概要、経営戦略、産業政策及び業界規制等の企業と業界に影響を与える主要な経済及び法律問題、グループ産業チェーン及び企業の位置づけを含む。
2. 企業の主要業務の構成、主要業務収入及びその収入総額に占める割合、主要業務利益及びその利益総額に占める割合。
3. 企業の業界での位置づけ及び関連の市場競争環境の分析。
4. 企業内部の組織構成、企業及びその関連者が関連取引において果たす機能、負担するリスク及び使用する資産等に関わる情報。これらを参照し「企業の機能及びリスク分析表」を記入する。
5. 企業グループの連結財務諸表。企業グループの会計年度の状況に応じて延期準備してもよいが、遅くても関連取引の発生年度の翌年度の12 月31 日を超えてはならない。
(三) 関連取引の状況
1. 関連取引の類型、関与者、時期、金額、決済通貨、取引条件等。
2. 関連取引に採用された貿易方式、年度変化状況及びその理由。
3. 関連取引の業務プロセス。各サイクルの情報フロー、物流及び資金のフロー、非関連取引の業務プロセスとの異同を含む。
4. 関連取引に関わる無形資産及びそれが価格決定に与える影響。
5. 関連取引の関連契約書又は協議書の副本及び履行状況についての説明。
6. 関連取引の価格決定に影響を与える主な経済及び法律の要因に対する分析。
7. 関連取引と非関連取引の収入、原価、費用及び利益の区分状況。直接区分できない場合、合理的な比率で区分し、当該区分比率を確定した理由を説明する。これらを参照し「企業年度関連取引財務状況分析表」に記入する。
(四) 比較可能性分析
1. 比較可能性分析で考慮すべき要因。取引資産或いは役務の特性、取引当事者の担う機能、負担するリスク、契約条項、経済環境、経営戦略等を含む。
2. 比較可能企業の担う機能、負担するリスク及び使用した資産等の関係情報。
3. 比較可能取引の説明。例えば、有形資産の物理的特性、品質及び効用。融資業務の正常利率水準、金額、通貨、期限、担保、融資者の資本信用、返済方式、利息計算方法等。役務の性質及び程度。無形資産の類型、取引の形式、取引によって獲得する無形資産の使用権、無形資産の使用による収益。
4. 比較可能情報の出所、選定条件及び理由。
5. 比較可能データの差異調整及び理由。
(五) 移転価格算定方法の選択及び使用
1. 移転価格算定方法の選択及び理由。利益法を採用する場合、企業グループの全体利益又は残余利益への貢献を説明すること。
2. 比較可能情報は選択した移転価格算定方法を裏付けているか否か。
3. 比較可能非関連取引価格或いは利益を確定する過程で用いた仮定及び判断。
4. 合理的な移転価格算定方法を用いて比較可能情報の分析を行った結果、比較可能非関連取引価格或いは利益を確定し、独立企業間取引原則を遵守した説明。
5. 採用した移転価格算定方法を裏付けるその他資料。

第15条
以下のいずれかに該当する企業は、同時文書の準備が免除される。
(一) 年間の関連仕入販売金額(来料加工の場合、年度輸出入通関価格で計算)が2 億元以下で且つその他関連取引金額(関連貸付は利息の受取支払金額により計算)が4000万元以下の場合。上記金額には年度内に実施するコストシェアリング契約又は事前確認における関連取引金額を含まない。
(二) 関連取引が事前確認の対象範囲に入っていること。
(三) 外資持分が50%以下で且つ国内の関連会社のみと関連取引が発生する場合。

第16条
本規程第7 章の別途規定を除いて、企業は関連取引が発生した年度の翌年の5月31 日までに当該年度の同時文書を準備し、税務機関から要求された日から20日以内提出しなければならない。企業が不可抗力により期限までに同時文書を提出できない場合、不可抗力が解消してから20日以内に同時文書を提出しなければならない。

第17条
企業は税務機関の要求に応じて提出する同時文書に社印を押印し、且つ法定代表者または法定代表者が授権する代表者が署名或いは押印をしなければならない。同時文書で情報を引用する場合、その出所を記載しなければならない。

第18条
企業が合併、分割等の原因で税務登録を変更或いは抹消する場合、合併、分割後の企業が同時文書を保管しなければならない。

第19条
同時文書は中国語を使用する。原始資料が外国語である場合、中国語の副本を添付しなければならない。

第20条
同時文書は企業の関連取引が発生した年度の翌年6月1日から10年間保管しなければならない。

第4章 移転価格算定方法

第21条
関連取引のある企業及び関連取引を審査、評価する税務機関は独立企業間取引の原則に従い、合理的な移転価格算定方法を採用しなければならない。所得税法実施条例第111 条の規定により、移転価格算定方法には独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法、取引単位営業利益法、利益分割法及び独立企業間取引の原則に合致するその他の方法を含む。

第22条
合理的な移転価格算定方法を選定するには、比較可能性分析を行わなければならない。比較可能性分析には主に以下の五つの要素を含む。
(一) 取引する資産或いは役務の特性。主に有形資産の物理的特性、品質、数量等、役務の性質と範囲、無形資産の類型、取引形式、期限、範囲と予測収益等を含む。
(二) 各取引当事者の機能及びリスク。機能には主に研究開発、設計、仕入、加工、組立、製造、在庫管理、販売、アフターサービス、広告、運輸、倉庫保管、融資、財務、会計、法律及び人的資源管理等を含む。機能を比較するとき、企業が機能を果たすために使用する資産の類似性に留意する。リスクには主に研究開発リスク、仕入リスク、生産リスク、販売リスク、マーケティングリスク、管理及び財務リスク等を含む。
(三) 契約条項。主に取引対象の具体的事項、取引数量、価格、代金の支払、回収方式及び条件、引渡条件、アフターサービスの範囲と条件、付加役務提供の約定、契約書の内容を変更、修正する権利、契約書の有効期間、契約を修了或いは更新する権利等を含む。
(四) 経済環境。主に業界の概要、地域、市場規模、市場の段階、市場占有率、市場競争の程度、消費者の購買力、商品或いは役務の代替可能性、生産要素の価格、運輸コスト、政府規制等を含む。
(五) 経営戦略。主にイノベーションと開発戦略、多角化経営戦略、リスク回避戦略、市場占有戦略等を含む。

第23条
独立価格比準法は非関連者間で行われる関連取引と同一又は類似する取引の価格を関連取引の公正取引価格とする方法である。比較可能性分析においては、特に関連取引と非関連取引の取引する資産又は役務の特性、契約条項及び経済環境における差異を考察しなければならない。それぞれの取引類型には、具体的に以下のような内容を含む。
(一) 有形資産の売買又は譲渡
1. 売買又は譲渡の過程。取引の時期と場所、引渡条件、引渡手続、支払条件、取引数量、アフターサービスの時期と場所等を含む。
2. 売買又は譲渡の段階。工場出荷段階、卸売段階、小売段階、輸出段階等を含む。
3. 売買又は譲渡する物品。品名、ブランド、規格、型番号、性能、構造、外形、包装等を含む。
4. 売買又は譲渡の環境。民族風俗、消費者の嗜好、政局の安定度及び財政、租税、為替政策等を含む。
(二) 有形資産の使用
1. 資産の性能、規格、型番号、構造、類型、減価償却方法。
2. 使用権を提供する時期、期限、場所。
3. 資産所有者の資産に対する投資支出、修理費用等。
(三) 無形資産の譲渡と使用
1. 無形資産の類別、用途、適用業界、予測便益。
2. 無形資産の開発投資、譲渡条件、独占程度、国家の関連法律に保護される程度及び期限、譲受コストと費用、機能及びリスクの状況、代替可能性等。
(四) 資金融資。融資の金額、通貨、期限、担保、融資者の資本信用、返済方式、利息計算方法等。
(五) 役務提供。業務の性質、技術上の要求、専門化レベル、責任負担、支払条件と方式、直接及び間接原価等。関連取引と非関連取引に、上記の点において重大な差異がある場合、当該差異が価格に与える影響を合理的に調整しなければならない。合理的な調整ができない場合、本章の規定に基づき、その他の合理的な移転価格算定方法を選択しなければならない。独立価格比準法はすべての類型の関連取引に適用できる。

第24条
再販売価格基準法は関連者から購入した商品を非関連者に再販売する価格から、比較対象非関連取引の総利益を控除した後の金額を関連者から購入する商品の公正取引価格とする方法である。その計算式は以下の通りである。
公正取引価格=非関連者に再販売する価格×(1-比較可能非関連取引の総利益率)
比較可能非関連取引の総利益率=比較可能非関連取引の総利益/比較対象非関連取引の純収入×100%
比較可能性分析においては、特に関連取引と非関連取引の機能とリスク及び契約条項における差異及び総利益率に影響を与えるその他の要因を考察しなければならない。具体的には販売、広告及びサービス機能、在庫リスク、機械、設備の価値及び使用年数、無形資産の使用及び価値、卸売或いは小売段階、事業経験、会計処理及び管理効率等を含む。関連取引と非関連取引に、上記の点において重大な差異がある場合、当該差異が総利益率に与える影響を合理的に調整しなければならない。合理的な調整ができない場合、本章の規定に基づき、その他の合理的な移転価格算定方法を選択しなければならない。再販売価格基準法は通常、再販売者が商品の外形、性能、構造を変更又は商標の変更等の実質的な付加価値加工をせず、簡単な加工或いは単純な売買業務のみを行う場合に適用される。

第25条
原価基準法は合理的な原価に比較対象非関連取引の総利益を加えたものを関連取引の公正取引価格とする方法である。その計算式は以下の通りである。
公正取引価格=関連取引の合理的原価×(1+比較可能非関連取引のマークアップ率)
比較可能非関連取引のマークアップ率=比較対象非関連取引の総利益/比較対象非関連取引の原価×100%
比較可能性分析においては、特に関連取引と非関連取引の機能とリスク及び契約条項における差異及びマークアップ率に影響を与えるその他の要因を考察しなければならない。具体的には製造、加工、据付及びテスト機能、市場リスク及び為替リスク、機械、設備の価値及び使用年数、無形資産の使用及び価値、事業経験、会計処理及び管理効率等を含む。関連取引と非関連取引に、上記の点において重大な差異がある場合、当該差異がマークアップ率に与える影響を合理的に調整しなければならない。合理的な調整ができない場合、本章の規定に基づき、その他の合理的な移転価格算定方法を選択しなければならない。原価基準法は通常、有形資産の売買、譲渡と使用、役務提供及び資金融通の関連取引に適用される。

第26条
取引単位営業利益法は比較可能非関連取引の利益率指標を用いて関連取引の純利益を確定する方法である。利益率指標には、資産収益率、販売利益率、フルコストプラスマークアップ率、ベリー比率等の利益率指標を含む。比較可能性分析においては、特に関連取引と非関連取引の機能とリスク及び経済環境における差異及び営業利益に影響を与えるその他の要因を考察しなければならない。具体的には担う機能、負担するリスク、使用する資産、業界と市場の状況、経営規模、経済サイクルと製品のライフサイクル、原価、費用、所得と資産の各取引間の配賦、会計処理及び経営管理効率等を含む。関連取引と非関連取引に上記の点において重大な差異がある場合、当該差異が営業利益に与える影響を合理的に調整しなければならない。合理的な調整ができない場合、本章の規定に基づき、その他合理的な移転価格算定方法を選択しなければならない。取引単位営業利益法は通常、有形資産の売買、譲渡と使用、無形資産の譲渡と使用、役務提供等の関連取引に適用される。

第27条
利益分割法は企業とその関連者の関連取引の合算利益に対する貢献に基づき、各自に配分されるべき利益額を算出する方法である。利益分割法には一般利益分割法と残余利益分割法がある。一般利益分割法は関連取引の各当事者が担う機能、負担するリスク及び使用する資産に基づき、各自が取得すべき利益を確定する方法である。残余利益分割法は関連取引の各当事者の合算利益から、各当事者に配分する通常の利益を控除した残額を残余利益として、各当事者の残余利益に対する貢献度に基づき配分する方法である。比較可能性分析においては、特に取引の各当事者の担う機能、負うリスク及び使用する資産、原価、費用、所得と資産の各取引間の配賦、会計処理、取引の各当事者の残余利益に対する貢献度を確定する際に使用する情報及び前提条件の信頼性等を考察しなければならない。利益分割法は通常、関連取引の統合性が高く、且つ各当事者の取引結果を単独で評価することが難しい場合に適用される。

第5章 移転価格調査及び調整

第28条
税務機関は徴収管理法及び実施細則の税務調査の関係規定に基づき、調査対象企業を選定し、移転価格調査及び調整を行う権限を有する。調査対象企業は事実に基づいて関連取引の情況を報告し、関連資料を提供しなければならず、拒否或いは隠蔽してはならない。

第29条
移転価格調査は以下のような企業を重点的に選定する。
(一) 関連取引金額が大きい、或いは取引類型が多い企業。
(二) 長期的に欠損がある企業、僅少な利益しかない企業或いは利益の変動が激しい企業。
(三) 同業の利益水準より低い企業。
(四) 利益水準が負担する機能及びリスクと明らかに対応しない企業。
(五) タックスヘイブンにある関連者と取引がある企業。
(六) 規定に従って関連申告を行わない、或いは同時文書を準備していない企業。
(七) その他独立企業間取引の原則に明らかに違反した企業。

第30条
実際の税負担が同じ国内関連者間の取引について、当該取引が直接、又は間接に国家の全体税収を減少させたことがない限り、原則として移転価格調査及び調整を行わない。

第31条
税務機関は通常の徴収管理業務と連携し、書類調査を行い、調査対象企業を選定しなければならない。書類調査では、主に調査対象企業がそれまでに提出した各年度の所得税申告資料及び関連取引報告表等の納税資料に基づき、企業の生産経営状況、関連取引等の情況に対して総合的な評価分析を行わなければならない。企業は書類調査の段階で同時文書を税務機関に提出することができる。

第32条
税務機関は選定した調査対象に対して、所得税法第6 章、所得税法実施条例第6章、徴収管理法第四章及び徴収管理法実施細則第6章の規定により、現場調査を行う。
(一) 現場調査の人員は2名以上とする。
(二) 現場調査の時に『税務検査証』を提示し、『税務調査通知書』を交付しなければならない。
(三) 現場調査では必要に応じて法定手続に従い、インタビュー、帳簿資料の取寄せと実地検査等の方式を用いることができる。
(四) 当事者にインタビューするときに、専任者が『インタビュー(調査)記録』に記録し、事実通りに状況を説明しない場合の法律責任について当事者に知らせなければならない。『インタビュー(調査)記録』は当事者が確認しなければならない。
(五) 帳簿及び関係資料を取り寄せて調べる必要がある場合には、徴収管理法実施細則第86 条に基づき、『帳簿資料取寄せ通知書』、『帳簿資料取寄せリスト』に記入し、法定手続を行い、帳簿、記帳伝票等資料を取り寄せて調べ、適切に保管し、法律に定められた期限までにすべて返却しなければならない。
(六) 実地検査の過程で発見した問題、状況については、調査員が『インタビュー(調査)記録』に記入する。『インタビュー(調査)記録』は2名以上の調査員が署名し、必要に応じて調査対象企業が確認し、調査対象企業が拒否する場合には、2 名以上の調査員が署名し保管することができる。
(七) 記録、録音、録画、写真、コピーの形で案件に関わる資料を入手することができるが、原本の保管者及び出所を注記し、原本の保管者或いは提供者が確認し、「原本と相違ない」と記載して、押印しなければならない。
(八) 証人の証言が必要である場合には、事実通りに状況を説明しない場合の法律責任について事前に証人に知らせなければならない。証人の証言資料は本人が署名し捺印しなければならない。

第33条
所得税法第43 条第2項及び所得税法実施条例第114 条の規定に基づき、税務機関は移転価格調査を行うとき、企業及びその関連者並びに関連業務調査に関わるその他の企業(以下、「比較対象企業」とする)に関連資料の提出を要求する権限を有し、『税務事項通知書』を交付しなければならない。
(一) 企業は『税務事項通知書』が規定する期限までに関連資料を提出しなければならない。特別な状況により期限までに提出できない場合、税務機関に書面で延長申請を提出し、承認を受けた後、提出を延期することができるが、延長期間は最長30 日までとする。税務機関は企業の期限延長申請を受け取った日から15 日以内に書面で回答しなければならず、期限を過ぎても書面で回答しない場合は、税務機関は企業の期限延長申請に同意したものとみなす。
(二) 企業の関連者及び比較対象企業は税務機関と約定した期限までに関連資料を提出しなければならない。約定する期限は通常60 日を超えてはならない。企業、関連者及び比較対象企業は税務機関の要求に従い、真実で完全な関連資料を提出しなければならない。

第34条
税務機関は本規定第2 章の関連規定により、企業の申告情報を確認し、企業に『企業の比較可能性要因分析表』の記入を要求する。税務機関は企業の関連申告、提供された資料をもとに『企業関連関係認定表』、『企業関連取引認定表』及び『企業比較可能性要因分析認定表』を記入し、調査対象企業に確認させなければならない。

第35条
移転価格調査において関連者と比較対象企業を調査、証拠を取り寄せる場合、税務機関は企業に対して『税務調査通知書』を交付し、調査、証拠の取寄せを行わなければならない。

第36条
税務機関は企業、関連者及び比較対象企業が提出した関連資料を審査する際、現場調査、書面送付による協同調査と公開情報の閲覧等の方式を採用することができる。海外の関連資料が必要の場合、関連規定に基づき租税条約の情報交換手続を取り、または中国の海外駐在機構を通して関連情報を調査、収集することができる。海外関連者の関係資料について、税務機関は企業に公証機構の証明の提供を要求することができる。

第37条
税務機関は本弁法第4 章に規定する移転価格算定方法を用いて、企業の関連取引が独立企業間取引の原則に合致するか否かを分析、評価しなければならない。分析、評価は公開情報資料を用いることも、非公開情報資料を用いることもできる。

第38条
税務機関は関連取引を分析、評価する場合、企業と比較対象企業の運転資本の使用状況が異なることによって生じる営業利益の差異に対しては原則として調整を行わない。調整する必要がある場合、国家税務総局に報告し、承認を受けなければならない。

第39条
関連者の注文書に従って加工製造を行い、経営の意思決定、製品の研究開発、販売等の機能を担わない企業は、意思決定の誤り、操業度の不足、製品の滞留等を原因とするリスク及び損失も負うべきではなく、通常一定の利益率を維持しなければならない。欠損が発生している企業に対しては、税務機関は経済分析を行った上で、適切な比較対象価格或いは比較対象企業を選定し、企業の利益水準を確定しなければならない。

第40条
企業と関連者の間の受取代金と支払代金を相殺した場合、税務機関は比較可能性分析及び納税調整を行う場合、原則相殺した取引を総額に戻さなければならない。

第41条
税務機関が四分位法で企業の利益水準を分析、評価する場合、企業の利益水準が比較対象企業の利益率レンジの中間値を下回る場合、原則として中間値を下回らない水準で調整する。

第42条
調査した結果、企業の関連取引が独立企業間取引の原則に合致する場合、税務機関は移転価格調査の結論を出し、企業に『特別納税調査結論通知書』を交付しなければならない。

第43条
調査した結果、企業の関連取引が独立企業間取引の原則に合致しておらず、課税収入又は所得額が少なくなっている場合、税務機関は以下の手続に従って移転価格納税調整を行わなければならない。
(一) 計算、論証と比較分析に基づき、特別納税調査の初歩調整案を定める。
(二) 初歩調整案により、企業と協議する。税務機関と企業双方は主たる協議人を指定し、調査員が『協議内容記録』を作成し、双方の主たる協議人が署名して確認する。企業が署名を拒否した場合には、調査員2 名以上が署名し保管する。
(三) 企業は初歩調整案について異議がある場合、税務機関が規定する期限までに追加で関連資料を提出しなければならない。税務機関は資料を受け取った後、十分に審査し、適時に審議決定をしなければならない。
(四) 審議決定に基づき、企業に『特別納税調査初歩調整通知書』を交付する。企業は初歩調整意見に対して異議がある場合、通知書を受け取った日から7 日以内に書面を提出しなければならない。税務機関は企業の意見を受け取った後、再び協議、審議を行う。企業が期限を過ぎても異議を提出しない場合、初歩調整意見に同意したものとみなす。
(五) 最終調整案を確定し、企業に『特別納税調査調整通知書』を交付する。

第44条
企業は『特別納税調査調整通知書』を受け取った後、規定の期限までに税額及び利息を納付しなければならない。

第45条
税務機関は企業に対して移転価格納税調整を行った後、調整を受けた最終年度の翌年から5 年間にわたり追跡管理を実施しなければならない。企業は追跡管理期間において、追跡年度の翌年の6月20 日までに税務機関に同時文書を提出しなければならない。税務機関は同時文書と納税申告資料に基づき、以下の内容を重点的に分析、評価する。
(一) 企業の投資、経営状況及びその変化状況
(二) 企業の納税申告額の変化状況
(三) 企業の経営成果の変化状況
(四) 関連取引の変化状況等税務機関は追跡管理期間において、企業の移転価格の異常等を発見した場合、適時に企業と連絡し、企業による自らの調整を要求し、または本章の関係規定により移転価格調査調整を行う。

第6章 事前確認

第46条
企業は所得税法第42条、所得税法実施条例113条及び徴収管理法実施細則第53条の規定に基づき、将来年度の関連取引の価格設定原則、計算方法について、税務機関と事前確認を締結することができる。事前確認の交渉、締結及び実施には通常、予備会談、正式申請、審査及び評価、協議、締結、及び実施の監督の6つの段階がある。事前確認には一国内、二国間及び多国間の3 種類を含む。

第47条
事前確認は区が設置される市、自治州以上の税務機関が受理する。

第48条
事前確認は通常以下の条件を同時に満たした企業に適用される。
(一) 年度関連取引金額が4000 万元以上。
(二) 法律により関連申告義務を履行している。
(三) 規定に基づいて同時文書を準備、保存、提供している企業。

第49条
事前確認は企業が正式な書面申請を提出した年度の翌年度以降3 年から5 年の連続年度における関連取引に適用される。事前確認の交渉、締結は企業が正式な事前確認申請を書面で提出した年度或いはそれ以前の年度の関連取引に対する税務機関の移転価格調査調整に影響を与えるものではない。申請年度或いはそれ以前の年度の関連取引が、事前確認の適用年度と同じ或いは類似する場合、企業が申請し、税務機関の承認を得た上で、事前確認により確定された価格算定原則と計算方法を申請年度或いはそれ以前の年度の関連取引の評価及び調整に適用することができる。

第50条
企業は正式な事前確認の交渉・締結を申請する前に、税務機関に交渉・締結の意向を書面で提出しなければならない。税務機関は企業の書面による要求に基づき、企業と事前確認の関連内容及び事前確認終結の実行可能性について予備会談を行い、『事前確認会談記録』を作成する。予備会談は匿名の形で行うことができる。
(一) 企業が一国内の事前確認を申請する場合、税務機関に交渉・締結の意向を書面で提出しなければならない。予備会談の期間中に、企業が以下の内容について資料を提供し、税務機関と検討しなければならない。
1. 確認の適用年度。
2. 確認に関わる関連者及び関連取引。
3. 企業の過年度の生産経営状況。
4. 確認に関わる各関連者の機能とリスクの説明。
5. 確認で確定された方法を用いて過年度の移転価格問題を解決するか否か。
6. その他の説明が必要な状況。
(二) 企業が二国間或いは多国間事前確認を申請する場合には、同時に国家税務総局と管轄税務機関に交渉、終結の意向を書面で提出しなければならない。国家税務総局は企業との予備会談を手配し、会談内容は本条第1項の他に、下記の内容を追加して含む。
1. 租税条約の締結相手国の税務当局に対して提出する予備会談申請の状況。
2. 確認に関わる関連者の過年度の生産経営状況及び関連取引の状況。
3. 租税条約の締結相手の税務当局に対して提出する事前確認で採用を予定する価格算定原則及び計算方法。
(三) 予備会談で双方が合意した場合、税務機関は合意した日から15日以内に、事前確認の関連事項について正式な交渉を行う旨を、書面の形で企業に通知し、『事前確認正式会談通知書』を交付しなければならない。予備会談で双方が合意できない場合、税務機関は最後の予備会談の終了日から15 日以内に書面で企業に企業が申請した事前確認を拒否する旨を通知し、『企業の事前確認申請の拒否通知書』を交付し、理由を説明しなければならない。

第51条
企業は、税務機関の正式交渉に関する通知を受け取った日から3 ヵ月以内に、事前確認の申請報告を書面で税務機関に提出し、『事前確認正式申請書』を提出しなければならない。企業が二国間或いは多国間事前確認を申請する場合、『事前確認正式申請書』、『相互協議手続開始申請書』を同時に国家税務総局、管轄税務機関に提出しなければならない。
(一) 事前確認の申請報告書には、以下の内容を含めなければならない。
1. 関連するグループの組織、会社の内部組織、関連関係、関連取引の状況。
2. 企業の直近3 年間の財務諸表、製品の機能及び資産(無形資産及び有形資産を含む)に関する資料。
3. 確認に関わる関連取引の種類及び納税年度。
4. 関連者間の機能及びリスクの分担状況。分担の根拠となる機構、人員、費用、資産等を含む。
5. 事前確認に適用する価格算定原則及び計算方法、並びに当該原則及び方法を裏付ける機能リスク分析、比較可能性分析及び前提条件等。
6. 市場状況の説明。業界の発展趨勢及び競争環境を含む。
7. 確認対象期間となる年度の経営規模、経営業績予測及び経営計画等
8. 確認に関わる関連取引、経営計画、及び利益水準等に関する財務情報
9. 二重課税等の問題が生じるか否か
10. 国内及び国外の関連法律、租税条約等に関わる問題
(二) 以下のような特別な理由により、企業が期限までに申請報告書を書面で提出することができない場合には、税務機関に書面による期限延長申請を提出し、『事前確認正式申請延期申請書』を提出することができる。
1. 一部の資料を特別に準備する必要がある場合
2. 資料に技術的な処理をする必要がある場合、例えば翻訳等
3. その他の主観的ではない理由税務機関は、企業から書面による延期申請を受け取った後15 日以内に、延期申請に対して書面で回答し、『事前確認正式申請延期報告回答書』を交付しなければならない。期限を過ぎても回答しない場合、税務機関は企業の期限延長申請に同意したものとみなす。
(三) 上述の申請内容に関わる文書資料及び状況説明は、適用する予定の価格算定原則及び計算方法を裏付ける、事前確認の条件をみたすことを裏付けるすべての文書資料を含めて、企業及び税務機関は適切に保管しなければならない。

第52条
税務機関は、企業が提出した事前確認の正式な申請書及び必要な文書、資料を受け取った日から5 ヵ月以内に、審査及び評価を行わなければならない。審査及び評価の具体的な状況に応じて、企業に関連資料の追加提出を要求し、審査及び評価の結論を出す。特別な状況により、審査及び評価の期間を延長する必要がある場合には、税務機関は速やかに企業に書面で通知し、『事前確認審査評価延期通知書』を交付しなければならない。延長期間は3 ヵ月を超えないものとする。税務機関は主に以下の内容を審査及び評価しなければならない。
(一) 過去の経営状況。企業の経営計画、発展趨勢、経営範囲等に関する文書資料を分析、評価し、フィージビリティスダディ、投資予(決)算、董事会決議等を重点的に審査する。経営業績を反映する情報及び資料(例えば財務諸表、監査報告書等)を総合的に分析する。
(二) 機能及びリスクの状況。企業と関連者の供給、生産、輸送、販売等の各段階及び無形資産の研究、開発等におけるそれぞれの分担、果たす機能及び在庫、与信、為替、市場等に関して負担するリスクを分析、評価する。
(三) 比較可能情報。企業の提出した国内、国外の比較可能価格情報を分析、評価し、比較可能企業と申請企業の実質的な差異を説明し、調整を行う。比較可能取引或いは経営活動の合理性を確認できない場合は、適用する価格算定原則及び計算方法が審査対象である関連取引及び経営の現状を公正に反映し、かつ財務及び経営等の資料により立証されていることを証明するために、企業が提出する追加資料を明確にしなければならない。
(四) 前提条件。業界の利益獲得能力及びに企業の生産経営に対する影響要因及び影響度合を分析、評価して、事前確認に適用する前提条件を合理的に決定する。
(五) 価格算定原則及び計算方法。企業が事前確認に適用する価格算定原則及び計算方法が過去、現在及び将来年度の関連取引に運用されているか否か、どのように現実に運用されているか、また関連する財務、経営資料からみて、法律、法規の規定に合致しているかを分析、評価する。
(六) 予測される独立企業間価格或いは利益レンジ。確定した比較可能価格、利益率、比較可能企業の取引等をさらに審査、評価し、税務機関と企業が受入可能な価格或いは利益レンジを算定する。

第53条
税務機関は一国内事前確認の審査及び評価の結論を出した日から30 日以内に、事前確認について企業と協議する。協議で合意した場合、事前確認書草案と審査評価報告書を合わせて、国家税務総局まで報告して審査を受けなければならない。国家税務総局が租税条約の締結相手国の税務当局と二国間或いは多国間事前確認の協議を行い、合意した場合、協議覚書に基づいて事前確認書の草案を作成する。事前確認書の草案には、以下の内容を含めなければならない。
(一) 関連者の名称、住所等の基本情報
(二) 協議に関わる関連取引及び適用年度
(三) 協議で選定した比較可能価格或いは取引、価格算定原則及び計算方法、予測される経営結果等
(四) 価格算定方法の運用及び計算の基礎に関連する専門用語の定義
(五) 前提条件
(六) 年度報告、記録の保管、前提条件の変動通知等の企業の義務
(七) 確認の法的効力、文書資料等の情報の機密保持
(八) 相互責任条項
(九) 確認の修正
(十) 争議の解決方法及び手段
(十一) 発効日
(十二) 附則

第54条
税務機関と企業が一国内事前確認の草案の内容に合意した後、双方の法定代表者或いは法定代表者が授権した代表が、正式に一国内事前確認を締結する。国家税務総局と租税条約の締結相手国の税務当局が二国間或いは多国間事前確認の草案の内容に合意した後、双方或いは当事国の税務当局が授権した代表が、正式に二国間或いは多国間事前確認を締結する。管轄税務機関は二国間或いは多国間事前確認に基づき、企業と『二国間(多国間)事前確認実施協議書』を締結する。

第55条
事前確認の正式な交渉の後で、事前確認を締結する前に、税務機関と企業は交渉を保留、中止することができる。二国間或いは多国間事前確認の場合には、締結各国の税務当局の協議により、交渉を保留、中止することができる。中止する場合、交渉中に提供した全ての資料を相手に返却しなければならない。

第56条
税務機関は、監督管理制度を確立し、事前確認の実施状況を監督しなければならない。
(一) 事前確認の実施期間において、企業は確認に関連する文書と資料(帳簿と関連記録等を含む)を完全に保管しなければならず、紛失、処分又は移転してはならない。納税年度終了後5 ヵ月以内に、事前確認の実施状況に関する年度報告を税務機関に提出しなければならない。年度報告では、報告期間における経営状況、企業の事前確認の遵守状況を説明し、事前確認で要求されているすべての事項、及び当該事前確認の要求を修正或いは実質的に取り消すか否かを含める。未解決の問題或いは発生し得る問題があれば、確認を修正或いは終了するか否かについて税務機関と協議するために、企業はそれらを年度報告で説明しなければならない。
(二) 事前確認の実施期間において、税務機関は定期的(通常は半年ごと)に企業の確認履行の状況を検査しなければならない。検査内容には主に、企業が確認の条項及び要求を遵守しているか否か、確認締結のために提出した資料と年度報告は企業の実際の経営状況を反映しているか否か、移転価格算定方法が依拠する資料及び計算方法は正確であるか否か、確認に記述された前提条件は引続き有効であるか否か、企業による移転価格算定方法の運用は前提条件と一致しているか否か等が含まれる。企業に確認に違反する状況があれば、状況に応じて処理し、場合によっては確認を取消す。企業に隠蔽或いは確認の実施を拒否する状況があれば、税務機関は事前確認実施の第1 年度に遡及して確認を無効とする。
(三) 事前確認の実施期間において、実際の経営結果が確認で予測した価格或いは利益レンジに収まらない状況が発生した場合、税務機関は上級税務機関に報告し承認を得た後、実際の経営結果を確認で確定した価格或いは利益レンジに調整する。二国間或いは多国間事前確認については、国家税務総局まで報告し、承認を得なければならない。
(四) 事前確認の実施期間において、事前確認に影響を与える実質的な変化が生じた場合、企業は変化が生じた後30 日以内に、税務機関に書面で報告し、当該変化が事前確認の実施に与える影響を詳細に説明し、関連の資料を添付しなければならない。主観的でない理由で期限内に報告できない場合、報告の期限を延長することができるが、延長期間は30日を超えてはならない。税務機関は企業の書面による報告を受け取った日から60 日以内に審査及び処理を行わなければならない。企業の変化の状況の審査、企業との事前確認の条項及び関連条件の修正に関する確認或いは実質的な変化が事前確認の実施状況に与える影響の度合に応じて、事前確認の修正又は中止等の措置を含む。元の事前確認の実施を中止する場合、税務機関は本章に規定する手続及び要求に従って、企業と新たな事前確認について交渉、締結を行うことができる。
(五) 国家税務局及び地方税務局と企業が共同で事前確認を締結した場合、事前確認の実施期間において、企業は国家税務局及び地方税務局にそれぞれ事前確認の実施状況に関する年度報告及び実質的変化の状況報告を提出しなければならない。国家税務局及び地方税務局は、企業の確認の履行状況について、共同の検査及び審査を実行しなければならない。

第57条
事前確認は期間満了後、自動的に失効する。企業が協議の締結の継続を望む場合、事前確認の期限満了の90 日前までに、税務機関に締結継続申請を提出し、『事前確認締結継続申請書』を提出し、かつ信頼性のある証明材料を提出して、現行の事前確認に述べられた事実及び関連する環境に実質的な変化はなく、且つ当該事前確認の各条項及び約定を一貫して遵守していることを説明しなければならない。税務機関は企業の締結継続申請を受け取った日から15 日以内に受理するかどうかの回答を書面で行い、企業に対して『事前確認締結継続申請回答書』を交付する。税務機関は企業の締結継続申請資料を審査、評価し、企業と事前確認の草案に関する協議を行い、双方が定めた締結継続日、場所等の関連事項に従って、企業とともに締結継続作業を完了させる。

第58条
事前確認の交渉・締結または実施は同時に二つ以上の省、自治区、直轄市及び計画単列市の税務機関を跨ぐ場合、或いは国家税務局及び地方税務局に及び場合は、国家税総務局が統括する。企業は直接、国家税務総局に交渉、締結意向を書面で提出することができる。

第59条
税務機関が企業と合意した事前確認については、企業が協議のすべての条項及び要求を遵守しているかぎり、各地の国家税務局、地方税務局はそれを認めなければならない。

第60条
税務機関と企業が事前確認の予備会談、正式な交渉締結、審査、分析等の全過程において知り得た、或いは入手したすべての情報、資料については、双方とも守秘義務を負う。税務機関と企業の毎回の会談において、会談内容を書面で記録し、同時に毎回の会談時に相互に提供した資料の部数と内容を記載し、双方の主たる交渉人が署名捺印しなければならない。

第61条
税務機関と企業が事前確認の合意に至らなかった場合、税務機関は会談、協議の過程で知り得た、或いは入手した企業の提案、推理、観念及び判断等の事実関係以外の情報を当該事前確認に関わる取引行為に対する今後の税務調査に用いてはならない。

第62条
事前確認の実施期間において、税務機関と企業に相違が生じた場合、双方は協議しなければならない。協議によって解決できない場合には、上級税務機関に報告して、調停を求めることができる。二国間または多国間の事前確認の場合、国家税務総局に報告して、調停を求めなければならない。上級税務機関或いは国家税務総局の調停の結果或いは決定を、下級税務機関は実行しなければならない。ただし、企業がなお受け入れられない場合には、協議の実施を中止する。

第63条
税務機関は企業と一国内間事前確認又は二国間或いは多国間の事前確認実施協議書を正式に締結した後10 日以内に、及び事前確認の実施中に変更、中止等の状況が生じた後20 日以内に、一国内事前確認書の正本、二国間或いは多国間の事前確認実施協議書及び協議変動状況に関する説明を、国家税務総局まで届け出なければならない。

第7章 コストシェアリング契約の管理

第64条
所得税法第41 条第2項及び所得税法実施条例第112 条に基づき、企業とその関連者がコストシェアリング契約を締結し、無形資産を共同で開発するか、譲渡を受け、或いは役務を共同で提供するか、提供を受ける場合は、本章の規定に従わなければならない。

第65条
コストシェアリング契約の参加者は開発する、譲渡を受ける無形資産又は役務活動に対して受益権を有し、それに対応する活動原価を負担する。関連者が負担する当該原価は非関連者が比較可能な条件の下で上述の受益権を得るために支払う原価と一致しなければならない。参加者がコストシェアリング契約により開発又は譲受した無形資産を使用する場合、別途にロイヤリティを支払は必要がない。

第66条
企業のコストシェアリング契約に関わる無形資産或いは役務の受益権に関して、合理的で計算可能な予測便益があり、且つ、合理的な事業の前提及び営業慣行を基礎としなければならない。

第67条
役務に関するコストシェアリング契約は原則として、グループ購買及びグループのマーケティングプランに適用される。

第68条
コストシェアリング契約には主に以下の内容を含む。
(一) 参加者の名称、所在国(地区)、関連関係、契約における権利、義務。
(二) コストシェアリング契約に関わる無形資産或いは役務の内容、範囲、契約に関わる研究開発或いは役務活動の具体的な負担者及びその役割、任務。
(三) 契約期間。
(四) 参加者の予測便益の計算方法及び前提。
(五) 参加者の初期投入及び後続原価の支払金額、形式、価値確認の方法及び独立企業間取引の原則に従う旨の説明。
(六) 参加者の会計方法の運用及び変更の説明。
(七) 参加者の契約へのバイイン或いはバイアウトの手続及び処理に関する規定。
(八) 参加者間の補償支払の条件及び処理に関する規定。
(九) 契約の変更或いは終止の条件及び処理に関する規定。
(十) 参加者以外が契約の成果を使用する場合の規定。

第69条
企業はコストシェアリング契約を締結した日から30 日以内に、国家税務総局に届け出なければならない。税務機関はコストシェアリング契約が独立間企業取引原則に合致しているかを判断する際に、国家税務総局に報告し、審査を受けなければならない。

第70条
すでに実施され、一定の資産を形成しているコストシェアリング契約について、参加者に変更があり、或いは協議の実施を中止する場合、独立企業間取引の原則に従い、以下の処理を行わなければならない。
(一) バイイン支払。新規参加者が既にある契約の成果の受益権を得るための合理的な支払。
(二) バイアウト補償。従来の参加者が契約から脱退し、すでにある協議の成果の受益権をその他の参加者に譲渡することによって得る合理的な補償。
(三) 参加者の変更後、各参加者の受益及び原価の分担状況を相応に調整しなければならない。
(四) 契約を終了する際、各参加者はすでにある契約の成果を合理的に配分しなければならない。企業が独立企業間取引の原則に従って上記の状況を処理せず、課税所得額を減少させた場合、税務機関は調整を行う権限を有する。

第71条
コストシェアリング契約の実施期間において、参加者が実際に享受する収益と分担する原価が対応しない場合、実際の状況に応じて補償調整を行わなければならない。

第72条
独立企業間取引の原則に従うコストシェアリング契約に関する税務処理の規定は以下の通りである。

(一) 企業が契約に基づき分担した原価は、契約に規定する各年度において損金算入することができる。
(二) 補償調整がある場合、補償調整年度において、課税所得額に計上する。
(三) 無形資産のコストシェアリング契約で、バイイン支払、バイアウト補償或いは契約中止の時に契約の成果を分配する場合、資産の購入或いは処分に関連する規定に従って処理する。

第73条
企業は本弁法第6 章の規定に従い、事前確認の方式でコストシェアリング契約を締結することができる。

第74条
コストシェアリング契約の実施期間において、企業は本弁法第3 章の規定に従い、且つ以下のコストシェアリング契約の同時文書を準備、保管しなければならない。
(一) コストシェアリング契約書の副本。
(二) コストシェアリング契約の各参加者の間で締結された、当該契約を実施するためのその他の契約書。
(三) 契約の参加者以外による契約の成果の使用状況及び支払金額、方式。
(四) 当年度のコストシェアリング契約の参加者のバイイン或いはバイアウトの状況。バイイン或いはバイアウトした参加者の名称、所在国(地区)、関連関係、バイイン支払或いはバイアウト補償の金額、形式を含む。
(五) コストシェアリング契約の変更及び終了の状況。変更或いは終了の原因、既に形成された契約の成果に対する処理或いは配分を含む。
(六) 当年度のコストシェアリング契約に従って発生した原価総額及び構成状況。
(七) 当年度の各参加者の原価分担の状況。原価支払の金額、形式、対象、支払った或いは受け取った補償支払の金額、形式、対象を含む。
(八) 当年度の契約の予測便益と実際の結果との比較及びこれによる調整。コストシェアリング契約の実施期間において、企業はコストシェアリング契約が事前確認の方式を採用したか否かに関係なく、当年度の翌年度の6 月20 日までに税務機関にコストシェアリング契約の同時文書を提出しなければならない。

第75条
企業がその関連者とコストシェアリング契約を締結する場合、以下の状況のいずれかがある場合、分担した原価を損金算入してはならない。
(一) 合理的な事業目的、経済的実質がない。
(二) 独立企業間取引の原則に合致しない。
(三) 原価と収益との対応原則に遵守していない。
(四) 本弁法の関連規定に基づき、コストシェアリング契約の同時文書を届け出、或いは準備、保存、提供をしていない。
(五) コストシェアリング契約の締結日から経営期間が20 年未満の企業。

第8章 被支配外国企業の管理

第76条
被支配外国企業とは、所得税法第45条の規定に基づき、居住者企業、或いは居住者企業と居住者個人(以下、中国居住者株主とする。中国居住者企業株主、中国居住者個人株主を含む)が支配する、実際の税負担が所得税法第4 条第1項に規定する税率水準の50%を下回る国家(地区)に設立された企業で、合理的な経営上の必要によらずに利益配当を行わないか、或いは利益配当を減額している外国企業をいう。

第77条
本弁法第76 条にいう支配とは、持分、資金、経営、仕入販売等の点において、実質的に支配していることをいう。その内、持分支配とは、中国居住者株主が納税年度のいずれかの日において単一レベルの直接的に又は複数レベルの間接的に単独で外国企業の議決権のある持分を10%以上保有し、且つ共同で当該外国企業の50%以上の持分を保有することをいう。中国居住者株主が複数レベルで間接的に保有する持分は各レベルの持分比率を乗じて計算するが、中間者が50%超の持分を保有する場合は、100%として計算する。

第78条
中国居住者株主は年度企業所得税納税申告を行うときに、対外投資情報を提供し、『対外投資情況表』を添付しなければならない。

第79条
税務機関は中国居住者株主が申告した対外投資情報を整理、審査し、被支配外国企業の中国居住者株主に『被支配外国企業中国居住者株主確認通知書』を交付する。中国居住者企業株主が所得税法第45条の課税要件を満たした場合、関係規定に従い課税する。

第80条
中国居住者企業株主の当期の被支配外国企業の配当とみなし所得の計上する金額は、以下の公式により計算しなければならない。中国居住者株主の当期所得=みなし配当金額×実際の持分保有日数÷ 被支配外国企業の納税年度の日数×株主の持分比率中国居住者株主が持分を複数段階で間接的に保有する場合、株主持分比率は各段階の持分比率を乗じて計算する。

第81条
被支配外国企業と中国居住者株主の納税年度に差異がある場合、みなし配当所得を被支配外国企業の納税年度終了日が属する中国居住者株主の納税年度に計上しなければならない。

第82条
中国居住者株主の当期所得に計上され、既に国外で納付した所得税額は、所得税法或いは租税条約の関連規定に基づき控除免除することができる。

第83条
被支配外国企業が実際に配当した利益が既に所得税法第45条の規定に基づき課税されている場合、中国居住者株主の当期所得に計上しない。

第84条
中国居住者株主が資料を提出し、支配する外国企業が以下の条件のいずれかを満たすことを証明できる場合、外国企業が利益配当を行わないか、或いは利益配当を減額している場合のみなし配当を中国居住者株主の当期所得に計上することが免除される。1. 国家税務総局が指定する非低税率国家(地区)に設立している。2. 積極的な経営活動による所得の取得を主な目的としている。3. 年間利益総額が500万元以下である。

第9章 過少資本税制

第85条
所得税法第46条にいう課税所得額を計算するときに損金算入できない利息支出は下記の計算式により計算する。損金算入してはならない利息支出=年度の関連者に実際支払ったすべての利息×(1-標準比率/関連の負債資本比率)その内、標準比率とは『財政部、国家税務総局の企業関連者の利息支出の税引前控除の標準に関係する税収政策の問題に関する通知』(財税「2008」121 号)に規定された比率をいう。関連負債資本比率とは、所得税法第46 条及び所得税法実施条例第119 条の規定に基づき、企業がすべての関連者から受入れた債権性投資(以下、関連債権投資とする)が企業が受入れた持分性投資(以下、持分投資とする)に占める比率をいい、関連債権投資には関連者が様々な形で保証を提供する債権性投資が含まれる。

第86条
関連負債資本比率の計算方法は以下の通りである。

関連負債資本比率=年度の各月の平均関連債権投資の合計額/年度の各月の平均持分投資の合計額
その内、各月の平均関連債権投資=(関連債権投資の月初帳簿残高+月末帳簿残高)/2各月の平均持分投資=(持分投資の月初帳簿残高+月末帳簿残高)/2
持分投資は企業の貸借対照表における所有者持分の金額である。所有者持分が払込資本金と資本剰余金の合計額より小さい場合、持分投資は払込資本金と資本準備金の合計額とする。払込資本金と資本剰余金の合計額が払込資本金より小さい場合、持分投資は払込資本金とする。

第87条
所得税法第46条にいう利息支出には、直接或いは間接的に関連債権投資に関して実際に支払った利息、保証費、抵当費及びその他の利息の性質を有する費用を含む。

第88条
所得税法第46条に課税所得額を計算するときに損金算入できない利息支出は以後の納税年度へ繰越してはならないと規定しているが、各関連者へ実際支払った利息が関連者利息総額に占める比率に基づいて、各関連者に按分しなければならない。その内、実際の税負担が企業より高い国内関連者に按分した利息は損金算入できる。直接、または間接に国外関連者に支払った利息は配当とみなし、配当と利息に適用される所得税税率の差により企業所得税を追加納付しなければならない。源泉徴収済の所得税税額が配当として計算した場合の所得税税額を超える部分は、還付しない。

第89条
企業の関連負債資本比率が標準比率を超えた利息支出について、課税所得額の計算上、控除される場合、本弁法第3 章の規定を遵守するほか、税務機関の要求に基づいて以下の同時文書を準備、保存、提出し、関連債権投資金額、利率、期限、融資条件及び負債資本比率等が独立企業間取引の原則に合致することを証明しなければならない。
(一) 企業の返済能力、借入能力分析
(二) 企業グループの借入能力及び融資構造の状況分析
(三) 企業の登録資本等持分投資の変動状況の説明
(四) 関連債権投資の性質、目的及び取得時の市場状況
(五) 関連債権投資の通貨種類、金額、利率、期限及び融資条件
(六) 企業が差し入れた担保物権の状況及び条件
(七) 保証人の状況及び保証条件
(八) 同種類の同時期の貸付金の利率状況及び融資条件
(九) 転換社債の転換条件
(十) その他独立企業間取引の原則に合致することを証明できる資料

第90条
企業が規定に基づいて関連債権投資の金額、利率、期限、融資条件及び負債資本比率等が独立企業間取引の原則に合致することを証明するための同時文書を準備、保存、提出していない場合、その標準比率を超える利息支出は課税所得額を計算するときに損金算入してはならない。

第91条
本章に言う“実際支払利息”とは、企業が発生主義原則に基づいて、関係の原価、費用に計上する利息をいう。企業の実際支払関連者利息に移転価格の問題がある場合、税務機関はまず最初に本弁法第5 章の関係規定に基づいて移転価格調査による調整を行う。

第10章 一般的租税回避防止の管理

第92条
税務機関は所得税法第47 条及び所得税法実施条例第120 条の規定に基づき、以下の租税回避の状況が存在する企業に対して、一般的租税回避防止調査を開始することができる。
(一) 優遇税制の濫用
(二) 租税条約の濫用
(三) 企業組織形式の濫用
(四) タックスヘイブンの利用による租税回避
(五) その他合理的な事業目的のないスキーム

第93条
税務機関は形式より実質を重んじる原則に基づいて、企業に租税回避スキームが存在するか否かを審査し、スキームの以下の内容を総合的に考慮しなければならない。
(一) スキームの形式と実質
(二) スキームの締結時期と実施時期
(三) スキームの実現方式
(四) スキームの各ステップ又は構成部分の間の関係
(五) スキームによる各社の財務状況の変化
(六) スキームの税収への影響

第94条
税務機関は経済的実質に従い租税回避スキームの性質を改めて判定し、企業が租税回避スキームによって得た租税利益を取り消す。経済実質のない企業について、特にタックスヘイブンに設立され、関連者又は非関連者に租税回避効果をもたらす企業について、租税上、当該企業の存在を否定することができる。

第95条
税務機関は一般的租税回避防止調査を開始するときに、徴収管理法及び同実施細則の関連規定に基づき、企業に『税務調査通知書』を交付しなければならない。企業は通知書を受け取った日から60 日以内に当該スキームに合理的な事業目的があることの証明資料を提出しなければならない。企業が規定の期限までに資料を提出せず、或いは提出した資料がスキームに合理的な事業目的があることを証明できない場合、税務機関はすでに把握した情報に基づき納税調整を行い、企業に『特別納税調査調整通知書』を交付することができる。

第96条
税務機関は一般的租税回避防止調査を行うときに、徴収管理法第57 条の規定に基づき、租税回避スキームの立案者に事実通りに関連資料及び証明材料を提出することを要求することができる。

第97条
一般的租税回避防止調査及び調整については、国家税務総局まで報告し、承認を得なければならない。

第11章 対応的調整及び相互協議

第98条
関連取引の一方が移転価格調査、調整を受ける場合、他方が対応的調整を行うことを認めなければならず、これにより二重課税が解消される。対応的調整が租税条約を締結している国家(地区)の関連者に関わる場合、企業の申請により、国家税務総局は租税条約の締結相手国の税務当局と租税条約の相互協議手続の規定に基づき協議する。

第99条
租税条約を締結している国家(地区)の関連者の移転価格の対応的調整について、企業は国家税務総局、管轄税務機関に同時に書面で申請を提出し、『相互協議手続開始申請書』を提出し、企業又は関連者の移転価格調整の通知書のコピー等の資料を提出しなければならない。

第100条
企業は企業又は関連者が移転価格調整通知書を受け取った日から3 年以内に対応的調整の申請を提出しなければならない。3 年を超える場合、税務機関はこれを受理しない。

第101条
税務機関は企業に対する移転価格調整で企業の国外関連者に支払った利息、賃貸料、ロイヤリティ等源泉徴収済の税額について、対応的調整は行わない。

第102条
国家税務総局は本弁法第6 章の規定に基づき、企業の二国間または多国間事前確認の申請を受けた場合、租税条約の相互協議手続に関する規定に基づき、租税条約の締結相手国の税務当局と協議しなければならない。

第103条
対応的調整或いは相互協議の結果は、国家税務総局が書面形式で管轄税務機関を通して企業に交付する。

第104条
本弁法の第9 章にいう課税所得額を計算するときに損金算入できない利息支出及び配当とみなされる利息支出は、本章の対応的調整の規定を適用しない。

第12章 法律責任

第105条
企業が本弁法の規定に基づき、税務機関に企業関連取引年度報告表を提出していない、または同時文書或いは関連資料を保存していない場合は、徴収管理法

第60 条
及び第62 条の規定に基づき処理する。

第106条
企業が同時文書等の関連取引の関連資料を提出することを拒否し、或いは虚為、不完全な資料を提出し、関連取引の状況を真実に反映していない場合は、税務機関は徴収管理法第70 条及び徴収管理法実施細則第96 条、所得税法第44 条及び所得税法実施条例第115条の規定に基づき処理する。

第107条
税務機関は所得税法及び同実施条例の規定に基づき、企業に対して特別納税調整を行う場合は、2008 年1 月1 日以降に発生した取引について追徴した企業所得税税額について、日割りで利息を加算しなければならない。
(一) 利息の計算期間は税額の帰属する納税年度の翌年6 月1 日から起算し、追加納税日(仮納付日)し国庫に収めた日までである。
(二) 利率は税額の帰属する納税年度の12 月31 日に適用される税額追徴期間と同期間の中国人民銀行の人民元貸付基準利率(以下「基準利率」とする)に5%を加えて計算し、1年365 日として日割り計算する。
(三) 企業が本弁法の規定に基づき同時文書及びその他の関連資料を提出した場合、または企業が本弁法第15 条の規定により同時文書の準備が免除されているが、税務機関の要求に応えてその他関連資料を提出した場合は、基準利率のみによって加算利息を計算することができる。企業が本弁法第15条第1項の規定により同時文書の準備を免除されたが、税務機関の調査により、実際の関連取引金額が同時文書を準備する基準に達した場合、税務機関は本条第2 項の規定を適用して、追徴税額に利息を加算して徴収する。
(四) 本条の規定に従い加算される利息は、課税所得額の計算において損金算入してはならない。

第108条
企業は税務機関が特別納税調整の決定を下す前に税額を仮納付し、調整追徴通知書を受領し税額を追加納付する場合は、追徴すべき税額の帰属する年度の順番によって仮納付済の税額の帰属する年度を確定し、仮納付し国庫に収めた日までの期間でそれぞれ加算利息を計算する。

第109条
企業は特別納税調整による追徴税額と利息を、税務機関の調整通知書に規定する期限までに国庫に収めなければならない。企業は特別な困難があり、期限までに税額を納付できない場合、徴収管理法第31条及び徴収管理法実施細則第41 条及び第42 条の関連規定に基づき、税額納税延期手続を行う。期限を過ぎて延期を申請せず、税額を納付しない場合、税務機関は徴収管理法第32 条及びその他関係規定に基づいて処理する。

第13章 付則

第110条
移転価格管理及び事前確認管理以外のその他特別納税調整事項の調査調整手続の実施について、税務機関は本弁法第5 章の関連規定を参照して適用する。

第111条
各レベルの国家税務局及び地方税務局は企業に対する特別納税調査調整を行う場合、連携を強化し必要に応じて共同調査チームを組んで調査を実施することができる。

第112条
税務機関及びスタッフは『国家税務総局の納税者税務機密情報管理に関する暫定弁法』(国税発「2008」93 号)等機密保持に関する規定に基づき、企業の提供した情報資料を保管、使用しなければならない。

第113条
本弁法で規定する期限の最終日が法定休日である場合、休日が終わる翌日を期限の最終日とする。期限までに連続3 日間以上の法定休日がある場合、休日の日数に従い期限を順次延長する。

第114条
本法にいう“以上”、“以下”、“日以内”、“その日まで”、“その前”、“より少ない”、“より低い”、“超える”等はすべてそれ自身を含む。

第115条
調査を受けた企業が税務機関による特別納税調査調整期間中に、経営場所の変更または税務登記の抹消を申請する場合、税務機関は調査終了前には原則として税務変更手続き、抹消手続を行わないものとする。

第116条
企業が本弁法第3 章の規定に従い、2008 納税年度に発生した関連取引の同時文書を準備する場合、2009 年12 月31 日まで延期することができる。

第117条
本弁法は国家税務総局が解釈及び改正の責任を負う。

第118条
本弁法は 2008 年1 月1 日より施行する。『国家税務総局の関連企業間取引税務管理規程(試行)』(国税発「1998」59 号)、『国家税務総局の「関連企業間取引の税務管理規程」(試行)の改定に関する通知』(国税発「2004」143号)及び『国家税務総局の関連企業間取引の事前確認実施細則』(国税発「2004」118 号)は同時廃止する。本弁法の公布前に実施した関連規定が本弁法と一致しない場合、本弁法を基準とする。

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[全訳] 特別納税調整実施弁法(試行) from 香港・中国・東南アジア法令情報サイト NAC Global .NET