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[全訳] 中華人民共和国増値税暫定条例実施細則

財政部 国家税務総局令
中華人民共和国増値税暫定条例実施細則
(原文)

財政部 国家税務総局第50号令
作成期日 2008年12月15日

第一条 ≪中華人民共和国増値税暫定条例≫(以下条例と略称する)に基づき本細則を制定する。

第二条 条例第一条にいう財貨とは、有形動産を指し、電力、熱エネルギー、気体を含む。
条例第一条にいう加工とは、受託財貨加工を指す、即ち、委託者が材料及び主要材料を提供し、受託者は委託者の要求に基づき財貨を製造し、加工費を受領する業務を指す。
条例第一条にいう修理補修とは、損傷、機能喪失した財貨に対する修復を行うことを受託し、その現状及び機能の回復を行う業務である。

第三条 条例第一条にいう財貨販売とは、財貨の所有権を有償で譲渡することを指す。
条例第一条にいう加工、修理補修役務(以下課税役務と称する)の提供とは、加工、修理補修役務の有償提供を指す。団体或いは個人事業者が雇用した従業員が当該団体或いは雇用主のために加工、修理補修役務を提供することは含まれない。
本細則にいう有償とは、購買者側から貨幣、財貨或いは其の他の経済的利益を取得することを指す。

第四条 団体或いは個人事業所の下記行為は財貨の販売と見なす。
(一)財貨を其の他の団体或いは個人に代理販売を委託すること。
(二)代理販売の財貨を販売すること。
(三)二つ以上の事業所を有し統一して会計計算を行っている納税者が、財貨を一方の機構から他方の機構に販売するために移送すること。ただし、関連機構が同一県(市)にある場合は除く。
(四)実家製造或いは委託加工した財貨を非増値税課税項目に用いること。
(五)自家製造、委託加工の財貨を集団福利又は個人消費に用いること。
(六)自家製造、委託加工或いは購入した財貨を投資として、他の団体或いは個人事業所に提供すること。
(七)自家製造、委託加工又は購入した財貨を株主或いは投資家に配当として分配すること。
(八)自家製造、委託加工または購入した財貨を其の他団体又は個人に無償贈与すること。

第五条 一つの販売行為が財貨と非増値税課税役務にわたる場合は、混合販売行為とする。本細則第六条の規定を除き、財貨の生産、卸売又は小売に従事する企業及び企業的性格を有する団体、個人事業者による混合販売行為は、財貨販売と見なし増値税を納税しなくてはならない。其の他の団体、個人の混合販売行為は、非増値税課税役務の販売と見なし増値税を納税しない。
本条例第一款にいう非増値税課税役務とは、営業税を納税すべき交通運輸業、建築業、金融保険業、郵便通信業、文化体育業、娯楽業、サービス業の税目徴収範囲に属する役務を指す。
本条例第一款にいう財貨の生産、卸売又は小売に従事する企業、企業の性質を有する団体及び個人事業者には、財貨の生産、卸売又は小売に従事することを主とする、且つ非増値税課税役務を兼営する団体及び個人事業者を含む。

第六条 納税者の下記の混合販売行為は、財貨の売上高及び非増値税課税役務の営業額を区分して計算しなくてはならず、販売財貨の売上高に基づき増値税を計算して納税する。非増値税課税役務の営業額は増値税を納税しない。区分計算できない場合は、所轄税務機関がその財貨の売上高を査定する。
(一)自家生産の財貨を販売する同時に建築業の役務を提供する行為
(二)財税部、国家税務総局が規定した其の他の情況

第七条 納税者が非増値税課税項目を兼営する場合は、財貨又は課税役務と非増値税課税項目の売上高をそれぞれ区分して計算しなくてはならない。区分計算できない場合は、所轄税務機関がその財貨又は課税役務の売上高を査定する。

第八条 条例第一条にいう中華人民共和国国内(以下国内と称する)において財貨販売又は加工、修理補修役務の提供とは:
(一)販売の財貨の荷積地又は所在地が国内であること
(二)提供した課税役務が国内に発生したこと。

第九条 条例第一条にいう団体とは、企業、行政単位、事業単位、軍事単位、社会団体及び其の他単位を指す。
本条例第一条にいう個人とは、個人事業者及び其の他の個人を指す。

第十条 団体を他の団体又は個人にリース、又は請負して経営させる場合は、借受人又は請負人が納税者となる。

第十一条 小規模納税者以外の納税者(以下、一般納税者と称する)が、売上返品又は売上値引きにより購入者に増値税額を返還する場合は、売上返品又は売上値引きの発生した当期の売上税額から差し引かなくてはならない。仕入返品又は仕入値引きにより回収した増値税額は、仕入返品又は仕入値引きの発生した当期の仕入税額から差し引かなくてはならない。
一般納税者が財貨を販売するか、また課税役務を提供して、増値税専用発票を発行した後、売上返品又は売上値引き、発票発行ミスなどの情況を発生する場合は、国家税務総局の規定に基づき赤字増値税専用発票を発行しなければならない。規定に基づき赤字増値税専用発票を発行しない場合は、増値税額を売上税額から控除してはいけない。

第十二条 条例第六条にいう代価以外の費用とは、購入者側から受取った代価以外の手数料、補助、基金、資金調達費用、返還利潤、奨励金、違約金、滞納金、代金延期払利子、賠償金、代理受領金額、立替金、包装費、通い箱賃借料、準備金、優良品質費、運輸荷役費及び其の他の各種な性質の代価以外の費用を指す。ただし、下記項目はその中に含まれない。
(一)消費税の課税対象となる消費品の受託加工により源泉徴収した消費税
(二)同時に以下の条件を満たす立替払運送費
1、運送請負部門の運送費用発票が購買者側に発行されたもの
2、納税者が当該発票を購入者側に引渡したもの
(三)同時に以下の条件を満たす代理受領の政府性質の基金又は行政事業性質の徴収料金
1、国務院又は税政部が批准して設立した政府性質の基金、国務院又は省レベル人民政府及びその財政、価格所轄部門が批准して設立した行政事業性の徴収料金
2、代理受領時、省レベル以上財政部門が印刷した財政領収書
3、代理受領代金を全額財政に上納する。
(四)財貨販売の同時保険代理などにより購買者側から受取った保険費、及び購買者側から受取った購入者側のために立て替えた車両取得税、車両登録費。

第十三条 混合販売行為は本細則第五条の規定に基づき増値税を納税しなけばならない場合は、その売上高はそれぞれ財貨と非増値税課税役務の売上高の合計とする。

第十四条 一般納税者が財貨又は課税役務の販売を行い、売上高と売上税額を併せて価格をつけている場合は、下記の計算式により売上高を計算する。
売上高=税込売上高÷(1+税率)

第十五条 納税者が人民元以外の外貨で売上高を決済する場合は、その売上が人民元へ換算する為替レートは、売上発生の当日為替レート又は当月1日の人民元為替レートの仲値を選択することができる。納税者は事前に如何なる為替レートを採用するかを決定し、決定後1年以内には変更してはいけない。

第十六条 納税者が条例第七条にいう価格が著しく低く、且つ正当な理由を欠く場合、または本細則第四条にいう財貨販売行為と見なされているが、売上高がない場合は、下記の順序に従い売上高を確定する。
(一)納税者の最近の同種類の財貨の平均売上価格に従い確定する。
(二)その他の納税者の最近の同種類の平均売上価格に従い確定する。
(三)構成課税価格に従い確定する。構成課税価格の計算式:
構成課税価格=原価×(1+原価利益率)
消費税課税財貨に属する財貨、その構成課税価格の中に、消費税額を加算しなくてはならない。
計算式の原価とは、自家生産の財貨を販売する時の実際の製造原価を指す。外部購入の財貨販売原価は実際の購入原価を指す。計算式の原価利益率は国家税務総局によって決定される。

第十七条 条例第八条第二項第(三)項にいう購入価格には、納税者が農産物を購入する時に農産物買付け発票又は販売発票上に明記した価格及び規定に基づき納税したタバコ税を含む。

第十八条 条例第八条第二項第(四)項にいう運輸費用金額とは、運輸費用の決済領収書に明記した運輸費用(鉄道臨時管理線路及び鉄道専用線路費用を含む)、建設基金を指す。運送荷役費、保険費など其の他雑費を指す。

第十九条 条例第九条にいう増値税の納税証憑とは、増値税専用発票、税関輸入増値税専用納税書、農産物買付けと農産物販売発票及び運輸費用の決済領収書を指す。

第二十条 混合販売行為が本細則第五条の規定に基づき増値税を納税しなくてならない場合は、当該混合販売行為に関連する非増値税課税役務のために購入した財貨の仕入税額が条例第八条の規定に符合する場合は、売上税額から控除することができる。

第二十一条 条例第十条第(一)項にいう購入財貨には、増値税課税項目(増値税徴収免除項目を含まない)に用いられる同時に非増値税課税項目、増値税徴収免除(以下免税と称する)項目、集団福利又は個人消費の固定資産も用いられることを含まない。
前項にいう固定資産とは、使用期限が12ヶ月を超える機器、機械、運輸工具及び其の他の生産経営と関係する設備、工具、器具などを指す。

第二十二条 条例第十条第(一)項にいう個人消費には納税者の交際費を含む。

第二十三条 条例第十条第(一)項及び本細則にいう非増値税課税項目とは、非増値税課税役務の提供、無形資産の譲渡、不動産及び建設仮勘定の不動産の販売を指す。
前項にいう不動産とは、移動できない又は移動後、性質、形状の変更を引起してしまう財産(建築物、構築物及び其の他土地付属物)を指す。
納税者の新築、改築、増築、修繕、建築物の内外装はすべて固定資産の建設仮勘定に属する。

第二十四条 条例第十条第(二)項にいう異常損失とは、管理の不備により生じた財貨の盗難、紛失、カビ発生変質による損失を指す。

第二十五条 納税者が自家消費用の消費税課税対象となるオートバイ、乗用車、ヨットは、その仕入税額が売上税額から控除できない。

第二十六条 一般納税者が免税項目又は非増値税課税役務を兼営し、控除が認められない仕入税額を正確に区分できない場合は、下記の公式により控除ができない仕入税額を計算する。
控除できない仕入税額=当月の正確に区分できない全仕入税額×当月免税項目売上高と非増値税課税役務営業額の合計÷当月売上高、営業額の合計

第二十七条 仕入税額を既に控除した購入財貨又は課税役務は、条例第十条に掲げる項目(免税項目、非増値税課税役務を除く)が発生する場合、購入財貨又は課税役務の仕入税額を当期の仕入税額から控除しなくてはならない。当該仕入税額を確定できない場合、当期の実際原価に基づいて控除すべき仕入税額を計算する。

第二十八条 条例第十一条にいう小規模納税の標準とは下記である。
(一)財貨生産または課税役務を従事する納税者、且つ財貨生産又は役務提供に従事することを主とし、財貨の卸売又は小売を兼営する納税者で、年間増値税売上高(以下課税売上高と略称する)が50万元以下(50万元を含む、下記同)の者。
(二)本条第一款第(一)項が定めた納税者を除き、年間課税売上高が80万元以下の者。
本条例第一款にいう財貨生産又は課税役務の提供に従事することを主とするとは、納税者の年間財貨生産又は課税役務の提供の売上高が年間課税売上高に占める割合は50%以上であることを指す。

第二十九条 年間課税売上高が小規模納税者の標準を超える其の他の個人は小規模納税者に基づき納税する。非企業性単位、経常的に課税行為が発生しない企業は小規模納税者に基づき納税できる。

第三十条 小規模納税者の売上高とは、その要納税額を含まない。
小規模納税者が財貨又は課税役務の販売をする時に売上高と要納税額とを合算して価格設定をした場合には、下記の計算式に基づき売上高を計算する。
売上高=税込売上高÷(1+徴収率)

第三十一条 小規模納税者が売上返品又は売上値引きにより購入者側に返還した売上高は、返品又は値引きの発生した当期の売上高から差し引かなければならない。

第三十二条 条例第十三条及び本細則にいう会計計算が健全であるとは、国家統一の会計制度に基づき帳簿を設置し、合法且つ有効な証憑により会計計算を行うことを指す。

第三十三条 国家税務総局が別途の規定を除き、納税者は一旦一般納税者として認定されたら、小規模納税者に切り替えることはできない。

第三十四条 下記の項目のいずれかに該当する者は、売上に基づき増値税の税率により要納税額を計算しなくてはならず、仕入税額の控除、また増値税専用発票の使用はしてはいけない。
(一)一般納税者の会計計算が不健全であるか、又は正確な税務資料を提供できない場合。
(二)本細則第二十九条の規定を除き、納税者の売上高が小規模納税者の標準を超えて一般納税者認定手続きを行っていない者。

第三十五条 条例第十五条に掲げる部分的な免税項目の範囲は下記の通りに限定される。
(一)第一款第(一)項にいう農業とは栽培業、養殖業、林業、牧畜業、水産業を指す。農業生産者とは、農業生産に従事する単位及び個人を含む。
農産品とは一時農業産品を指し、具体的な範囲は財政部、国家税務総局が決定する。
(二)第一款第(三)項にいう古本とは、公衆から購入した古書及び古本と指す。
(三)第一款第(七)項にいう自分で使用していた物品とは、其の他の個人が自から使用していた物品を指す。

第三十六条 納税者が財貨又は課税役務の販売に免税規定が適用される場合は、免税を放棄でき、条例の規定に依拠して増値税を納税する。免税を放棄してから、36ヶ月以内に免税の再申請ができない。

第三十七条 増値税の課税最低限の適用範囲は個人に限定する。
増値税課税最低限の幅の規定は下記の通りである。
(一)財貨を販売する時の課税最低限は、月間売上高2000~5000元
(二)課税役務を販売する時の課税最低限は、月間売上高1500~3000元である。
(三)その都度ごと納税する時の課税最低限は、毎回(日)売上高150~200元とする。
前款にいう売上高とは、本細則第三十条第一款にいう小規模納税者の売上高を指す。
省、自治区、直轄市財政庁(局)及び国家税務局は規定の幅以内に、実際の情況に基づき当該地区に適用する課税最低限を決定し、且つ財政部、国家税務総局に報告し記録にとどめる。

第三十八条 条例第十九条第一款第(一)項に掲げる売上代金を受領するか、又は売上代金取立証憑を受領した当日とは、売上代金の決済方式の異なるごとに、具体的には下記の通りである。
(一)直接代金の受取方式を採用している財貨の販売は、財貨の発送に関わらず売上代金の受領又は売上代金取立証憑を受領した当日とする。
(二)代金取立依頼と銀行委託回収方式を採用する財貨の販売は、財貨を発送し代金取立依頼の手続きを完了した日とする。
(三)掛売りと分割代金回収方式を採用する財貨の販売は、書面による契約に約定した代金支払日の当日とする。書面による契約がない又は書面による契約に約定した代金支払日がない場合は、財貨が発送した当日とする。
(四)代金前受方式を採用する財貨の販売は、財貨を発送した当日とする。但し、生産販売・生産工期が12ヶ月を超える大型機械設備、船舶、飛行機などの財貨は、前払金を受領した又は書面による契約に約定した代金支払日の当日とする。
(五)その他の納税者に財貨の代理販売を委託するものは、代理販売者が発行した代理販売精算書を受領した又は代金又は部分的な代金を受領した当日とする。代理販売精算書及び代金を受領しない者は、財貨が発送して180日目の当日とする。
(六)課税役務の販売は、役務を提供すると共に売上代金を受領したか、又は売上代金取立証憑を取得した当日とする。
(七)納税者が発生した本細則第四条第(三)項から第(八)に掲げた財貨販売と見なされている行為は、財貨が移送した当日とする。

第三十九条 条例第二十三条では一四半期ごとを納税期限とする規定は小規模納税者のみ適用される。小規模納税者の具体的な納税期限は、所轄税務機関がその要納税額の大きさに基づき、それぞれ査定する。

第四十条 本細則は2009年1月1より実施される。