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株式公開は重要な企業の成長戦略の一つですがこれを手っ取り早く達成するためにM&Aが検討される場合があります。上場に際しては、売上規模など一定基準 を満たす必要があることから、既存の経営活動とのシナジー効果のある企業を買収して早期に一定の事業規模を得ようとするものです。上場には資金調達、認知 度や信用度の向上などのメリットがありますが、上場後は企業情報の公開義務があること、また株主にとっては実質的に経営の支配度が低下することなどに留意 する必要があります。以下に、香港の株式市場を例に紹介します。

香港上場のメリット

一般的な上場のメリットとして、上場時及び上場後の資金調達を通じて、親会社の資本投下に依存せずに経営戦略を展開できるということや、経営の透明性向上により、企業の信用度が高まること、ひいては知名度・社会的な信用度向上により、従業員の帰属感を高め、人材獲得力の向上につながることなどが挙げられます。

香港上場のメリットとして、香港市場への上場が中国市場での知名度・信用力向上につながることや、中国企業にとっては海外市場上場地域の主要な一つであること、資金の流動に制限がなく、キャピタルゲイン非課税などの税務優遇などにより、発行会社と投資者の双方にとってメリットのある市場であるといったことが挙げられます。

上場検討の留意点

一方、上場を検討する要素(留意点)として、次のような事項が挙げられます。
  • 上場の合理性。資金調達のニーズなど、上場が会社の方針に沿っているかを判断する。
  • 会社及び経営者は上場に必要な時間とコストを把握すべきである。
  • 株主は、上場により会社に対する支配度が低下することに留意する。
  • 上場企業の果たすべき義務及び情報開示義務を理解すべきである。
  • 経営陣は、取締役の変更などの人事異動が株価や投資家影響することに留意すべきである。
  • 取締役は、上場後の信用責任を果たし、株取引の制限について知っているべきである。

香港株式市場の上場基準

香港株式市場にはメインボードとGEM(創業版)という2種類の市場があり、それぞれの市場で上場要件も異なっています。財務関連の基準についてメインボードでは①利益 ②時価総額と売上高 ③時価総額、売上高、キャッシュフロー のうちいずれかの要件を満たすこととされています。一方、これまで明確な財務要件が無かったGEM(創業版)では、香港における第2の市場として、またメインボード上場へのステップとしてのGEM上場基準を見直し、今年5月2日に上場要件の改正が発表されました。今年7月1日より施行されますが、5月2日以降に上場申請が受理される企業は上場日に応じて新要件が適用されることになっています。

財務関連の基準は次の通りです。

メインボード

  1. 利益基準
    1. 上場直近3年間の純利益合計がHK$5千万以上(直近の年度がHK$2千万以上、その前の2年間の合計がHK$3千万以上)
    2. 上場時の時価総額がHK$2億以上
  2. 時価総額/売上高基準
    1. 上場時の時価総額がHK$40億以上
    2. 直近事業年度の売上高がHK$5億以上
  3. 時価総額/売上高/キャッシュフロー基準
    1. 上場時の時価総額がHK$20億以上
    2. 直近事業年度の売上高がHK$5億以上
    3. 直近3年間の営業キャッシュフロー合計がHK$1億以上

GEM (新基準)

  1. 直近2年間の営業活動におけるキャッシュフローがHK$2千万以上
  2. 上場時の時価総額がHK$1億以上
財務基準と並び経営実績についても一定の基準が設けられています。

メインボードについては、3年以上の営業実績と同時に、同一の経営陣、直近事業年度については同一株主が基準とされています。但し、時価総額/売上高基準を適用する場合には、3年未満の営業実績でも可能とされています。

GEMについては、2年間以上の経営実績で、同一経営陣、直近事業年度について同一株主という基準となっています。

(以上)

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