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[労働契約法] 労働契約法各論 ~休暇制度~

 中国の法律で規定されている休暇制度は大きく法定休暇、特別休暇に分けることができます。今回はこれら休暇制度について解説します。

1.法定休暇[1]

休日
日数
期間
元旦
1日
1月1日
春節
3日
2月6日、7日、8日
清明節
1日
4月4日
国際労働節
1日
5月1日
端午節
1日
6月8日
中秋節
1日
9月14日
国慶節
3日
10月1日、2日、3日

 いままでは、元旦、春節、労働節、国慶節が中国法定休日として定着していましたが、2008年度に国家法定休日に大きな変更があり、上記に加えて、清明節、端午節、中秋節が国家休日として新たに加えられました。
 
2.特別休暇
(1)年次有給休暇[2]
勤続年数
有給休暇日数
1年以上10年未満
5日間
10年以上20年未満
10日間
20年以上
15日間
この条例では、未消化年次有給休暇の300%での買取が義務付けられました。しかし、この条例に関しての詳細規定は出されておらず、運用面もまだ固まっておりません。従って、逆に言えば、規定がない部分は会社独自で決定することが可能ということになります。例えば、就業規則など社内規定で有給休暇を10日間と定めている場合に、300%での買取義務が生じるのは、就業規則など社内規定で定めている10日間ではなく、法定された5日間のみと定めることも問題ないということになります。
 
(2)妊娠・出産・授乳休暇[3]
項目
休暇日数
①通常分娩
90日間(産前15日、産後75日)
②難産(帝王切開含む)
①+30日間
③多生児出産
①+2人目以降1人当たり15日間
④晩婚者(24歳以上第1子出産)
①+15日間
⑤<独生子優遇証>取得者
①+35日間
⑥<独生子優遇証>取得者の男性側配偶者
10日間
⑦妊娠後4ヶ月未満の自然流産
15日間~30日間
⑧妊娠後4ヶ月以上の自然流産
42日間
⑨妊娠後3ヶ月未満の人工流産手術実施者
15日間
⑩妊娠後3ヶ月以上の人工流産手術実施者
42日間
 この部分は、労働契約法施行前も存在した規定です。労働契約法施行により修正されることはありません。
 
(3)慶弔休暇[4]
項目
対象者
休暇日数
結婚休暇
①一般従業員
3日以内
②晩婚従業員(男性:25歳、女性:23歳)
11日~13日間
忌引休暇
③従業員の父母・配偶者・子女の死亡
3日以内
④従業員の配偶者が1人子でその親族が死亡
3日間
⑤従業員の両親が1人子で既に死亡している場合に、その祖父母が死亡
3日間
⑥従業員の配偶者が1人子ではないが、その親族が死亡
1日間
⑦従業員の両親がまだ健在であるが、その祖父母が死亡
⑧従業員の兄弟姉妹が死亡
 この部分も労働契約法施行前後で変更はありません。また、上記①~③の場合には、社内規定で取り決めることができます。例えば、①の場合には、「3日以内」とされていますが、社内規定で1日と定めることも3日と定めることも可能ということです。
 
(4)業務上の負傷・疾病による休暇[5]
 業務に起因して負傷した場合には工傷保険(労災保険)に従い、原則12ヶ月間以内の範囲内で休暇が与えられ、例外的に負傷、疾病の度合いが重大な場合には、労働能力鑑定委員会の許可を経てさらに12ヶ月間の休暇が与えられます。従って、業務に起因して負傷・疾病した場合の最大の休暇取得日数は24ヶ月ということになります。
 この期間中の給与は、通常通り出勤している場合と同様、補償しなければなりませんが、その期間以降は「私用休暇」として処理することになります。
 
(5)業務外での負傷・疾病による休暇[6]
 業務外で負傷した場合若しくは病を患った場合については以下のようにまとめることができます。なお、国の規定と地方の規定が異なりますが、ここでは広州市の規定を例に説明します。また、医療期間中の給与は当地の最低給与の80%を下回らない金額を補償すれば十分です(広東省給与支払条例第24条第2項)。
仕事年数
本雇用単位での勤務年数
医療期間
累計病欠期間
10年未満
5年未満
3ヶ月
6ヶ月以内で計算
5年以上
6ヶ月
12ヶ月以内で計算
10年以上
5年未満
6ヶ月
12ヶ月以内で計算
5年以上10年未満
9ヶ月
15ヶ月以内で計算
10年以上15年未満
12ヶ月
18ヶ月以内で計算
15年以上20年未満
18ヶ月
24ヶ月以内で計算
20年以上30年未満
24ヶ月
30ヶ月以内で計算
30年以上
36ヶ月
42ヶ月以内で計算
 
(6)親族訪問休暇[7]
 この規定はもともと国有企業を対象に制定された法律であり、民営企業を対象にしたものではありません。従って、この休暇を従業員に与えなかったとしても、問題になることは基本的にありません。従業員がこの規定に基づき休暇を求めてきた場合には、「これは国有企業の規定だから支給しない」という対応で十分かと思われます。とはいえ、どうしても規定しておきたいという企業の方は、1981年3月14日国務院公布の《关于职工探亲待遇的规定》をご参照下さい。
 
 上記で取り上げた休暇制度自体は中国の法定された休暇制度であり、上記制度自体をそのまま就業規則に規定することは可能ですが、実際、新たに規定・追加・削除する場合には地方の規定をご確認のうえ、取り決めて下さい。
以  上


[1]《国务院办公厅关于2008年部分节假日安排的通知》,《全国年节及纪念日放假办法》参考
[2]《职工带薪年休假条例》参考
[3]《企业职工生育保险试行办法》,《广东省企业职工假期待遇死亡抚恤待遇暂行规定》,《广州市企业职工生育保险实细则》参考
[4]《广东省企业职工假期待遇死亡抚恤待遇暂行规定》参考
[5]《工伤保险条例》参考
[6]《企业职工患病或非因工负伤医疗期规定》,《广州市职工患病或非因工负伤医疗期管理实施办法》,《广东省工资支付条例》参考
[7]《关于职工探亲待遇的规定》参考

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