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今回は、労働契約の解除や経済補償金の支払義務といった企業管理者にとって身近な話題について解説します。

1.       契約解除終了と事前通知の要否・経済補償金の支払義務の関係
労働契約法には労働契約の解除・終了事由が規定されており、契約解除・終了の原因、状況に応じて事前通知の要否、経済補償金支払義務の有無がそれぞれ規定されています。これらの関係をまとめると下記表のようになります。
契約解除or終了
契約解除終了原因・状況
根拠条文
事前通知の要否
経済補償金の
支払義務の有無
合意解除
雇用単位の契約解除の提起に対して労働者が同意
第36条
不要
あり[1]
雇用単位からの
契約解除
労働者の過失あり
第39条
不要
なし
労働者の過失なし
第40条
30日前に労働者へ通知[2]
あり
リストラ
第41条
30日前に工会または従業員全員へ状況説明
あり
労働者からの
契約解除
労働者の自己都合
第37条
30日前に雇用単位へ通知
なし
雇用単位の過失あり
第38条
不要
あり
契約終了
契約期間満了
第44条
不要
あり/なし[3]
雇用単位が破産・営業許可証取消・閉鎖命令
あり
労働者が基本養老保険待遇を享受開始・死亡・失踪宣告
なし
 
2.労働契約の解除不可事由
 上記表にあるように労働契約解除事由が存在したとしても、解除不可事由が存在する場合には、その間、雇用単位は第40条または第41条の規定による解除をすることはできません。また、契約期間内に契約満了日が到来したとしても契約終了は下記事由が消滅するまで自動的に延長されます。この解除不可事由は以下のとおりです。
職業病の危険に接する業務に従事する労働者が離職前に職業健康診断を受けていないとき、または、職業病の疑いがあり診断中もしくは医学観察期間にある場合。
当該単位で職業病に罹患しまたは業務上の負傷により、労働能力の喪失または一部喪失が確認された場合。
疾病または業務外の負傷により所定の医療期間内[4]にある場合。
女性従業員が妊娠期間、出産期間または授乳期間[5]にある場合。
当該単位で満15年連続勤務し、かつ、法定の定年退職年齢[6]まで5年に満たない場合。
 
ここで注意を要するのは、上記の解除事由に該当する場合においても、第36条(合意解除)、第39条(労働者の過失による雇用単位からの解除)による解除は可能ということです。
 
3.経済補償金の金額
それでは、経済補償金を支払わなければならない場合には、どのような基準で支払う必要があるのでしょうか。この点、労働契約法第47条は、以下の3つの点から経済補償金の支払基準につき規定しています。
経済補償金の支払基準:当該雇用単位での勤続年数に応じて支払わなければなりません(法第47条第1項)。具体的には下記の基準で支払います。
勤続年数
計算基準(法第47条第3項)
支払基準(法第47条第1項)
6ヶ月未満
月額賃金
0.5ヶ月分
6ヶ月以上1年未満
月額賃金
1ヶ月分
1年以上
月額賃金
1ヶ月分/年
 
月額賃金:「労働契約の解除または終了前の12ヶ月間の平均賃金」(法第47条第3項)をいいます。ここでいう月額賃金とは、基本給与のほか、残業代、職務手当など諸手当、個人所得税を含む「税引き前給与」[7]を指します。
 
経済補償金の支払金額:労働者の月額賃金が雇用単位の所在地の人民政府が公布している当該地区の前年度月平均賃金の3倍を上回る場合には、月平均賃金の3倍という基準で支払わなければならず、この場合の最高支給年数は12年を超えてはならないという上限が定められています(法第47条第2項)。しかし、労働者の月額賃金が当該地区の前年度従業員平均給与の3倍を超えない場合には、12年という制限はなく勤続年数に基づいて経済補償金が支給されることになります。従って、経済補償金の支払金額は月額賃金が月平均賃金の3倍を越えるかどうかという基準を境に、以下のようにまとめることができます。
月額賃金
経済補償金の支払金額
月平均賃金の3倍以上
月平均賃金の3倍×12ヶ月
月平均賃金の3倍未満
月額賃金×勤続年数に応じた月数
 
以 上


[1]合意解除の場合に経済補償金の支払義務が生じるのは、「雇用単位が労働契約の解除を提起」した場合です (法第46条(2))。従って、労働者から契約解除を提起した場合には、合意解除ではなく「労働者からの契約解除」として処理されることになります。
[2]30日前の労働者への通知に代えて1ヶ月分の賃金を余分に支払うことで代替可能です。
[3]雇用単位が既存の労働契約の約定条件を維持或いは引き上げて労働契約を提示したにも関わらず、労働者がそれを拒否した場合には経済補償金の支払義務は生じません(法第46条(5))。
[4]所定の医療期間は、国の規定では勤続年数及び本雇用単位での勤続年数に応じて3ヶ月から24ヶ月と規定されています(「企業従業員の疾病または非業務上負傷の医療期間規定第3条」)が、この医療期間は各地域により異なります。
[5]出産期間は通常90日(その内産前15日、産後75日)、難産の場合15日追加、双生児出産の場合2人目以降1人当たり15日追加、晩婚(24歳以降第1子を出産)の場合15日追加、《独生子女優待証》を取得した場合35日追加。男性は育児休暇として10日間の休暇。子女が1年に満たない場合、1日30分の授乳期間を2度与えなければなりません。
[6]法定の定年退職年齢は男性60歳、女性50歳、女性管理者55歳です。女性管理者の定義については、社内の内部規定で定めておく必要があります。
[7]月額賃金に何が含まれ何が含まれないかという明確な規定はありません。従って、実際の運用にあたっては、国の規定である「給与支払暫行規定」、「労働契約違反及び解除に関する経済補償弁法」、地方の規定である「広東省給与支払条例」などを参照し決定することになります。

 
タグ: 労務

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