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[M&A] 中国企の条件付き買収案、投資家が規制強化要請

中国国家発展改革委員会(NDRC)が中国企業による事業買収に関して、「妥当な買収額を提示している場合のみ計画を承認する」との方針を示したことを受け、四川省に拠点を置く資源大手、漢竜(HanLong)集団が、パースの鉄鉱石採掘会社サンダンス・リソーシズに提示していた買収額を引き下げたことが分かった。これをきっかけに豪州の投資家は買収委員会に対し、中国企業が豪州国内で事業買収を行う際、条件付きの提案をさせないよう求める動きが高まっている。20日付オーストラリアン・ファイナンシャル・レビューが報じた。

豪州では中国企業が事業買収を行う際、NDRCからの承認を得る目的で条件付きの買収提示がなされることがあるが、英国やカナダではこれを認めていないという。サンダンスのジョーンズ会長は、「英国では中国企業がNDRCから承認を得た後でしか、国内企業への買収提案を認めていない。豪州も英国と同様のシステムを取り入れるべきとする見方が広がっているが、こうした意見に共感している」と話した。

NDRCがこうした方針を示した背景には、資源ブームのピークに結んだ取引について、中国政府が再検討を命じていることがあるようだ。ただしセンリガン・キャピタルの創立者であるテイラー氏は、漢竜がNDRCの方針変更を理由にサンダンスに提示していた1株57豪セント(約47円)の買収額を引き下げたことについて、世界の合併・買収(M&A)において中国の評判を損なう可能性があると指摘。

「中国では近年、企業と政府との間に深い結びつきがないことを示す努力がなされているが、規制当局の承認を得るために買収額を引き下げるようなことをすれば、事業を買収する側としての評価は長期的に損なわれるだろう」との見方を示している。(NNA.ASIA