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広東省従業員生育保険規定の施行について

広東省における都市従業員の社会保険は省の政策の基、各市単位で納付計算や受給規定が異なりますが、生育保険については深セン市では医療保険に組み入れて計算されるなど、各市異なった制度で運用されていました。広東省では今回、2008年発布施行の生育保険規定を廃止し《中華人民共和国社会保険法》及び《女性従業員労働保護特別規定》に基づき2015年1月1日より新制度が施行されており、各市もこれを追う形で新通知を公布しています。この内容について以下ご紹介します。

1.生育保険の適用範囲

広東省内の企業、事業単位、社会団体、民営非企業単位、基金会、弁護士事務所、会計師事務所等の組織と、従業員を雇用する個人事業者及びその従業員とされ、男女いずれも加入義務があり、雇用者が登録している地域で加入することとされています。

2.納付基数・比率

生育保険は雇用者が納付し、従業員は納付不要です。
企業納付額=企業の前月度の従業員給与総額 × 納付比率 
納付基数は企業の前月度給与総額とし、各市が定める1%以下の比率で納付するとしています。給与総額が所在する市の前年度従業員平均給与の3倍に従業員数を乗じた金額を超える場合、3倍に従業員数を乗じた金額を基数とします。また、設立初年度の企業は当月度の給与総額を基数とします。
 

3.生育保険の受給

受給する生育保険は、生育医療費用と、生育手当ての2種類に分かれています。
①生育医療費用:産前産後検査や出産時の医療費用、また計画生育に関する手術等の医療費用を含みます。
*医療保険或いは労災によりカバーされる医療費用や、海外或いは香港マカオ等で出産した場合の医療費用は含まれません。

②生育手当て:生育手当て=企業の前年度従業員平均給与 / 30 × 定められた休暇日数
*従来規定では所在地の従業員平均給与でした。

また、定められた休暇日数とは以下の通りです。(出産のみ表記)

出産 98日
難産 30日増加
多胎出産 1人当たり 15日増加
妊娠4ヶ月未満流産 15日
妊娠満4ヶ月流産 42日

この他に《広東省計画生育条例》に規定される、高齢出産や、一人っ子出産時の奨励休暇、配偶者の看護休暇には生育手当ては適用されず、企業より給与を負担しなければならないとしています。
生育手当てが従業員本人の給与標準を超える場合、雇用者は生育手当ての残額を従業員に支払い、給与標準より低い場合は、差額部分を雇用者より補足して支給します。給与標準とは、産休或いは計画生育手術前12ヶ月の月平均給与を指します。
 
生育手当て部分の受領時、個人所得税が免除されます。

4.生育手当て申請と、罰則規定

雇用者は産休中或いは計画生育手術休暇中の従業員に対し、その生育手当ては本人の給与標準に基づき月毎に立て替えて支給し、追って雇用者より社会保険機構へ申請し給付を受けます。一部地域では、社会保険機構より金融機関に委託し生育手当てが直接従業員に支給されます。雇用者は産休期間中、元の福利待遇や皆勤手当て等を通常通り支給しなければならないことが規定されています。

雇用者が従業員を生育保険に加入登録しない或いは保険費を過少に納付
し、生育保険待遇を享受できない場合、雇用者は所在地の規定する標準で関連の費用を従業員に支払わなければならず、雇用者が当企業の給与総額で納付しないために生育手当ての損失が発生した場合、雇用者により賠償の責任を負うこととされています。
また生育手当てを規定どおり支給しない場合、社会保険局より期限までに改正を命じ、改正しない場合、2千元以上2万元以下の罰金に処すものと規定されています。
 
   (以上)
 
※各地の運用状況が異なる場合があります。各所在地にて再度ご確認ください。

    (2015年2月作成)