香港 お知らせ
[NNA] 日港租税協定で合意、香港進出後押し効果も
財務省と香港政府は3月31日、両地間の租税協定の締結に向け基本合意に達したと発表した。相手国・地域に進出する企業の投資・経済活動にかかる課税のあり方を明白にすることで、相互の投資・経済交流の一層の促進に向けた環境を整備する。日本から香港への配当・利子支払いに対する税率が大幅に軽減されることで、将来的には香港に持ち株会社を設置する日本企業の増加につながるとの観測も出ている。
両地をまたぐ配当や利子、ロイヤルティー料(使用料)の支払いに対する課税に共通ルールを設定することで、双方の税務当局が重複して納税を求めるいわゆる二重課税の解消をめざす。今後、詳細条件を詰め、署名、両地での承認を経て発効する。
香港に進出する日本企業にとっては、二重課税の解消に向けた枠組みを両地当局が持つことで、移転価格税制の適用にかかるリスクが軽減されるなどのメリットがある。また、短期滞在者免税の明確化や、これまで両地でズレが生じていた所得控除に関する規定などにも関連ルールが定められるとみられる。
今回の協定案では、投資先国・地域における投資所得(配当、利子、使用料)に対する課税軽減規定も盛り込まれた。
最も影響が大きいとみられるのが香港企業が日本子会社から配当や利子の支払いを受けるケース。これまで日本の税務当局により原則20%が課税されてきたが、これが配当で最高5%、利子で最高10%に軽減される。一方で税負担の軽減効果では、日本本社=香港子会社という企業形態にはメリットは少なそうだ。香港は配当所得が原則非課税、ロイヤルティー料が実質4.95%など従来から税率が低く、今回設定された上限をすでに下回っているため。
■香港ハブ化加速も
アジア進出日系企業向けに会計サービスを手掛けるNAC国際会計グループはNNAの取材に対し、新協定により「長期的には日本企業のホールディングカンパニー登記地として香港が選ばれやすくなる」との見方を示している。投資所得のやり取りにかかるコストが軽減されることが後押しするとみる。
香港政府がここに来て各国との租税協定締結を加速していることについては、「シンガポールや上海との企業誘致競争が進むなかで、香港側には国際金融センターとしての力を強め、位置付けを確立したいとの意向もみえる」と分析している。一方の日本政府には、現地法人を隠れみのにした脱税行為を取り締まりたいとの思惑があるようだ。
香港は、昨年4月に主要20カ国・地域(G20)金融サミットで「タックスヘイブン(租税回避地)」のブラックリスト入りが議論されたことなどを受け、他国との税務情報共有枠組みの整備を急ピッチで進めている。今年1月に改正税務条例が成立し、他国との税務情報交換に関する最新の国際水準を採用。以来、オランダや東南アジア諸国などと相次いで租税協定を結んでいる。<香港>(香港税務局公表全文)