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インドネシア・ジャカルタ最低賃金決定違法判決について

インドネシアにおける最低賃金規定は、これまで各州・県・市町村がそれぞれ独自に、場合によっては事業ごとに策定する者となっておりました。しかし2021年以降、オムニバス法の制定により物価上昇率や経済成長率に合わせて州ごとに計算される形に変更されました。

オムニバス法に基づく計算においては、2022年のジャカルタ州の最低賃金は4,453,536IDR(前年+0.85%)となっていました。

2021年12月にジャカルタ首都特別州は、労働組合などによるデモなどもあり、上記法令に反発する形で独自に州知事決定として、2022年のジャカルタ州の最低賃金を決定しました(2021年知事決定1517号)。州知事決定では、4,641,854IDR(前年+5.1%)としていました。

これに対しインドネシア経営者協会は、上記州知事決定が法令違反であるとして行政裁判所に提訴し、裁判所の判断が注目されていました。

2022年7月12日、行政裁判所はインドネシア経営者協会の主張を認める形で上記州知事決定は無効であり、新たに最低賃金を4,573,854IDR(前年+3.51%)とする決定を行うことを義務付ける内容の判決を決定しました。

この判決に対して、控訴期間は2週間となっており、ジャカルタ州が控訴するか否かの判断が注目されていましたが、7月28日の控訴期間を前にジャカルタ州は控訴する意向を決定しました。今後は、上級裁判所での判決を待つこととなります。

実務上は、今回違法とされた州知事決定の最低賃金額が、社会保険料計算などでも利用されていることから、判決・控訴を理由に給与計算や退職金計算実務が大きく変更される可能性は低いと思われます。しかしながら、本件行政裁判は今後、ジャカルタ以外の他の州で独自に州ごとに最低賃金を決定できるのかという論点を内包しており、2023年以降の各州の動向に関わる事から注目すべき裁判となっています。