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香港・クロスボーダー取引における租税回避に対する税制の改善を継続する香港政府

香港政府は昨日(2月14日)、2023年1月1日から発効している新たなオフショア受動的所得非課税(Foreign-sourced Income Exemption、以下「FSIE」)制度の導入に向けた香港の取組みに対する、欧州連合(EU)からの肯定的なフィードバックを歓迎する。

香港政府は同時に、FSIE制度に関するEUのガイドラインに対する最近の更新に照し合せて、株式もしくは株式持分以外の資産の処分から創出されるオフショアの譲渡益に関するFSIE 制度を引続き改善していく予定である。

香港政府のスポークスマンは、「香港はこれまでずっと、国際的な税務協力と反マネーロンダリングを支持しており、クロスボーダーの租税回避活動への対抗を含む、多方面にわたってEUや他の国際機関と協力してきました」と述べた。

EUが2021年に、香港を税務協力に係るウォッチリストに追加したことを受け、香港政府は昨年12月に、2022年税務(改正)(特定の外国源泉(オフショア)所得に対する課税措置)条例を制定し、オフショアの受取配当、受取利子、知的財産からの収入、並びに香港で受け取った株式もしくは株式持分に関連する売却益に対する新たなFSIEを導入した。

「この制度は、今年の1月1日に発効しました。当該制度は、香港で実体を持って実質的な経済活動を行っていない多国籍企業が、関連する所得の二重非課税の状態を作り出すために香港の税制を悪用する可能性に対処することを目指しています。EUがこの前向きな展開を歓迎し、香港のFSIE制度が、受取配当、受取利子並びに知的財産からの収入に関して、2019年の最初に発表されたFSIE制度に関するガイドラインを完全に遵守していることを確認できたことを喜ばしく思います」と香港政府のスポークスマンは述べた。

昨年12月、EUは別のガイドラインを公布し、キャピタルゲインをFSIE体制の対象となる一般的な所得クラスとして、経済的実体要件を満たす必要があることを明示的に要求した。従って、香港のようにFSIE制度の改訂が進行中の税務管轄区域は、当該税務管轄区域において、オフショアのキャピタルゲインの税務上の取扱いに関して、来年1月から施行されるのに必要な法改正が今年末までに完了するまで、EUによってウォッチリストに保持される。

EUは、税問題の様々な側面に関するガイドラインを随時発行または更新している。新しいもしくは更新されたガイドラインがEUによって正式に公布され、それらをすべての関連する税管轄区域に対し一様に適用し、関連する要件を同時に実施することを要求する場合、香港は、香港の税制面の競争力を保護しながら、香港が国際課税における協力的なプレイヤーであることを示すために、さらなる法改正を検討し、利害関係者と積極的に協議する用意ができている。香港がウォッチリストに残っても、香港の企業に悪影響を与えることはない。

「精緻化されたFSIE制度を策定するにあたり、香港はいくつかの重要な原則を遵守します。つまり、課税の源泉地主義の原則を維持する一方で、香港の税制面の競争力と企業のコンプライアンス負担の最小化に、十分な配慮が払われます」とスポークスマンは言及した。

「今後策定される精緻化された制度の下では、経済的実体要件が遵守されていることを条件に、資産に関連するオフショアのキャピタルゲインが香港の多国籍企業によって受け取られた場合、金融的または非金融的性質に関係なく、引続き課税対象から免除される可能性があります」

「個人、独立したローカル企業、並びに純粋なローカルグループは影響を受けません」

スポークスマンは、「我々はすでにEUと連絡を取り、最新のガイドラインに含まれる特定の要件を確認し、外国からのキャピタルゲインの取扱いに関してFSIE制度を改善するオプションを模索しています」と述べ、「政府は、FSIE制度の改善案について、利害関係者から意見を求めるために協議を行う予定です。必要な法改正を完了した後、香港をウォッチリストから速やかに除外するようEUに要請します」と付け加えた。

原文:HKSAR Government continues to refine regime against cross-border tax avoidance [1](2023年2月15日更新)