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[全訳] 特別納税調整実施弁法(試行)8~13章

第8章 被支配外国企業の管理

第76条
被支配外国企業とは、所得税法第45条の規定に基づき、居住者企業、或いは居住者企業と居住者個人(以下、中国居住者株主とする。中国居住者企業株主、中国居住者個人株主を含む)が支配する、実際の税負担が所得税法第4 条第1項に規定する税率水準の50%を下回る国家(地区)に設立された企業で、合理的な経営上の必要によらずに利益配当を行わないか、或いは利益配当を減額している外国企業をいう。

第77条
本弁法第76 条にいう支配とは、持分、資金、経営、仕入販売等の点において、実質的に支配していることをいう。その内、持分支配とは、中国居住者株主が納税年度のいずれかの日において単一レベルの直接的に又は複数レベルの間接的に単独で外国企業の議決権のある持分を10%以上保有し、且つ共同で当該外国企業の50%以上の持分を保有することをいう。中国居住者株主が複数レベルで間接的に保有する持分は各レベルの持分比率を乗じて計算するが、中間者が50%超の持分を保有する場合は、100%として計算する。

第78条
中国居住者株主は年度企業所得税納税申告を行うときに、対外投資情報を提供し、『対外投資情況表』を添付しなければならない。

第79条
税務機関は中国居住者株主が申告した対外投資情報を整理、審査し、被支配外国企業の中国居住者株主に『被支配外国企業中国居住者株主確認通知書』を交付する。中国居住者企業株主が所得税法第45条の課税要件を満たした場合、関係規定に従い課税する。

第80条
中国居住者企業株主の当期の被支配外国企業の配当とみなし所得の計上する金額は、以下の公式により計算しなければならない。中国居住者株主の当期所得=みなし配当金額×実際の持分保有日数÷ 被支配外国企業の納税年度の日数×株主の持分比率中国居住者株主が持分を複数段階で間接的に保有する場合、株主持分比率は各段階の持分比率を乗じて計算する。

第81条
被支配外国企業と中国居住者株主の納税年度に差異がある場合、みなし配当所得を被支配外国企業の納税年度終了日が属する中国居住者株主の納税年度に計上しなければならない。

第82条
中国居住者株主の当期所得に計上され、既に国外で納付した所得税額は、所得税法或いは租税条約の関連規定に基づき控除免除することができる。

第83条
被支配外国企業が実際に配当した利益が既に所得税法第45条の規定に基づき課税されている場合、中国居住者株主の当期所得に計上しない。

第84条
中国居住者株主が資料を提出し、支配する外国企業が以下の条件のいずれかを満たすことを証明できる場合、外国企業が利益配当を行わないか、或いは利益配当を減額している場合のみなし配当を中国居住者株主の当期所得に計上することが免除される。1. 国家税務総局が指定する非低税率国家(地区)に設立している。2. 積極的な経営活動による所得の取得を主な目的としている。3. 年間利益総額が500万元以下である。

第9章 過少資本税制

第85条
所得税法第46条にいう課税所得額を計算するときに損金算入できない利息支出は下記の計算式により計算する。損金算入してはならない利息支出=年度の関連者に実際支払ったすべての利息×(1-標準比率/関連の負債資本比率)その内、標準比率とは『財政部、国家税務総局の企業関連者の利息支出の税引前控除の標準に関係する税収政策の問題に関する通知』(財税「2008」121 号)に規定された比率をいう。関連負債資本比率とは、所得税法第46 条及び所得税法実施条例第119 条の規定に基づき、企業がすべての関連者から受入れた債権性投資(以下、関連債権投資とする)が企業が受入れた持分性投資(以下、持分投資とする)に占める比率をいい、関連債権投資には関連者が様々な形で保証を提供する債権性投資が含まれる。

第86条
関連負債資本比率の計算方法は以下の通りである。

関連負債資本比率=年度の各月の平均関連債権投資の合計額/年度の各月の平均持分投資の合計額
その内、各月の平均関連債権投資=(関連債権投資の月初帳簿残高+月末帳簿残高)/2各月の平均持分投資=(持分投資の月初帳簿残高+月末帳簿残高)/2
持分投資は企業の貸借対照表における所有者持分の金額である。所有者持分が払込資本金と資本剰余金の合計額より小さい場合、持分投資は払込資本金と資本準備金の合計額とする。払込資本金と資本剰余金の合計額が払込資本金より小さい場合、持分投資は払込資本金とする。

第87条
所得税法第46条にいう利息支出には、直接或いは間接的に関連債権投資に関して実際に支払った利息、保証費、抵当費及びその他の利息の性質を有する費用を含む。

第88条
所得税法第46条に課税所得額を計算するときに損金算入できない利息支出は以後の納税年度へ繰越してはならないと規定しているが、各関連者へ実際支払った利息が関連者利息総額に占める比率に基づいて、各関連者に按分しなければならない。その内、実際の税負担が企業より高い国内関連者に按分した利息は損金算入できる。直接、または間接に国外関連者に支払った利息は配当とみなし、配当と利息に適用される所得税税率の差により企業所得税を追加納付しなければならない。源泉徴収済の所得税税額が配当として計算した場合の所得税税額を超える部分は、還付しない。

第89条
企業の関連負債資本比率が標準比率を超えた利息支出について、課税所得額の計算上、控除される場合、本弁法第3 章の規定を遵守するほか、税務機関の要求に基づいて以下の同時文書を準備、保存、提出し、関連債権投資金額、利率、期限、融資条件及び負債資本比率等が独立企業間取引の原則に合致することを証明しなければならない。
(一) 企業の返済能力、借入能力分析
(二) 企業グループの借入能力及び融資構造の状況分析
(三) 企業の登録資本等持分投資の変動状況の説明
(四) 関連債権投資の性質、目的及び取得時の市場状況
(五) 関連債権投資の通貨種類、金額、利率、期限及び融資条件
(六) 企業が差し入れた担保物権の状況及び条件
(七) 保証人の状況及び保証条件
(八) 同種類の同時期の貸付金の利率状況及び融資条件
(九) 転換社債の転換条件
(十) その他独立企業間取引の原則に合致することを証明できる資料

第90条
企業が規定に基づいて関連債権投資の金額、利率、期限、融資条件及び負債資本比率等が独立企業間取引の原則に合致することを証明するための同時文書を準備、保存、提出していない場合、その標準比率を超える利息支出は課税所得額を計算するときに損金算入してはならない。

第91条
本章に言う“実際支払利息”とは、企業が発生主義原則に基づいて、関係の原価、費用に計上する利息をいう。企業の実際支払関連者利息に移転価格の問題がある場合、税務機関はまず最初に本弁法第5 章の関係規定に基づいて移転価格調査による調整を行う。

第10章 一般的租税回避防止の管理

第92条
税務機関は所得税法第47 条及び所得税法実施条例第120 条の規定に基づき、以下の租税回避の状況が存在する企業に対して、一般的租税回避防止調査を開始することができる。
(一) 優遇税制の濫用
(二) 租税条約の濫用
(三) 企業組織形式の濫用
(四) タックスヘイブンの利用による租税回避
(五) その他合理的な事業目的のないスキーム

第93条
税務機関は形式より実質を重んじる原則に基づいて、企業に租税回避スキームが存在するか否かを審査し、スキームの以下の内容を総合的に考慮しなければならない。
(一) スキームの形式と実質
(二) スキームの締結時期と実施時期
(三) スキームの実現方式
(四) スキームの各ステップ又は構成部分の間の関係
(五) スキームによる各社の財務状況の変化
(六) スキームの税収への影響

第94条
税務機関は経済的実質に従い租税回避スキームの性質を改めて判定し、企業が租税回避スキームによって得た租税利益を取り消す。経済実質のない企業について、特にタックスヘイブンに設立され、関連者又は非関連者に租税回避効果をもたらす企業について、租税上、当該企業の存在を否定することができる。

第95条
税務機関は一般的租税回避防止調査を開始するときに、徴収管理法及び同実施細則の関連規定に基づき、企業に『税務調査通知書』を交付しなければならない。企業は通知書を受け取った日から60 日以内に当該スキームに合理的な事業目的があることの証明資料を提出しなければならない。企業が規定の期限までに資料を提出せず、或いは提出した資料がスキームに合理的な事業目的があることを証明できない場合、税務機関はすでに把握した情報に基づき納税調整を行い、企業に『特別納税調査調整通知書』を交付することができる。

第96条
税務機関は一般的租税回避防止調査を行うときに、徴収管理法第57 条の規定に基づき、租税回避スキームの立案者に事実通りに関連資料及び証明材料を提出することを要求することができる。

第97条
一般的租税回避防止調査及び調整については、国家税務総局まで報告し、承認を得なければならない。

第11章 対応的調整及び相互協議

第98条
関連取引の一方が移転価格調査、調整を受ける場合、他方が対応的調整を行うことを認めなければならず、これにより二重課税が解消される。対応的調整が租税条約を締結している国家(地区)の関連者に関わる場合、企業の申請により、国家税務総局は租税条約の締結相手国の税務当局と租税条約の相互協議手続の規定に基づき協議する。

第99条
租税条約を締結している国家(地区)の関連者の移転価格の対応的調整について、企業は国家税務総局、管轄税務機関に同時に書面で申請を提出し、『相互協議手続開始申請書』を提出し、企業又は関連者の移転価格調整の通知書のコピー等の資料を提出しなければならない。

第100条
企業は企業又は関連者が移転価格調整通知書を受け取った日から3 年以内に対応的調整の申請を提出しなければならない。3 年を超える場合、税務機関はこれを受理しない。

第101条
税務機関は企業に対する移転価格調整で企業の国外関連者に支払った利息、賃貸料、ロイヤリティ等源泉徴収済の税額について、対応的調整は行わない。

第102条
国家税務総局は本弁法第6 章の規定に基づき、企業の二国間または多国間事前確認の申請を受けた場合、租税条約の相互協議手続に関する規定に基づき、租税条約の締結相手国の税務当局と協議しなければならない。

第103条
対応的調整或いは相互協議の結果は、国家税務総局が書面形式で管轄税務機関を通して企業に交付する。

第104条
本弁法の第9 章にいう課税所得額を計算するときに損金算入できない利息支出及び配当とみなされる利息支出は、本章の対応的調整の規定を適用しない。

第12章 法律責任

第105条
企業が本弁法の規定に基づき、税務機関に企業関連取引年度報告表を提出していない、または同時文書或いは関連資料を保存していない場合は、徴収管理法

第60 条
及び第62 条の規定に基づき処理する。

第106条
企業が同時文書等の関連取引の関連資料を提出することを拒否し、或いは虚為、不完全な資料を提出し、関連取引の状況を真実に反映していない場合は、税務機関は徴収管理法第70 条及び徴収管理法実施細則第96 条、所得税法第44 条及び所得税法実施条例第115条の規定に基づき処理する。

第107条
税務機関は所得税法及び同実施条例の規定に基づき、企業に対して特別納税調整を行う場合は、2008 年1 月1 日以降に発生した取引について追徴した企業所得税税額について、日割りで利息を加算しなければならない。
(一) 利息の計算期間は税額の帰属する納税年度の翌年6 月1 日から起算し、追加納税日(仮納付日)し国庫に収めた日までである。
(二) 利率は税額の帰属する納税年度の12 月31 日に適用される税額追徴期間と同期間の中国人民銀行の人民元貸付基準利率(以下「基準利率」とする)に5%を加えて計算し、1年365 日として日割り計算する。
(三) 企業が本弁法の規定に基づき同時文書及びその他の関連資料を提出した場合、または企業が本弁法第15 条の規定により同時文書の準備が免除されているが、税務機関の要求に応えてその他関連資料を提出した場合は、基準利率のみによって加算利息を計算することができる。企業が本弁法第15条第1項の規定により同時文書の準備を免除されたが、税務機関の調査により、実際の関連取引金額が同時文書を準備する基準に達した場合、税務機関は本条第2 項の規定を適用して、追徴税額に利息を加算して徴収する。
(四) 本条の規定に従い加算される利息は、課税所得額の計算において損金算入してはならない。

第108条
企業は税務機関が特別納税調整の決定を下す前に税額を仮納付し、調整追徴通知書を受領し税額を追加納付する場合は、追徴すべき税額の帰属する年度の順番によって仮納付済の税額の帰属する年度を確定し、仮納付し国庫に収めた日までの期間でそれぞれ加算利息を計算する。

第109条
企業は特別納税調整による追徴税額と利息を、税務機関の調整通知書に規定する期限までに国庫に収めなければならない。企業は特別な困難があり、期限までに税額を納付できない場合、徴収管理法第31条及び徴収管理法実施細則第41 条及び第42 条の関連規定に基づき、税額納税延期手続を行う。期限を過ぎて延期を申請せず、税額を納付しない場合、税務機関は徴収管理法第32 条及びその他関係規定に基づいて処理する。

第13章 付則

第110条
移転価格管理及び事前確認管理以外のその他特別納税調整事項の調査調整手続の実施について、税務機関は本弁法第5 章の関連規定を参照して適用する。

第111条
各レベルの国家税務局及び地方税務局は企業に対する特別納税調査調整を行う場合、連携を強化し必要に応じて共同調査チームを組んで調査を実施することができる。

第112条
税務機関及びスタッフは『国家税務総局の納税者税務機密情報管理に関する暫定弁法』(国税発「2008」93 号)等機密保持に関する規定に基づき、企業の提供した情報資料を保管、使用しなければならない。

第113条
本弁法で規定する期限の最終日が法定休日である場合、休日が終わる翌日を期限の最終日とする。期限までに連続3 日間以上の法定休日がある場合、休日の日数に従い期限を順次延長する。

第114条
本法にいう“以上”、“以下”、“日以内”、“その日まで”、“その前”、“より少ない”、“より低い”、“超える”等はすべてそれ自身を含む。

第115条
調査を受けた企業が税務機関による特別納税調査調整期間中に、経営場所の変更または税務登記の抹消を申請する場合、税務機関は調査終了前には原則として税務変更手続き、抹消手続を行わないものとする。

第116条
企業が本弁法第3 章の規定に従い、2008 納税年度に発生した関連取引の同時文書を準備する場合、2009 年12 月31 日まで延期することができる。

第117条
本弁法は国家税務総局が解釈及び改正の責任を負う。

第118条
本弁法は 2008 年1 月1 日より施行する。『国家税務総局の関連企業間取引税務管理規程(試行)』(国税発「1998」59 号)、『国家税務総局の「関連企業間取引の税務管理規程」(試行)の改定に関する通知』(国税発「2004」143号)及び『国家税務総局の関連企業間取引の事前確認実施細則』(国税発「2004」118 号)は同時廃止する。本弁法の公布前に実施した関連規定が本弁法と一致しない場合、本弁法を基準とする。