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[実務入門] (33) 原価計算 (2)

前回は原価と費用の違いについて説明し、「旧」企業会計準則・企業会計制度の取り扱いについて確認しました。今回は、「新」企業会計準則上の取り扱いについて確認します。

「新」企業会計準則上、以下のように規定されています。

ところで、税務上はどのような費目を製品原価に含めるべきか、という点について直接の言及はありません。

本記事は、現在NNA.ASIAで連載中の「ここに注目!中国会計・税務実務入門」を転載したものです。

ここで、「配賦」について簡単に考えます。実際配賦を前提としますと、実際に発生した製造間接費(または直接労務費と製造間接費の合計である加工費)を一定の配賦基準に従って配賦するわけですが、この会計処理は万能ではありません。

【例】A社では単一の製品を製造しており、各月の生産量、月初・月末製品数量及び発生原価要素は次の通りであった。なお、月初・月末に仕掛品はない。

12月製品原価単価 (100万元+100万元)÷10,000=200元/個
1月製品原価単価 (50万元+100万元)÷5,000=300元/個

1月に製品原価単価が増加した要因は、1月の操業度が減少したにもかかわらず、固定費的に加工費が発生しているからだと理解できます。
この欠点を補うため、直接原価計算を併用する原価管理方法が考えられますが、ここでは解説を省略します。

ところで、中国ではこれまで解説しておりますように、本格的な原価計算規定が存在していないため、中国財政部主導で本格的な原価計算制度の研究を行い、2012年2月に財政部会計司がパブリックコメントを募集しています。近い将来おそらくは第12次5カ年計画中に原価計算制度が公布され、施行されるものと思われます。

次回も実際の例をあげて、原価計算の基本的な考え方を確認したいと思います。