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中国・税関総署による《前海深港現代サービス業合作区の改革開放全面深化に関する若干措置》の要点まとめ

広東自由貿易試験区の中の前海エリアの一部である前海深港現代サービス業合作区は、香港と深圳の地理的優位性を生かして経済合作を進める地域ですが、2021年9月に国務院より大湾区発展の試行地域として発布された《前海深港現代サービス業合作区の全面深化改革開放方案》に対し税関総署が18項目の措置を制定してこの方案に取り組むとしています。下記に内容を紹介します。

香港―深圳間の税関規則の結合を目指す

(1) 前海に輸出入のビッグデータサービスプラットフォームを構築する。深圳―香港の通関に“一票両申告”を試行、中国・シンガポール(深圳)越境貿易データ国際相互接続プロジェクト支援等により、データや認証の相互接続、共同監督管理等のシステム環境を造っていく。

(2) 香港・深圳両地の通関上の規則制度を結合し“一括検測・認証・通過”の試行を図る。前海における国家レベルの輸出入商品品質安全リスク評価センター建設を支援。

(3) 香港より輸入する一部商品の商品検査結果情報を活用する。香港の検疫・検測リソースを活用し、食品・農産品以外の一部商品検疫結果情報を活用して通関効率を向上することを推進する。

(4) 深セン・香港の衛生検疫合作を拡大。税関健康申告情報を広東省健康コード、香港健康コードのコード転換範囲に組み入れ、情報共有、結果相互認証、感染共同防衛を行う。深圳・香港衛生検疫部門の共同管理を深化させ、結果を相互認証し、深圳・香港イミグレーションの往来旅客に対し“一検査双方通行”モデルを推進する。

(5) 科学研究用生物物質の越境流通を支援する。安全リスク統制可能な前提で、香港生物物質輸入許可管理制度と結合し、香港衛生署の輸入許可を得た科学研究用特殊物品に対し、優先的に輸出入衛生検疫審査を実施し、通関を加速する。

(6) 深セン・香港間の酒類製品の高効率・便利な流通を推進する。酒類製品の“両地一括検査”モデルを試行し、監督管理一体化を実現する。世界主要ワイン産地国・地域のトレースデータベース構築、酒類品質鑑別研究プラットフォーム構築を基礎に、検測と研究を合わせた大湾区の総合的・ハイエンド酒類応用基地・検測モデル地区を目指す。

前海現代サービス業の優位性を発揮し越境流通・往来の便利化

(7) 香港・マカオ企業の前海進出を支援。深圳市で経営し企業登記を行う香港・マカオ資本企業が、広東自由貿易試験区深圳前海蛇口エリア内で直接税関登記することができるようにし、企業の経済効率向上を図る。

香港市民の特殊な医薬品需要による越境を保障する。香港市民が自己使用による予防或いは治療用の医薬品について、医者の処方或いは証明書等により1件の治療案件に限り携帯入境を許可。

(9) 個人がペットを携帯し深圳―香港間往来を便利化する。“人+ペット”のポジティブリストに基づく出境検疫手続き簡素化を進め、内地と香港のペット検疫規則の結合・通関便利化向上を目指す。

(10) 前海の総合ハブ機能を強化する。イミグレーションの建設、陸・海・空の連動運輸機能実現を支援。粤・港・マカオヘリポート建設を支援。

(11) 科学研究用生物材料輸入検疫を高度化する。科学研究用生物材料ポジティブリストを構築し、深圳税関に検疫審査を授権し、スキャン検査の採用によりサンプル検査を免除、通関効率を向上させる。

(12) 前海国際展示会産業発展に助力する。深圳・香港・マカオの展示会の“一展三地”連動を支援し、出展商品の通関便利措置を高度化する。深圳国際展示センター或いはその委託組織が統一して税関に担保を提供することを支援し、総合保税区の保税展示取引業務展開に沿って行う。

高度ポータルハブ機能を備える深港現代サービス業総合保税区の建設を支持

(13) 深港現代サービス業の特色を持つ総合保税区を構築する。前海総合保税区に倣い、深圳・香港の規則結合と制度刷新を図り、エリアのサプライチェーンサービス・貿易決済・リソース構成機能促進を図る。エリア内の経営活動に必要な周辺環境で、貨物の免税・保税・還付に関わらない飲食・日用品の小売り・充電スポット等のサービス施設建設を探索する。

(14) 食品輸入検査検疫モデルの高度化。国外から総合保税区に搬入する輸入食品について、“一括検査検疫、分割照合”を実行可能にする。

(15) 大豆オフショア直物市場建設を支援する。入境検査検疫通関モデルを改善し、直物取引大豆検疫審査に利便性を提供する。取引決済証明文書に基づき合理的に大豆直物完税価格を確定、輸入農産品申告証票を簡素化し、金融帰国の保税倉庫貨物に対する金融業務を許可する。

(16) 電子部品及び集積回路の国際取引センター建設を支援する。取引センターのERP/WMSシステムと税関システムを繋ぎ、国内区外と総合保税区間において搬出入される貨物に対し、区外企業による申告を試行する。集積回路産業真空包装等のハイテク貨物に対する検査の共同モデル改善、集積回路・ICT等ハイエンド製造業の発展を支援し、大手企業の保税貨物流通の利便性を高める。

(17) 免税消費の品質向上と効率化を支援。前海総合保税区の免税品集配センターに倣い、区外免税品監督管理倉庫と区内保税貨物監督管理倉庫間の流通を便利にし、貨物流通販売効率を高める。(18) 前海蛇口自由貿易試験区エリアと前海深港現代サービス業合作区の共同発展を支援。更に大規模なストレステストを行い、制度刷新と展開可能な前提で、前海蛇口エリアの刷新制度を前海合作区に展開実施することを支援する。