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[全訳] 非居住者企業所得税源泉徴収管理暫定弁法

国家税務総局の「非居住者企業所得税源泉徴収管理暫定弁法」の公布に関する通知
国税発[2009]3号 [原文] [1]

各省、自治区、直轄市、計画単列市の国家税務局、地方税務局へ
《中華人民共和国企業所得税法》及び実施条例を徹底し、非居住者企業所得税の源泉徴収管理を規範化するために、税務総局は《非居住者企業所得税源泉徴収暫定弁法》を制定したので、公布する。これに従って、実施すること。実施における問題を適時に税務総局(国際税務司)へ情報を寄せる。

添付資料:

  1. 企業所得税源泉徴収契約届出登記表
  2. 非居住者企業税務事項連絡書
  3. 企業所得税源泉徴収管理台帳

2009 年1 月9 日

非居住者企業所得税源泉徴収管理暫定弁法

第1章 総則

第1条
非居住者企業所得税の源泉徴収管理の規範化及び強化のため、《中華人民共和国企業所得税法》(以下、企業所得税法とする)及び実施条例、《中華人民共和国税収徴収管理法》(以下、税収徴収管理法とする)及び実施細則、《税務登記管理弁法》、中国政府が外国政府と締結した二重課税回避協定書(香港、マカオ特別行政区と締結した租税協定を含む。以下、租税協定とする)等の関係の法律法規に基づき、本弁法を制定する。

第2条
本弁法に言う非居住者企業とは、外国(地区)の法律に基づき設立され、且つ中国国内に実質の管理機構はなく、中国国内に機構・拠点を設けておらず中国国内源泉所得を有する企業、及び機構・拠点を設けているが獲得した所得がその機構・拠点と実際的な関係のない企業をいう。

第3条
非居住者企業が取得する中国源泉の利益配当等持分性投資収益、利子収入、賃借料収入、特許権使用料所得、財産譲渡所得及びその他所得に係る企業所得税について、源泉徴収を行い、関係法律規定又は契約の約定事項により、非居住者企業に関係代金を直接支払う義務のある組織又は個人を源泉徴収義務者とする。

第2章 税源管理

第4条
源泉徴収義務者が初めて、非居住者企業と本弁法の第3 条規定の所得に関係する業務契約又は協議(以下、契約とする)を締結する場合、源泉徴収義務者は契約締結日から30 日以内にその管轄税務機関に源泉徴収登記を行わなければならない。

第5条
源泉徴収義務者は毎回、非居住者企業と本弁法の第3 条規定の所得に関係する業務契約を締結する場合、契約(契約の修正、補充、延期を含む)締結日から30 日以内にその管轄税務機関に《企業所得税源泉徴収契約届出登記表》(添付資料1)、契約書コピー及び関係資料を提出しなければならない。内容が外国語の場合、中国語の訳文を添付して提出しなければならない。
持分譲渡取引の双方が共に非居住者企業で、中国国外で取引する場合、持分が譲渡される国内企業が税務登記を変更する時に、持分譲渡契約書のコピーを管轄税務機関に提出しなければならない。

第6条
源泉徴収義務者は税額代理控除代理納付勘定の帳簿、契約資料ファイルを設け、正確に企業所得税の源泉徴収の状況を記録し、税務機関による検査を受けなければならない。

第3章 徴収管理

第7条
源泉徴収義務者が毎回、非居住者企業に本弁法第3 条規定の所得を支払う又は支払うべき支払期限が到来した場合、支払う又は支払期限に支払うべき金額から企業所得税を源泉徴収しなければならない。
本条にいう支払期限に支払うべき金額とは、支払者が発生主義の原則により、関係の原価、費用に計上すべき未払金をいう。
源泉徴収義務者は毎回、税金を源泉徴収する時に管轄税務機関に《中華人民共和国企業所得税源泉徴収報告表》(以下、源泉徴収表とする)及び関係資料を提出し、且つ源泉徴収日から7日以内に納付しなければならない。

第8条
源泉企業所得税の課税額の計算
源泉企業所得税の課税額=課税所得額×実際徴収率
課税所得額とは、企業所得税法第19 条の規定により、計算した下記の課税所得額をいう。
(一)利益配当等持分性投資収益及び利息・賃借料・特許権使用料所得は収入総額を課税所得額とし、税法規定以外の税金支出を控除してはならない。
(二)財産譲渡所得は収入総額から財産の簿価を差し引いた後の残額を課税所得額とする。
(三)その他所得は、上記の2つの項で規定する方法を参照して課税所得額を計算する。実際徴収率とは、企業所得税法及び実施条例等の関係法律法規に規定する税率、又は租税協定に規定するもっと低い税率をいう。

第9条
源泉徴収義務者が支払う又は支払期限に支払うべき代金が人民元以外の通貨の場合、企業所得税の源泉徴収を申告するときに、源泉徴収当日の国家公表の人民元レートの中間値により、人民元に換算し、課税所得額を計算しなければならない。

第10条
源泉徴収義務者が非居住者企業と本弁法第3条規定の所得に関係する業務契約を締結し、契約で源泉徴収義務者が税金を負担すると約定した場合、非居住者企業が取得する税抜所得を税込所得額にグロスアップで換算した上で、課税額を計算しなければならない。

第11条
企業所得税法及び実施条例、関係税収法規の規定により、非居住者企業に減税免税の優遇政策を与える場合、関係の税収減免管理弁法、行政審査手続により処理する。
審査を受けていない又は減免税の申請が許可される前に源泉徴収義務者に支払事項が発生した場合、規定とおりに企業所得税を源泉徴収しなければならない。

第12条
非居住者企業に適用可能な租税協定と本弁法と違う規定がある場合、租税協定の規定適用を申請することができる。非居住者企業が租税協定の規定適用を申請していない場合、国内の税収法律法規の関係規定により処理する。

第13条
非居住者企業が国内の税収法律法規の関係規定により課税された後、減免税又は租税協定の規定適用を申請した場合において、管轄税務機関が審査した上で減免税又は租税協定の規定を適用できると確認したときは、過大納付した税金を税収徴収管理法及び実施細則の関係規定により、還付する。

第14条
非居住者企業が源泉徴収を拒否する場合、源泉徴収義務者は非居住者企業の納付すべき税金に相当する金額の支払を暫定的に停止し、且つ1 日以内に管轄税務機関に報告し、書面の状況説明書を提出しなければならない。

第15条
源泉徴収義務者が法に基づき源泉徴収を行っていない又は源泉徴収義務を履行できない場合、非居住者企業は源泉徴収義務者の支払日又は支払うべき支払期限から7 日以内に、所得の発生地の管轄税務機関に企業所得税を申告納付しなければならない。
持分譲渡取引の双方が共に非居住者企業で、中国国外で取引する場合、所得を取得する非居住者企業が自ら又は代理人に委託して、持分が譲渡された国内企業の所在地の管轄税務機関に申告納付しなければならない。持分が譲渡された国内企業は非居住者企業に対する課税について、税務機関に協力しなければならない。
源泉徴収義務者の所在地と所得発生地が一致しない場合、源泉徴収義務者の所在地の管轄税務機関は源泉徴収義務者が法に基づき源泉徴収を行っていない又は源泉徴収義務を履行できないと確定した日から5営業日以内に所得発生地の管轄税務機関に《非居住者企業税務事項連絡書》(添付資料2 参照)を送付し、非居住者企業の納税申告事項を通知する。

第16条
非居住者企業が本弁法第15 条の規定により、企業所得税の申告納付する場合、中国国内に多数の所得発生地があり、その1 つを選定して企業所得税の申告納付を行うときは、申告納付するの所在地の管轄税務機関に関係状況を事実に基づき報告しなければならない。申告納付する所在地の管轄税務機関が申告納付を受理した後、非居住者企業の企業所得税の申告納付の状況を書面で源泉徴収義務者所在地及びその他所得の発生地の管轄税務機関に通知しなければならない。

第17条
非居住者企業が本弁法第15 条の規定により、企業所得税を申告納付していない場合、申告納付の所在地の管轄税務機関が期限内納付命令を行い、期限が過ぎても納付していない場合、申告納付の所在地の管轄税務機関は当該非居住者企業の中国国内のその他収入及びその支払者(以下、その他支払者とする)の関係情報を収集調査を行い、その他支払者に《税務事項通知書》を送付し、その他支払者の支払金額から当該非居住者企業の未払税金、延滞金を追徴することができる。
その他支払者の所在地が申告納付の所在地と一致しない場合、その他支払者の所在地の管轄税務機関は協力しなければならない。

第18条
支払が複数の契約について、源泉徴収義務者は契約履行の最後の支払前の15 日以内に管轄税務機関に契約の全ての支払明細、以前の源泉徴収表、納税証明書等の資料を提出し、源泉徴収の清算手続を行わなければならない。

第4章 継続管理

第19条
管轄税務機関は《企業所得税源泉徴収管理台帳》(添付資料3 参照)を作成、契約履行状況の追跡管理を強化し、契約締結内容、実際履行における変化を適時に把握し、契約金額の支払、源泉徴収等の状況を監督しなければならない。必要な場合、企業の関連帳簿を調査し、配当金、利息、賃借料、特許権使用料、財産譲渡収益等の支払、費用計上の状況を把握し、特に実際支払っていないが、既に原価費用に計上した利息、賃借料、特許権使用料等について、企業所得税の控除漏れがあるかどうかを注意しなければならない。
管轄税務機関は届出契約資料、企業所得税源泉徴収管理台帳の記録、対外送金のため発行した税務証明等の監督資料と源泉徴収税額の申告済み状況に基づいて、税額清算手続のチェックを行わなければならない。

第20条
管轄税務機関は必要に応じて、企業所得税の代理徴収代理納付の状況に対する特別調査を実施することができる。調査を実施する管轄税務機関は調査結果を同レベルの国家税務局又は地方税務局に適時に伝えなければならない。特別調査は国税、地税の共同調査の方式で実施できる。

第21条
企業所得税の源泉徴収管理において、税務機関は租税協定締結相手国から税金情報を入手する又は非居住者企業の中国国内の税収違法行為を通知する必要がある場合、《国家税務総局の〈国際税収情報交換業務規程〉の公布に関する通知》(国税発〔2006〕70 号)の規程により処理する。

第五章 法律責任

第22条
源泉徴収義務者が規定により源泉徴収登記を行っていない場合、管轄税務機関は《税務登記管理弁法》第45 条、46条の規定により処理する。
本弁法第5条第2項に言う持分が譲渡される国内企業が法に基づき税務登記を変更していない場合、管轄税務機関は《税務登記管理弁法》第42 条の規定により処理する。

第23条
源泉徴収義務者が本弁法第5 条の規定期限内に、管轄税務機関に《企業所得税源泉徴収契約届出登記表》、契約書のコピー及び関係資料を提出していない、規定期限内に管轄税務機関に源泉徴収表を提出していない、源泉徴収義務を履行せず税額を納付していない又は源泉徴収した税額を過少納付した或いは源泉徴収すべきものを源泉徴収していない場合、及び非居住者企業が規定期限内に申告納付していない、納付していない又は納付すべき税額を過少納付した場合、管轄税務機関は税収徴収管理法及び実施細則の関係規定により処理する。

第6章 附則

第24条
本弁法は国家税務総局が解釈する。各省、自治区、直轄市、計画単列市の国家税務局、地方税務局は本弁法に基づき、具体的な処理規程を制定できる。

第25条
本方法は2009年1 月1 日から施行する。