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[華南ビジネス] 前海税制優遇政策について – 企業所得税優遇政策

2.企業所得税優遇政策

広東自由貿易区の深せん前海地域は、“前海深港現代サービス業合作区”として、2020年までにサービス産業発展に必要な法律環境等を整備し先進的な現代サービス業種を積極的に誘致しており、そのための魅力的な税制優遇措置を実行しています。その内、企業所得税優遇については、規定された優遇目録に記載される業種の企業は15%の税率に減じて(通常は25%)、企業所得税を申告納付できることになっています。詳細は以下の通りです。

(1)適用範囲と期間
以下の条件を同時に満たす場合、15%の税率で企業所得税を申告納付することができるとされています。
①前海深港現代サービス業合作区内に設立した企業。
②《前海深港現代サービス業合作区企業所得税 優遇目録》(以下《優遇目録》とする)に規定する1項目或は複数項目の業種を主要業務として従事し、且つ、その営業収入が企業収入総額の70%以上である。
   
優遇目録に含まれる業種は、サプライチェーン等を含む現代物流、電子商務を含む情報サービス、研究開発や情報技術アウトソーシング等を含む科学技術サービス、デザイン、メディア、ゲーム開発等を含む文化クリエイティブサービスに大きく分類されます。*1 特徴的であるのは、参入奨励目録にある金融業は優遇の対象となっていないことです。
   
他地域に別の機構がある場合、上記区域内機構で上記条件を満たす必要があり、優遇の適用範囲も区域内機構の所得に限られるとされています。
 
この適用を受ける企業は、企業所得税法及びその実施条例に定めるほかの優遇条件を同時に享受することができるとし、税率優遇を受ける場合はより恩恵のある方を選択できるとしています。但し、一定期間の半減措置がある場合は、通常の25%の半減で計算するとしています。

この企業所得税優遇税率の適用期間は、2014年1月1日から2020年12月31日までとされています。

(2)申告方法

企業が適用範囲に属することを自社で判断し、四半期予納及び確定申告時、自ら申告表の規定通りに優遇税額の計算及び記入を行い、申告します。同時に、優遇政策を享受する企業は以下の資料を保管し調査に備えておくこととされています。
  ①企業所得税年度納税申告表
  ②年度財務諸表
  ③主要業務収入に対応する契約書
  ④事前認可ライセンスや経営資格が必要な業種はそれらの証明文書。

(3)前海管理局による判定

年度確定申告終了後、主管税務局により、《優遇目録》に属するかどうかの判断が難しい場合、企業に対し、前海管理局より優遇産業認定証明文書の発行を受け、これを提出するよう求めることができるとされています。
   
企業は税務局より、前海管理局による優遇産業認定証明の発行を要求する書面の通知を受領した後、指定のフォーマットによる申請表、税務局の書面通知、企業の登記証書や財務諸表(監査報告書)、関連業務の契約書等と合わせて、業種毎に関連根拠資料が列記された一覧表*1を参考にして資料を揃え、提出します。前海管理局は資料が揃ってから15営業日以内に証明文書を発行し、優遇範囲に該当しない場合は書面で告知するとしています。
  
(関連規定)
財政部 国家税務総局 広東横琴新区 福建平潭総合実験区 深せん前海深港現代化サービス業合作区企業所得税優遇政策及び優遇目録の通知 財税[2014]26号

深せん市地方税務局 深せん市国家税務局 深せん前海深港現代サービス業合作区企業所得税優遇政策操作の手引き発布についての通告 深地税告[2015]1号

深せん市前海管理局 深せん前海深港現代サービス業合作区企業所得税優遇産業認定操作手引き(試行)発布についての通告
*1:深せん前海深港現代サービス業合作区企業所得税優遇産業認定要点と資料リスト.xls

規定の運用状況については実際の申請時に再度当局にてご確認ください。