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[華南ビジネス] 「粤港澳大湾区」構想について

中国華南地域の経済圏は、従来の「珠江デルタ」(「珠江三角洲」)という呼び名が、香港及びマカオを加え一国二制度の投資環境を相互に補完する大珠江デルタ(「大珠三角」)から更に「広東・香港・マカオ大湾区」(「粤港澳大湾区」)となり、進化しています。広東省は21の市で構成されていますが、その内、大湾区を構成するのは広東省9市(広州、深セン、佛山、東がん、恵州、中山、江門、珠海、肇慶)と香港、マカオとなります。この地域を今後、世界有数のベイエリアとして発展させようというのが粤港澳大湾区構想です。この地域は面積56千㎡、人口6千8百万人、GDP1兆36百億米ドルと報道され(2016年数値)、一人当たりGDPは東京の3分の1である2万米ドル余りながら、輸出入貿易額は東京ベイエリアの3倍であると発表しています。

広東・香港・マカオ合作を深化し大湾区建設を推進する枠組協議

2017年7月、香港の中国返還20周年と同時に「広東・香港・マカオ合作を深化し大湾区建設を推進する枠組協議」が締結されました。この中で、地域別の役割は以下のようなものとされています。

  1. 広東省は中国の中でも改革開放先行区として経済を牽引し科学技術・産業イノベーションと先進製造業・現代サービス業基地等の構築を目指す。
  2. 香港は、国際金融、航空運輸、貿易の三大中心地位を確実にし、オフショア人民元業務のハブ、資産管理センターの役割を強化していく。
  3. マカオは、リゾート・レジャーセンター、中国-ポルトガル語圏地域間経済協力のゲートウェイとしての役割を重視。

直近で予定若しくはすでに開始されているのは、交通インフラの強化です。香港珠江マカオ大橋、深セン・中山間通道、虎門二橋等の橋やトンネルを含む道路建設のほか、高鉄の延伸による広州-深セン-香港間は開通が目前であり、都市間軌道交通である広州-東がん-深センや深セン―恵州、広州-佛山―江門路線の建設が進められているようです。

今後も各種の開発テーマやプロジェクトがこの枠組みの中で推進されていくことが期待されます。