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[華南ビジネス] 個人に対する外貨管理制度の動向について

1.非金融機構による個人向け元・外貨オンライン両替業務の認可について

 中国国内の個人の外貨両替は、従来、銀行(窓口及びオンラインを含む)による両替業務が認められているほか、外貨管理局が認可する「特許機構」と呼ばれる非金融機構に認められています。2015年5月末に外貨管理局より発布された「認可を経て設立した個人向け元・外貨両替特許機構リスト」には、16の省・市に渡り59の機構が掲載されています。一般的にはホテルや空港、陸路国境の駅等に両替カウンターがあるのを見かけますが、場所は限られており、営業時間にも制限があります。
 2015年9月、外貨管理局は《個人向け元・外貨両替特許機構のインターネットを通じた両替業務に関わる問題についての通知》(滙発[2015]41号)により、条件を満たす特許機構によるオンライン両替業務を認める通知を発布しました。中国国内の個人は、インターネットやスマートフォン等の電子チャネルを通じて外貨現金或はトラベラーズチェックを予約して支払後、窓口で外貨現金或はトラベラーズチェックを受領することができるようになります。これにより、個人の外貨両替は選択肢が増え、より便利になることが期待されます。

2.銀聯カードによる国外での現金引出管理強化

 中国国外において銀聯カードを使ってATM等で現金を引き出す行為について、中国の国家外貨管理局より、2015年9月30日付で制限強化したことを発表しています。外貨管理局は2003年より一貫して銀聯カードを含む銀行カードの国外使用を積極的に進めてきたが、銀聯カードによる多額且つ頻繁な現金引き出しが散見されるようになったため、マネーロンダリング防止等の観点から次の引出管理強化を行うこととなった、としています。
 銀聯人民元カード1枚につき、従来の1日1万元を超えないという制限に加え、2015年10月1日~12月31日は5万元を超えないという制限を経て、2016年1月1日以降は年間10万元を超えないという年間限度額を設置しています。
 国内で発行される、VISAやMASTER等の外貨カードについても現金引き出し上限は上記と同様とされます。一方、銀聯カードによる決済についてはこの制限は無いとされています。

3.個人外貨業務モニターシステム

 外貨管理局では2016年1月1日より個人の外貨業務に対して新たなオンラインモニターシステムを導入しました。《国家外貨管理局 個人の外貨管理を更に改善することに関する問題についての通知》(滙発[2015]49号)の通知本文と、同局のHPに掲載された記者発表内容によると、新システムにより、銀行が操作する個人の外貨業務が大幅に簡素化されることに加えて、全国の銀行で統一した「注目者リスト」(原文:「関注名単」)を共有できるようになります。個人の外為業務を、他人の限度枠を用いて行った個人は直接「注目者リスト」に組み入れられ、自分の限度枠を他人に使わせて外為業務を行った個人にはリスク提示を行い、再度同じ行為を行った場合には「注目者リスト」に組み入れるとしています。
 なお、個人の外貨両替における年間限度額の5万米ドルについては変更されず、個人の年間外貨購入に十分な額であるという見解を記者発表で示しています。同時に、5万米ドル超は両替できないということではなく、取引金額の真実性を証明できる資料を持って銀行にて手続きできるとしています。