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[中国会計] 中国の国家統一会計制度(8)

中国の国家統一会計制度における「支払決済」(中国語:支付結算)のうち、今回は手形決済(中国語:票据結算)について紹介します。

<手形決済>
支払い手段として手形・小切手を使用するのが、手形決済です。決済を行う双方は銀行口座を開設が必須となり、支払方は十分な残高を有することが必要とされます。中国では、手形・小切手の不渡りによる銀行取引停止といった処分制度がありません。よって、リスクが高い決済手段ともいえます。

<手形・小切手>
手形・小切手(中国語:票据)とは、振出人が振出した、自己又は委託した支払者が無条件で受取人又は所持人に手形金額を支払うことを約した有価証券で、『手形法』及び『手形管理実施弁法』に基づき管理されます。『手形法』では、手形を中国語で「匯票」、「本票」、「支票」と狭義に定めています。
手形には、振出(出票)、裏書(背書)、引受(承兌)、保証という行為があり、具体的には、法に定める方式に従って手形に記載し、各行為者が署名捺印した後に交付するものとなり、これらが法に合致しない場合には、その手形は無効です。但し、手形行為が合法であればその行為の原因が合法でなくても関係はないものとされます。例えば、違法な契約に基づき手形が振り出され、その契約が後に無効とされても、手形の振出行為は依然として有効です。

1)匯票(為替手形)
匯票は日本の為替手形に相当し、振出人が支払人に支払を委託し、引受人が手形金額を支払うものです。
銀行匯票は、直物為替で、異なる地域にある企業間の支払いに適しています。商業匯票は、実際の取引や債権債務関係がある場合に限り使用できるものと規定され、銀行が引受人の銀行承兌匯票と、銀行以外が引受人の商業承兌匯票の2種類があります。引受時に銀行が所定の保証金(通常100%必要で、信用力により異なる。)を確保していますので、比較的安全と言えます。

2)本票(約束手形)
本票とは日本の約束手形に相当し、振出人が手形金額の一覧払いを約束する証券で、銀行本票と商業本票の2種類があります。銀行本票は、銀行が顧客の依頼により顧客の口座から銀行口座に決済資金を移し変えて、手形決済をする仕組みで、信用力が高く有効な回収手段といえます。

3)支票(小切手)
支票は日本の小切手に相当し、振出人が発行し、支払処理を銀行等の金融機関に委託して一覧払いで支払いが行われるものです。支票は、発行地と同一の手形交換所に属する地域内で通用するものです。また、振出しから10日以内に支払人に提示しなければならず、これを超えた場合、金融機関は支払いを行わないことが可能です。但し、この時点では、所持人の振出人への遡及権は消滅しません。

<手形権利と時効>
手形権利は、手形の所持人が手形債務者に手形金額の支払いを請求する支払請求及び遡及権です。手形権利は、手形所持人が一定期間内に行使しない場合には消滅することが定められています。

手形の権利 権利消滅までの期間
振出人及び裏書人への権利 一覧払いの為替手形、約束手形 振出日から2年以内
その他の手形 満期日から2年以内
小切手振出人への権利 振出日から6か月以内
前者への遡及権 引受を拒絶又は支払いを拒絶された日から6ヵ月以内
前者への再遡及権 償還期日または提訴日から3か月以内