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[中国会計] 中国の国家統一会計制度(11)

企業財産の実在性の有無は、非常に重要なものです。しかし、日常の業務に追われ、企業財産の管理がおろそかになることもままあります。現金などの過不足はもちろん、棚卸資産や固定資産などの実在性が確保できないことは、企業の経営に大きな影響を与えることも少なくありません。定期的に企業財産の状況の確認を行うことは、単に数量や金額の相違を発見し、経営成績に反映させることのみではなく、管理手法等の不備を認識し、より効率的な経営に導くためにも重要であるといえます。

1. 財産精査
財産精査とは、貨幣資産、実物資産、債権債務の棚卸や照合などを通して、その数量や価額について帳簿記載と実際の数量・金額が一致しているかどうかを確認する作業、すなわち「実査」です。

企業には、資産・負債および所有者権益に関連する全ての項目について全面的な精査を行うことが求められており、一般的には年度末決算前に全面的な精査を行います。

また、流動性の比較的大きい財産、例えば、現金は毎日、銀行預金や原材料・商品の在庫は毎月の精査を要します。また、債権債務についても1年度に少なくとも1~2回精査し、適時に問題の解決を図らなければなりません。

2. 財産精査の目的
中国の会計制度では、いかなる企業においても、各種財産の増減変動および残高状況の全容を連続して系統的に帳簿に反映させ、さらに財物の管理を通じ、帳簿記録を実物・金額と一致させることが要求されています。しかし、発送・受入時の計量・検査の不備、記入漏れ・誤記や計算誤り、管理不全・過失・不正行為や横領などにより、実際残高と帳簿記録の不一致が往々にして生じます。適正な財産精査を行うことにより、これらの問題を適時かつ的確に把握し、解決を図ることが可能となります。

3. 精査の実行
財産精査、特に年度末に行われる全面的な精査はその範囲、作業量が多く、精査作業を整然と行うために、一般的には以下のような手順で行われます。

精査チームを組織し、管理層が財産精査計画を制定し、精査任務を明確にし、具体的な実行手順や事前準備の段取りを行います。精査チームは、通常の財産保管業務担当者のみではなく、会計部門および使用部門等の人員で構成し、事前に必要な法律法規や関連業務知識の学習を行います。

精査は、まず数量を関係する帳簿記録と照合し、その後品質の認定の順で行い、実際数量、金額を記入する「実地調査明細表」を作成し、これに基づき「精査結果報告表」を作成します。

精査後、精査担当者は関係方面に結果報告をし、棚卸差損益の処理方法を提案し、株主会またはは董事会、その他の権限機構の批准を経て処理を行います。会計処理は、批准前は「待処理財産損溢」という仮勘定を用い、批准後に費用・損失や収益、もしくは資産への計上など適正な科目へ振替処理を行います。